08 05月12日

日常茶飯事になってはいけないコト

   <名古屋の恐喝事件とわが家の高校二年の息子のことが重なって
  感じれらるので、書かせていただきました。>あるお母さんから届いた
  手紙だ。▼息子は、つぎのような状況にあるのだという。先輩のA君に
  無理やり腕時計を交換させられた。いったん戻ってきたが、こんどは同
  級生のB君に「自分のをなくしたから貸せ」といわれ、もう1ヶ月以上も
  返してもらえない。▼先日は先輩のC君に、新しい財布と古びた財布と
  交換させられてしまった。ほかにも、小額のお金やテレホンカードを借り
  られて、そのままといった「小さな事件」が続く。<息子はちょっとした暴
  力やバカにされるといったことを恐れて、相手の言いなりになってしまう
  傾向があります>▼<A君たちは取り立ててどうこういうような少年たち
  ではありませんが、電話がかかると息子は緊張してしまい、「ハイ、ハイ」
  と敬語を使って返事しています。自分はケンかも弱いしすぐバカにされる
  から仕方がない、と考えているようです>▼母親は慰めたり、励ましたり
  してきた。<でも相手に何も伝えられないまま、「もう財布は持っていか
  ない」というようなことで終わってしまいます>親がどこまで口を出すべき
  ことなのか。高校の懇談会があってB君、C君の母親と同席したが、何も
  言えなかった。<私もやっぱり、息子同様、仕返しが怖いのです>▼<「そ
  んなことされたら、あなただってイヤでしょう」小さいうちに教えるべきことが
  身についていない少年に、それをどう伝えていけばいいのでしょう>もっと
  き然とするべきだと、この母子を批判するのはたやすい。が、そう振るまえ
  ない母と子は、悩んでいる。▼少年の事件があいつぐ。<「親は何をして
  いたのか」という批難の声が、私にもあびせられているような気がしてなり
  ません>と手紙は終わっている。
                       朝日新聞「天声人語」2000.5.2   

 大学受験に失敗し、浪人していた時に、近所の塾で毎日、塾の先生というバイ
トを始めました。翌年大学に入学し、5年間かけて卒業するまで続けていたので
6年間も同じところで働いていたことになります。その後、埼玉県の中学校を経て
現在の学校にお世話になっている私がいます。合計で14年間以上、諸君と同じ
年頃の人たちと接していたと言うことです。もちろん授業の場だけではなく、休み
時間や普通の場も、14年間分知っているということです。そういった生活の中で
私の耳に入ってくるいろいろな会話・言葉・行動がありました。
 「ねえ、ちょとかせよ」「お前昨日なにやってた?」「わりい、ジュース買ってきて」
「おい○○っ」(←たいていテレビ等の登場人物の名前で、あまり格好はよくない)
「お、うまそう、よこせよ」「ねえ、あの子○○に似てるよね、ふふっ」(←キャラクタ
ーや動物)「ねえ、100円かして・・・」等といった言葉から始まり、特定のヒトの机
で昼食を食べて、ゴミはそのまま。マジックでの机の落書き。特定のヒトに対する
プロレス技のかけあい。携帯電話非通知ワンコールやいたずらメール。勝手に弁
当を食べてしまう・・・等、いちいち書き出していたら、キリがないという行為も目に
してきました。
 こういった言葉や行為というものの特徴として、その場にいるヒト達に自覚が少な
いということがあるようです。「いや、おもしろいから」「なんかその場の雰囲気でな
んとなく・・・」等と、後になって反省することはあるようですが、やはりほとんどが、
その場の雰囲気に流されてしまっている状態のようです。
 今回紹介した文章の中にある「小さな事件」そのものです。今年度諸君の担任
を持つことになり、授業時も含めて諸君と一緒にいる時間が多くなりました。今年
も私のまわりでは「小さな事件」が起きている気がします。というか起きているよう
です。日常で起きている小さなことが積み重なり積み重なり、名古屋の5000万円
恐喝事件のようになってしまう。今日11日の報道によると、証拠を無くすために、恐
喝していた少年を殺害してしまおう、という計画もあったとのことです。
 最近、若者を中心に事件が続いています。諸君一人一人も決して他人事ととらな
いでください。過去をさかのぼるのであれば、どこまででも、それが困難というので
あれば、今年度2年3組になったこの1ヶ月間の、自分の言動をふり返ってください。
「小さな事件」の加害者になっていることがありませんか?
 先に述べたように、私は3組内で「小さな事件」が起きていると思っています。加害
者だった・・・という反省がきっとあるはずです。よおく考えること。
                                                                       

BACK