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すし屋の雑学 江戸前寿司の魅力と歴史
江戸前寿司の魅力と歴史・すし調理の知識と雑学を紹介しています。

にぎり鮨の作り方すし米について米の知識すし飯の仕込
洗米酢について合わせ酢合わせ酢の加え方
すし米について

 米はタネと並んでもっとも基本的なすしの構成材料であるが、

  米にも多数の種類があり、

  また、それも産地によって食味に差異があるなどいろいろで、

  経験上、それぞれの用途によってどこの米がよいなどとされている。

 すしに用いられる米も、

  配給制度のなかった戦前は産地を指定して厳しく吟味されていたが、

  その後、配給制度になってからはそういうこともできなくなった関係上、

  あまりとやかくいうことがなくなり、それが多少自由になった現在でも尾を引いていて、

  それほどやかましくはいわないようである。

  それで一般には特選米などの米を使用しているところが多いが、

  しかし、最近ではまた産地を選んで、

  すしに適した味の良い米を選ぼうという機運がでてきたようで、 

  業者の団体などではすでに調査を始めているという。


 すし用の米には、一般に次のようなものがよいとされている。

      小粒の硬質米で、丸く、粒揃いのよいこと。

      色が白く、透明感があり、つやのあること。

      重みのあること(内容が充実している)

      胚芽の部分が小さいこと

      乾燥のよいこと。


 産地としては、

 東京辺では庄内米(山形)などの米どころのものがよいとしているが、

  関西では、篠田統氏の「すしの本」によると、一番よいのは讃岐(香川)、淡路(兵庫)で、

  そのほか奈良の生駒(富雄から高山にかけて)、枚方の東南(交野付近)、摂津、河内、

  大和境の天王(京都府)、滋賀県蒲生群深川の山の上などの米もよいという。

                                        (阿部直吉老人聞き書)


 また、すしには新米より古米の方がよいとされている。

  これは、古米では炊いた場合にサラッとしているが、新米では粘り気がでて、

  すし特有の食感が出にくいからである。しかし、古米といっても、

  二年も三年もたったような古米は品質も落ち、

  いわゆる古米臭も出てくるので、ここでいう古米は、前年度の米と考えるべきである。


 業者によってはできるだけ古米を使おうとする者と、新米と古米を適度に混合して使う人と、

  炊き方や酢の合わせ方などを工夫しながら、

  さらに新米の特長を生かしていこうとする者など、いろいろないき方があるようである。

 上記の「すしの本」の中の阿部老人の聞き書には、

  正月ごろに新米を使うと団子みたいになるので、

  早くて彼岸か桜のころまでは新米は使わない、と書かれている。


 なお、古米についての研究によると、古米めしの硬さやぽろつき、

  古米臭には脂肪の変化が大きな役割を果していてたとえば

  古くなるにつれて脂肪中の遊離脂肪酸が増加し、

  これが炊飯時の糊化に必要な水の通過をさまたげ、糊化温度を高くし、

  構成成分であるデンプン粒を強固にして、炊飯した場合の硬さの原因となること、

  また、これが米粒の組織を硬化する原因の一つとなり、

  吸水率を新米より2〜3%低下させていることなどが報告されている。

  また古米では新米にくらべてビタミンB1の含有量が半減しているという。


 また、新潟県食品研究所技師の斎藤氏の研究によると、

 古米めしでは、めし粒の外側や中心部のデンプン細胞が十分にくずれず、

 部分的にもとの状態で残りやすいが、

 新米では、めし粒の中心部でも細胞膜が破れ、中のデンプンがくずれているものが多く、また、

 古米は炊飯の際、水の吸水率が高く、米粒の膨張、つまりカマ増えが大きいにもかかわらず、

 細胞膜が強くなっているために破れにくいが、新米では、膨張とともに破れる。


 これが、新米の方が古米よりやわらかく粘りのあるよいめしができる理由であるという。

 すしめしでは、ちょうどこの逆がよいので、

  新米より古米の方が好ましいということになるわけであろう。