04 04月18日

真剣に考えていくことは大切だ

  家族の皆様、さきだつ僕をお許しください。僕はお父さんにおこられ
 て家にこなくなったA・B・C・D・Eに、学校でいじめられていました。
 みんなたった一日で態度がかわり、皆、僕を無視しはじめました。そう
 じの時間はトイレで服をぬがされたり、水をかけられたりしました。い
 たずら電話もよくありました。僕がでると受話器をとったとたんきれて
 しまいました。またお金のふんしつはしょっちゅうありました。五百円
 玉を2枚持っていくと、帰りには1枚になっています。このようなこと
 がつづき、今では五千円近くうばいとられました。まだまだありますが
 僕はもうがまんできなくなりました。
  学校へ行っても友達はいますが、その友達に僕を無視させたりしてい
 そうで、とてもこわいのです。生きているのがこわいのです。あいつら
 は僕の人生そのものを奪っていきました。僕は生きていくのがいやに
 なったので死なせてください。
  それからお父さん、自転車を買ってくれて本当にありがとうございま
 した。まだ1週間ものっていないけど、本当に感謝しています。自転車
 はFちゃんにでもやってください。あいつらはGやいろんな人をいじめて
 いました。まだその、いやそれがどれほど悪いことなのか分かってい
 ないようなので僕がぎせいになります。僕のまだきれるコートや服は
 H・I・Jなどにあげてください。僕のものなんかとっていてもしかたない
 のでそうしてください。バスケットボードはK君にあげてください。家族
 みなさん、長い間どうもありがとうございました。
  平成7年11月23日 K中一年 IH

 上に載せたのは、いじめを苦に自殺をした男子中学生の遺書の全文です。
当時中学1年生だったIH君は、尾の遺書を残し、夜中の3時頃、自宅庭
にあるバスケットボードで首をつって、自らの命を絶ちました。13歳の、あまり
にも早すぎる決断でした。
 平成7年11月というと、今から4年半ほど前の出来事になります。記憶に残
っている人もいるでしょう。隣の新潟県だからというわけではありません。諸君
にとって決して人事、他人事では済まされない問題なのです。本来そうであっ
てはいけないのですが、準君がやられていたことというのは、その辺にゴロゴ
ロしているのが、事実ではないでしょうか。事実だったという人もいるのではな
いでしょうか。困ったことです。
 この事件のあった学校では、全校生徒を対象に、いじめに対するアンケート
調査を実施していました。それでもこうした事件がおきてしまう。ちょっかいを
出している側に「いじめている」という自覚意識が低いということなのでしょう。
 「これはいじめじゃない」「これくらいは大丈夫」「冗談だろ、冗談・・・・・」こう
いった意識で接している人がいかに多いか、ということでしょう。ちょっかいを
出された人間が「嫌だな・・・・・」と思った瞬間に、どんなちょっかいでも、それ
は「いじめ」になります。普段から、自分以外の人の心を気づかう、思いやりの
心を持つことができていれば、こうした悲しい事件につながらなかったかもしれ
ません。
 準君をいじめていたとされるA・B・C・D・Eの5人は、少なくとも「死ぬまで追
いつめてやろう」とは思っていなかったはずです。前に書いたような軽い意識
で接していたのでしょう。
 名前の呼び方、あだ名、休み時間の何気ない会話、昼休みの買い物、清掃
時の分担、登下校時の列車内・・・・・諸君の日常生活の、ありとあらゆる場面
に加害者になったり、被害者になったりする可能性があるのです。しかも自分
が無意識のうちに。
 さて、今回は、この学級通信を題材に、諸君に「いじめ」ということについて、
真剣に考えてもらいたいと思います。左の文を読んだ率直な感想でも良いし
「いじめ」ということに対する自分なりの意見でも良いです。諸君の意見を聞か
てもらいたいと思います。提出は21日(金)。   

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