048 06月17日

遅刻の女王。 

 2年生で私のクラスになった彼女は、1年の時のクラスメイトがほとんどいなかったこと、そして、見かけがちょっとツンとしている印象もあり、なかなか友達ができない様子でした。1年の時によく遅刻していて、職員室前で注意を受けている彼女は何度となく見かけていましたが、ほとんど話をしたことがなかった私が、気をつかって声をかけても、無表情で 「このクラスつまらない」 と、いう言葉しか出てきませんでした。
 部活をしているわけでもない、学校外で趣味を持っている様子でもない、かと言って勉強が得意なわけでもない・・・・・・。特に目標もないし友達もいない彼女は、はたから見ても、クラスに馴染んでいるようには見えませんでした。
 2年生の最初は緊張感もあったのでしょう、昨年度のような遅刻はほとんどすることなく登校できていました。ところが夏休みが近くなるにつれて、遅刻や欠席が多くなってきました。話をしても、「えー、わかんなーい」 と、そっけなく流されるばかり、頭髪検査にストレートでパスすることがほとんど無いので、なんとか嫌な思いをしないように・・・と、「どうしていこうか・・・」 と、話を振っても、去年の担任のところに 「拓ちょーむかつく。大っ嫌い・・・」 と文句をこぼしに行かれてしまう始末でした。
 「いやだ・・・」 と言っていたクラス内にも何人か仲の良い友達ができていき、弁当もひとりで食べていることがなくなりましたが、遅刻は相変わらず続いています。仕方がないので、しばらくの間は私が電話して起こすことになりました。そのうちに 「もう平気」 ということで電話はしなくなりました。が・・・・・・、やっぱり遅刻は直りませんでした。
 クラスも担任も変わらぬまま3年になりました。三者面談では一応専門学校へ進学することになりましたが、気がつくと 「進学も就職もしなーい。だって面倒なんだもーん」 のモードになっていました。そして遅刻は繰り返されていきます。
 「ねぇねぇ、やっぱり毎朝起こして欲しいんだけど・・・」 彼女の方から申し出がありました。どうやら彼女なりになんとか改善していこうという意識があったようです。彼女の中で、「このクラスはいやだ」 から 「このクラスでもいいや」 に変わっていったのもこの頃のようです。ちょっと安心しました。出勤の身支度で忙しい朝6時、電話をかけている私が毎朝パンツ一枚だったことを彼女は知りません。
 ほぼ一年間、二度寝をしてしまうため毎朝二回起こしていたにも関わらず、遅刻の数では他にひけを取らない程に成長してしまったこと、自分で進路を探す、ということで進路未決定のまま卒業させてしまったこと、このふたつが私的には悔やまれることでした。
 そんな彼女から先日、バイトだけれども仕事が決まった、Tちゃん(同じクラス)と一緒に御飯食べるから先生も来い、という内容の電話がありました。表情は在校当時よりもはるかに生き生きしていました。当時はこんな話一切することは無かったのですが、仕事も恋も順調のようで安心しました。
 ただね、ひとつだけ残念なことがありました。女子最高記録を樹立した程の遅刻の理由が、「本当はお化粧が決まらなかったからなんだ・・・」 じゃねーだろって。
 ま、元気なのが一番。諸君の先輩はツワモノ揃いです。 
 今日から席替え、期間限定1週間!


から元気じゃない?

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