下野新聞ニュース

足利事件、別人DNA再鑑定一致 真犯人の存在可能性大

(5月20日 05:00)

 足利市で一九九〇年に発生した足利事件の再審請求をめぐり、無期懲役が確定し服役中の菅家利和受刑者(62)と、被害女児の半袖下着に付着した体液のDNA型が一致しなかった東京高裁のDNA再鑑定で、二人の鑑定人がそれぞれ検出した別の男性のDNA型の一部は同じだったことが、十九日分かった。別人のDNA型は下着の広範囲の計八カ所で検出されており、真犯人の存在を強くうかがわせ、再審開始の公算がますます大きくなった。

 発見時の下着は背面の中央付近に犯人のものされる体液が点在していたが、捜査時の鑑定に使用したため穴が開いていた。再鑑定では穴の中心を通るように二つに切り、検察側、弁護側双方が推薦する鑑定人が体液が付いていた穴の周辺などからDNAを採取した。

 弁護団によると、検察側推薦の鑑定人は三カ所、弁護側推薦の鑑定人は五カ所からそれぞれ同じDNA型を検出。両鑑定人はDNA内の異なる部位を鑑定しているが、比較可能な六つがすべて同じで、同一人物のDNAの可能性が高い。

 「下着に触れた捜査員のDNAでは」という捜査側の指摘に対し、弁護団は「触ったどころではなく、体液が付いた複数の部分にDNAを付着させなければ、このような結果にはならない。犯人の体液以外にあり得ない」と強調する。

 また複数の個所から検出した男性のDNAは一種類のみだった点についても「捜査員が触っていれば複数のDNAが検出されたはずだ」と指摘する。

 下着を四年間冷凍保管していた自治医大の岩本禎彦教授(人類遺伝学)は「両鑑定人が複数の個所から検出したDNAの部位の六つが同じであれば、犯人の体液からDNAを検出できたと言ってほぼ間違いない。再鑑定の信用性はとても高い」と評価している。

 一方で東京高検は鑑定書の検証のため、下着を触った可能性があるOBを含む当時の県警捜査員のDNA採取と照合を進めている。数十人が対象で多くはすでに退職しているという。