足利事件の問題点

                                       

@ 一審《宇都宮地裁》では、事実調べが一切行われなかった。一審弁護人は、最初から菅家さんを犯人だと信じ込んでおり、そのため事実関係を争わず、検察側の証拠をほとんどすべて認めてしまった。従って一審では、現地調査などの事実調べがまったく行われないまま、DNA鑑定の証拠能力のみが争われた。

A 従って、一審、二審、上告審を通して、どの裁判所も現地調査などの事実調べを一切行わないまま、判決を下した。

B 被告人は取り調べの恐怖から、一審前半まで公判廷でも自白を維持せざるを得なかった。一審途中、一旦否認に転じたが、情状酌量の弁護方針で臨む一審弁護人により上申書を書かされ、自白を維持させられた。その後再びしっかりと否認に転じたが、一審弁護人は事実を調べなおすことをまったくしなかった(現地調査をすれば、自白との多くの矛盾点がすぐに見つかったはずなのに)。

C 菅家さん逮捕は、全国都道府県へのDNA鑑定機材導入の予算獲得の動きに合わせて行われ、DNA鑑定の宣伝に利用された。逮捕に際しては、「スゴ腕DNA鑑定。100万人から一人を特定」等、大々的にDNA鑑定が持ち上げられてマスコミ報道された。菅家さんは何が何でも犯人でなければならなかった。この報道により、検察官も裁判官も一審弁護人も、すべての裁判関係者が目を眩まされ、菅家さんが犯人であることを誰も微塵も疑わず、従って事実調べが全く行われない事態を招いた。

D 菅家さんがそもそも犯人として目星をつけられた理由は? @聞き込み捜査中に、菅家さんが一人暮らしをしていた借家の近隣住民が、「なんだか怪しい」と名指した。  A借家を借りていたが、平日は親元へ帰っており、土日しかいなかった(親に朝起こしてもらい食事を作ってもらいたかったからそうした。ただ単に自立していなかっただけ。それなのに後で「休日アジト」などと新聞報道された!)。  B血液検査をしたら犯人と同じB型だった。  C子供と接する機会が多い。(幼稚園バスの運転手なのだからあたりまえ)  Dパチンコ好きである。(被害女児はパチンコ店駐車場から行方不明になった)  E地域の巡査が上がりこんで調べたら、アダルトビデオを多数もっていた(映画好きの菅家さんは普通の映画ビデオもたくさん持っていた。またロリコン物のビデオは一つも持っていなかった)。  F職場である市内の幼稚園に聞き込みに行ったら、園長が「そういえば子供を見る目つきが怪しい」などと言った(他の職員は誰もそんなことを言っていない)。  たったこれだけのことである。これだけで目星をつけられ、以後逮捕までの約一年間、毎日二人の刑事に尾行された(彼は全然気づかなかった。尾行中、彼は何一つ悪いことをせず、怪しい場所へも行かず、幼女へ声をかけることもしなかったことを、二審で刑事が証言している)。