裁 判 の 経 過

                      

  一審(宇都宮地裁)

92年2月から始まった一審(宇都宮地裁)では、裁判官、検察官だけでなく、弁護人までもがDNA鑑定を絶対視して、菅家さんの無実の訴えを無視。菅家さんはこの弁護士の「罪を認めて情状酌量を勝ち取る」弁護方針に逆らえず、検察側証拠をほとんど全部みとめてしまいます。従って一審では事実調べが一切行われず、現地調査さえされないないまま、93年7月7日、同地裁、久保眞人裁判長は、菅家さんに無期懲役の判決を下します。菅家さんはすぐに控訴、この事件の冤罪性と本件DNA鑑定への疑問を感じた佐藤博史弁護士を中心に、手弁当による新たな弁護団が編成されました。

   二審(東京高裁)

94年4月から始まった控訴審(東京高裁)では、弁護団の追及によってDNA鑑定の不備や数値のデタラメさ、「自白」と客観的事実(目撃者、犯行ルート、殺害方法、犯行後の行動など)の矛盾が次々と明らかにされたにもかかわらず、96年5月9日、同高裁・高木俊夫裁判長は「DNA鑑定と自白は信用できる」として、「控訴棄却」の判決を下しました。菅家さんは翌日最高裁に上告。

  三審(最高裁)

弁護団は97年1月28日、最高裁に上告趣意書を提出。

その後、弁護側が行ったDNA鑑定で、菅家さんのDNA型が犯人のものと一致しないことが判明。以下のように重要な補充書を次々と提出します。

『補充書1』 弁護団の依頼により、97年10月28日提出  日本大学法医学教室で鑑定したところ、菅家さんの毛髪のDNA型が「犯人のものと一致しない」ことが判明。

『補充書2』 98年7月6日提出 DNA型が一致したとする科警研鑑定書添付写真を、弁護側が専門家に依頼してコンピューター解析した結果、「一致と判定するには重大な疑問がある」ことが判明。

『補充書3』 98年12月1日提出  科警研DNA鑑定の欠陥や、デタラメな鑑定方法を科学的に追求したもの。

『補充書4』 99年11月提出  『DNA鑑定』と「任意性のない自白」の信用性を、鋭く追求したもの。

『補充書5』 2000年2月提出 菅家さんの公判廷での証言を心理学的に精緻に分析した複数の学術論文を添付し、彼の自白の信用性について詳述。

『補充書6』 2000年7月7日(最高裁決定10日前)提出 79年発生の幼女殺害事件に関し、菅家さんの無実の証明にもつながる、、重要な目撃者の供述を変更させた、「警察官による証拠捏造」という、極めて重大な事実を指摘。またDNA鑑定の再鑑定を求める申入書、鑑定資料の適切な保存を求める上申書を提出しました。(しかしすべて無視されました。)

最高裁は不当にも菅家さんの上告を棄却

無期懲役判決決定

しかし、これだけの大きな疑問があるにもかかわらず、2000年7月17日、最高裁第二小法廷の亀山継夫裁判長以下、5人の裁判官の全員一致で上告棄却を決定

弁護側が最高裁段階で提出したすべての証拠に対して、一切答えず、、市民による「DNAの再鑑定」を求めるたくさんの声を無視し、審理を尽くさないまま、菅家さんの無期懲役判決(一審)を容認する決定を下しました。

  

2002年12月25日、宇都宮地裁へ再審請求!

12月20日、日本弁護士連合が足利事件再審支援を決定。ただちに再審弁護団結成。12月25日、弁護団は再審請求書を宇都宮地裁へ提出。受理されました。

 

 

2008年2月13日 宇都宮地裁 再審請求審「不当決定」

問答無用の請求棄却決定

2008年2月13日11時30分、宇都宮地裁は、菅家さんの再審請求を棄却しました。

理由は、「弁護人提出の各新証拠は、それぞれの立証命題と関連する旧証拠の証明力を減殺させるものではないから、いずれも明白性を欠くといわざるを得ない」「したがって、本件再審請求は理由がないから、刑事訴訟法447条1項により、これを棄却する」というもの。

「弁護側提出の新証拠、押田鑑定(弁護側が菅家さんの毛髪を使って行ったDNA鑑定)も村井鑑定(被害者の死因は溺死と考えるのが合理的とする法医学鑑定)も、共に新規性は認めるけれど、かつての検察側証拠を覆すほどの力は無い。だから明白性は無い。明白性がなければ、再審請求する理由が無い。だから棄却する(もちろんDNA鑑定の再鑑定はしない)。」簡単に言うとそういうことです。


「少しでも疑問があれば調べて見よう」というのが裁判所の仕事のはずなのに、その姿勢の一切無い、問答無用、検察側をかばうだけの判決で、あまりのひどさに、弁護団も絶句していました。


弁護団は2月18日に、東京高裁に即時抗告(今回の宇都宮地裁の決定の不当性を訴える)しました。             (詳しい決定内容は、後日掲
載します。)

 

2008年12月24日 東京高裁 DNA再鑑定を正式決定

弁護側、検察側がそれぞれ推薦した各1名の鑑定人が、鑑定資料(@菅家さんから採取した資料、A被害者の半袖下着)を二分して持ち帰り、二つの資料が同一人由来のものかどうかを鑑定すること。鑑定内容は両者が同一人を決定。また資料分割日時を決定。

 

2009年5月8日 DNA再鑑定結果は「不一致」

裁判所によるDNA再鑑定で「菅家さんのDNAと被害者の下着に付着していた犯人のものと思われるDNAの型が一致しなかった」ことが今回大きく報道されました。捜査関係者は「捜査官の汗や皮脂、唾液が付着した可能性がある」などと語っており、前途はまだ不安です。