066 07月11日

ぼぼー。 

 先日ぼぼーっとテレビを観ていたら、20ウン時間テレビなるものをやっていました。それで思い出したことがあります。
 今でこそテレビ各局がこぞって同様の番組を制作・放映をしていますが、そのハシりは某Nテレビの 「24時間テレビ」 だと記憶しています。今のように民放各局が、深夜に番組放映などしていない時代の話です。こんな夜中に本当に放送しているんだな、日本全国で昼夜を問わず会場を設置して募金活動をおこなっているなんて不思議だな・・・そんなことを考えながら眠い目をこすり、画面を見つめていました。
 その番組をきっかけに、ジュースの大型ボトル(当時は今のようにペットボトルなんてものは無い。1リットルホームサイズのガラス瓶。結構重い・・・)に小銭を蓄え始めた少年斎藤がいます。もちろん目標は翌年の 「24時間テレビ」 に持っていくことです。そして翌年、再び24時間テレビの季節がやってきました。
 夕刻になり、各々(おのおの)小銭を貯めたボトルを手に、会場の日本武道館に向かうべく駅に集まりました。なんだかいつもより電車が混んでいるような気がします。周りのヒト達皆が日本武道館に行くように思えてなりません。
 「早く行かなくっちゃ。これ渡す時に河合奈保子(わっかるかなぁ)ちゃんと握手するんだもーん」
 我々の目標は募金そのものではなかったような気がします。てゆーか、奈保子ちゃんです。「日本武道館のステージで、募金を手渡しながら握手をする」 これが目標でした。
 電車に揺られること約一時間、日本武道館近くの駅に到着した我々が見たものは、小脇に小銭の入ったボトルやら貯金箱やらを抱えたヒトヒトヒトの波でした。
 「あ゛〜〜〜っ。早く行かないと奈保子ちゃんが欽ちゃんに変わっちゃう」 「欽ちゃんでもいーじゃないか」 「欽ちゃんじゃ駄目だ」 「そうだよ、奈保子ちゃんだよ」 「早くしないと欽ちゃんすらいないかもしれないぞ」 「徳光さんだけとか?」  「福留さんかもしれないぞ」 「どっちもいかーん!」 「いぞげー!」
 ヒトの波の間を縫うように我々は武道館へと突き進み、ようやく入場しました。案の定、ステージに程近い席は満席で、私達が座れたのは三階席でした。欽ちゃんや徳光さんの小さいこと小さいこと、豆粒ほどの人間って本当にいるのですね・・・・・・。
 三階席から見下ろしていると、ステージ上に、奈保子ちゃんが登場しました。
 「出たー!」 「よーし、いくぞー!」 
 ステージに通じる通路を突進したのですが、結局、長蛇の列の一部と化してしまいました。それでも、数分間に数歩ずつ、着実にステージが近づいているのがわかります。一階アリーナフロアへの出口が見えてきました。そしてその先にあるのは、奈保子ちゃんが立っているステージです。
 黄色いTシャツを着ながら握手をする奈保子ちゃんがジワジワと近づいてきます。我々の鼓動は高まり始めました。我々がフロアからステージへと続く階段にさしかかったその時です。
 「ありがとうございましたぁ〜。奈保子ちゃんはお帰りでぇ〜す!」 
 アナウンスとともに消える奈保子ちゃん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 数分後に、代わってステージに出てきたADへ募金を手渡す我々がいました。
 あなわびし。悲しき中2軍団のハナシはつづく・・・・・・ 


誰だって産んどるんやで。お母ちゃんにだってできたんやで、大丈夫

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