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すし屋の雑学 江戸前寿司の魅力と歴史
江戸前寿司の魅力と歴史・すし調理の知識と雑学を紹介しています。

にぎり鮨の作り方すし米について米の知識すし飯の仕込
洗米酢について合わせ酢合わせ酢の加え方
すし飯の仕込

炊飯(シャリ炊き)

 すし用の飯を炊くには湯炊きがよいといわれているが、
  普通に水から炊いても良い。
  ただし、その場合には堅めに炊くようにする。

 湯炊きというのは、釜に水を入れて火にかけ、
  煮え立つ前に(あるいは煮たった湯に)
  米をいれて炊く方法で、これに対し普通の方法を水炊きともいう。

 炊飯の際の火加減はむずかしいもので、
  「初めチョロチョロ、中パッパ、ふきはじめたら火を弱め、赤子泣くともふた取るな」
  と、昔からそのコツを教えた言葉が伝えられているほどである。

 すし屋には昔はシャリ屋といって飯炊き専門の職人がいたが、それは、
  すし飯の炊き方がいかに難しいものであるかを示す一つの証拠でもある。
 
 実際、すし屋では一釜でも失敗すればその経済的損失大きいから、
  そのような職人の存在し得る余地があったのであろう。

 炊飯とは、デンプンの糊化、
  すなわちベーターデンプンをアルファーデンプンにすることである。
  つまり、
  米に加えた水を米粒内に完全に吸収させ、
  米のデンプンを完全にアルファー化させることである。

炊飯には水加減と火加減が重要である。

 デンプンを完全にアルファー化させるために必要な水分量は、
  学問的にはデンプンの30%あればよいとされているが、
  米の場合には他の成分とともに複雑に構成され、
  また、出来上がった飯に適度の粘りや硬さも与えなければならないから
  それより更に多く、ほぼ米の量の20%増しが必要である。
   (重量では約1.5倍)

 しかし、これは標準であって、
  米の種類や新古によって多少は前後することはいうまでもない。

 新米では水分が多いのでほぼ同量から1.1倍、
  古米では1.2〜1.3倍ぐらいが適当であるという。

 このようにして炊き上がった米飯の重量は米の重量の2.2〜2.4倍、
  容量にして約2.6倍である。

 すし飯は硬めが良いので標準より10%減、
  だいたい同量から1.1倍ぐらいが普通である。

新米も日時がたてば次第に古米となるわけであるが、
  その日時の経過と共に変わる水加減の一例を示せば次のとおりである。
  しかし、これはあくまでも標準であることはいうまでもない。

日     時 米1リットルに対する水の量
11月〜12月中旬頃まで(新米) 水 1.01リットル
12月末〜3月頃まで 水 1.1リットル
4月〜6月頃(梅雨時期)まで 水 1.15リットル
7月〜9月まで 水 1.2リットル
9月末〜10月末頃まで 水 1.25リットル

また、火加減であるが、

 米デンプンの糊化温度は65℃〜70℃とされているものの、
  米粒では完全にアルファー化するには
  少なくても100℃で20分は必要であるという。
  白米を完全にアルファー化するに要する時間は、
  デンプンの質にもよるが次のようである。

かま内の温度 加 熱 時 間
60℃ 10時間
70℃ 数時間
90℃ 2〜3時間
98℃以上 20〜30分

加熱の仕方は

 沸騰までは強火で、
  沸騰し始めたら吹きこぼれない程度に火を弱め、
  20分程度その状態においてアルファー化をすすめ、
  最後にかま底近くに余分に残っている水分を
  蒸発させて平均化するため、 30秒ぐらい強火にして火を止め、
  蒸らしに入るのが普通である。

 蒸らしは、アルファー化を進行させるのと同時に、
  水分を平均化させるためで、したがって、
  できるだけ高温度を保つようにしなければならない。

 かま内の温度が下がると、蒸気が凝結して水滴となりやすく、
  出来上がった飯が水っぽくなる。
  
 ことわざでいう「赤児泣くともふた取るな」
  というのはこのことを言っているわけで、
  蒸らしている間にふたを取ると、温度が下がり、
  米粒内に吸収されるべき水分が蒸発したり、
  凝結したりすることになる。

 蒸らし時間は15分以上必要である。

 なお、炊飯中、釜の中の上半分の米は過熱による対流によって動くが、
  下半分の米は終わりまでほとんど動かない。したがって、
  熱の移動は主として熱伝導によるわけで、そのため焦げる場合も起きうることになる。

炊飯によって米は容積にして約2.6倍に増える。

 したがって、1升の米を炊けば約2升6合の飯ができることになるが、

 普通この1升の米、「すし飯」からは、
  握り寿司(約10匁)・(37.5g)が、だいたい100個できる。

 例えば、一個25gのシャリに握れば、
  その1.5倍で約150個の握りができることになる。