078 09月06日

ご利用は計画的に。 

 夏の思い出話も今週がリミットでしょう。
 今年もいくつか目標をたてていましたが、「行き先を決めずに一人旅しよう」 というモノは達成できませんでした。んでもって仕方がないのでかなり昔の思い出をほじくり返します。一人ではないのですが、8年程前に大学の後輩、職場の同僚、私、といった野郎(オトコ共ってーこと)3人で旅をしたことがあります。
 事情があり、しばらくウチに居候(いそうろう)していた後輩が実家に帰るということで、「じゃー、3人で記念に旅をしようぢゃないか。そして飲んで語ろう」 と、いう計画になりました。計画とは名ばかりで中身は無計画そのものです。行く 「方向」 だけを、「三重県の伊勢志摩方面」 と決めただけです。理由は 「ウマイ酒と魚がありそうだから」 です。
 運転手を交代しながら、てってらてってらと車は走って行きます。途中、コンビニやお土産屋さんに寄るごとに、出会うヒト達の言葉が変わっていくのが印象的でした。なにせ片道500キロにも及ぶ旅です。伊勢志摩についた頃には、もうすっかり関西エリアの言葉に囲まれていました。
 とりあえず、真っ黒く少ないツユの 「伊勢うどん」 を食し、その見かけとは裏腹な美味さに感激しました。そして港に立ち並ぶ魚介類のアミ焼き屋(その場で水槽から網の上にダーンッと置いてジュジューっと焼き、醤油をジワっとたらす。この時の香りがタマラン)で、ばかでかい焼きハマグリやら焼きサザエやらをむさぼり喰って、刺身をちょちょいとつまみ、再び感激している我々がいました。伊勢志摩といえば言わずと知れた真珠の名産地なので、当時は彼女だった妻にプレゼントを買って帰ったような・・・まだ持っているのでしょーか・・・確認できませんが・・・(悲)。
 時刻はまだ午後の3時位で、宿を探してそこに収まってしまうにはまだ早すぎます。伊勢志摩はもう充分でしょっ、てことになった我々は、更に無計画モード炸裂です。
 「よーし、もっと南に下って行かないか?」 「そうだね、ここは半島だし、『半島』 なんてたかが知れてるよ、ほんの数時間で先っちょに着くよね」 「着く着く、行こう行こう」 「はい、決定」
 再び車に乗り込み、左手に青い海、右手には青い山という最高の眺めの中、しゅびしゅびと走り続けました。丁度 「海山村(素敵な名前の場所でしょ)」 という村を通過するあたりで水平線に沈む夕陽を眺め、今回の旅の成功を確信した我々がいました。
 ・・・・・・ところが走れど走れど半島の先に着きません・・・・・・。
 夕刻前に着いて宿を探すはずだった予定を変更して、途中の電話ボックス(携帯なんか持ってない時代)から、夕飯が美味そうな宿を名前で選び出して予約を入れました。そしてブンブンと走り続けます。
 ・・・・・・着きません・・・・・・。・・・ブーン・・・。・・・まだ着きません・・・。・・・ブーン・・・。・・・まだまだ着きません・・・。ブーン・・・・・・
 ようやく宿に着いたのは、夕食の時間もとうに過ぎた夜の9時近くです。ひんやりと冷たくなった夕飯を食べて、疲労のため酒を呑んで語ることもなく、そそくさと寝てしまった我々・・・。成功の確信はどこへやら・・・・・・。
 実はね、我々がなめてかかっていた 『半島』 は 「紀伊半島」 でした。三重県、奈良県、和歌山県、大阪府等を含む、日本で一番おっき〜〜〜〜い半島だってよくわかっていなかった我々の負け。いいオトナなのに・・・・。結局往復で2000キロ近く走ってしまいましたっけ・・・。
 ビバ無計画!いやいや、こんなんじゃ駄目だっつーの。
 残り3日、試験勉強は計画的に。 


安易な成功より偉大な失敗の方が貴重だよ

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