15 06月11日

少年と父親と釘の話「人生は挽回だ」

 学級通信10の「少年と釘」の話、もう一度読み直してください。この学級通信
上でも、いくつか諸君の意見を紹介させてもらいました。紹介しきれなかった意見
もたくさんありました。しかしながら、もう少し深く読み込んでもらえたらな、と思っ
たのです。
 少年は非行をする度「もうしません」を繰り返しながら、何度も何度も同じ失敗を
重ねていました。「もうしません」と口では言うものの、その言葉の裏側には『本当
にしない』という強い気持ちはなく、その場をしのぐだけの中途半端な気持ちしか
なかったということになります。要するに口先だけの「もうしません」で『なんとかし
なくちゃいけないな』とは本気で思っていないのです。
 おそらく、今までの少年の生活のほとんどが、この中途半端な気持ちのままだ
ったのでしょう。非行を繰り返す中で、父親が相手に頭を下げていても、口先だけ
の「もうしません」。父親が少年に手をあげて、顔が真っ赤にはれあがっても、、口
先だけの「もうしません」。おそらくこんなことの繰り返しだったのでしょう。本気で
『なんとかしなくては』と思うことをせずに、『なんとかなるだろう』という軽い気持ち
だったということです。
 釘を打ち込まれ、ボロボロに変わり果てた壁を見て初めて、少年は自分のふが
いなさ、情けなさに気がついたのです。そして、本当に心の底から『なんとかしなく
ては、このままじゃいけない』と思うことができたのでしょう。挽回しなくてはいけな
い、ということに初めて気がついたのです。挽回の必要性に気がついたのです。
 挽回とは「遅れていたことや、失っていたものを取り戻すこと」です。その行為に
は、とてつもなく大きな意味があります。とてつもなく大切な言葉なのです。
 自分の人生は自分のもの。醜く変わり果てさせるのも、楽しく、ヒトとして素晴ら
しく生きていくのも自分次第です。少年は、自分がしてきたこと、過ごしてきた人生
が、いかにふがいなく、情けなく、醜いものであったかということに、釘を打たれた
変わり果てた壁を見て、やっと気付くことができたのです。だから、今度こそは本
気で本物の「もうしません」という誓いをたてることができたのです。「もうしません」
の言葉の裏には「本気の挽回」がなければならないのです。
 諸君は今までの人生の中で、どれだけ「もうしません」という意味の言葉を口に
してきましたか?言葉の裏に「本気の挽回」を意識していましたか?意識していな
かったのであれば、その数だけヒトの心を傷つけ、自分の心を醜くしていたという
ことになります。
 人間誰でも失敗したり怒られたりすることはあります。私なんかも34年の人生は
失敗の連続です。先日もエアコンの件で諸君に対して嫌な思いをさせてしまう失
敗をしたばかりです。諸君も失敗は多いでしょう、けれどもそんな中でも常に、挽回
していこうという意識があればよいのです。それだけ重要なのです。だから「人生は
挽回」なのです。
 失敗したらそのまんま、怒られたら怒られっぱなし、テキトーにしていればいいや、
という生き方だけはやめていきましょう。自分の大切な人生を醜くするような行為は
やめていきましょう。
 失敗することは決して悪いことではないけれども、失敗することの恐ろしさ、恥ず
かしさを自覚することができるようになると、「挽回しよう」という覚悟は本物になり、
「挽回する」という行為は素晴らしいものになっていくでしょう。人生が美しくなってい
くはずです。
 なんて私のこの顔とは少々かけ離れている話をさせてもらいましたが、理解できた
でしょうか。

悩み多き17歳はいないか?

 諸君に水色のカードを配りました。群馬県の総合教育センターの電話相談の案内
です。友人・家族・担任・学校関係者には相談できないようなものが、もしあったとし
たら、有効に活用してください。もちろん御父兄からの御相談でも受け付けてくれま
す。

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