084 09月17日

唐突な話題だな。 

 諸君は自分の部屋を持っていますか。生まれた時から団地住まい、おまけに二人兄弟の末っ子の私には、満足な自分の部屋がありませんでした。不満足な自分の部屋は、中学校の頃に与えてくれたような気がします。
 どの辺りが不満足かいうと、まず隣の部屋とのしきりがアコーディオンカーテン(カーテンの分厚いヤツ)で、しかも備え付けのヒーターが壁際にあるので、全部閉まらないという所が不満足でした。兄のようにレコード(時代がわかるなぁ)を大音量で聴けない、また密室にならないのでナニかと落ち着かないのです。基本的に鍵っ子(親が仕事のためほとんど家にいない)だったのですが、夜なんかはカーテンの向こうに常に母親がいます。落ち着きません。
 次の不満足は押し入れの中の壁が無い(何かと荷物の出し入れに便利だと、その昔父親がぶち抜いた。何てコトするんだ!)ため、ふすまを開けると押し入れをはさんだ父の部屋とコンニチハしてしまう所です。やっぱりコレも密室化につながりません。押入れの向こうには常に父親がいます。更に落ち着きません。
 そんな部屋で中学から高校へと過ごしていたのですが、ある日、ふと気がつくと、仕事が忙しいため、あまり帰ってこないなぁ、なんて思っていた父親が、家から消え去って(細かいことはそのうち書く)いました。壁ナシ押し入れのせいで完全な密室にはなりませんが、少なくとも今の部屋よりは快適満足空間になることは間違いありません。「父親の部屋をもらっちゃえ・・・」 私は早速母親に提案をしました。
 「日当たりの悪い四畳半なんて、子供が使うものじゃないでしょ。駄目駄目」 と軽く一蹴(いっしゅう)されてしまったのですが、こちとら高校2年生、都合に応じてオトナにもコドモにもなれる年齢です。「もう大人だってば。コレ以上大きくなったら困るから日陰の部屋の方がいいんだよ!」 ワケのわからない理屈を中心に数日間の攻防があったのですが、結局母親からの許可は下りませんでした。
 こうなったら実力行使しかありません。学校から帰ると兄も不在です。犯行(こりゃ犯罪か?)に及ぶにはもってこいです。効率よく、しかもスムーズに作業を終えるには、ナニをどうしたらよいのか、しばし考えた後に計画を実行しました。数時間後には引越しが完了し、数年間求め続けていた、「自分の部屋で好きな音楽を大音量で聴く」 という行為をしている少年斎藤がいました。
 部屋のど真ん中にベッドを横たえ、その手前にステレオラック、向こうに勉強机とテレビを置きました。そうでもしないと全ての家具が配置できないのです。勉強机にはベッドを乗り越えていくという、ほとんど床面が見えないような部屋でしたが、それでも満足度はかなり高かったのです。
 その週末、近所に住む友人(K玉ではなくN野君)を呼び早速引越し祝いです。たまたまテレビでやっていた新日本プロレスの試合を観ていると、なんと長州力がアントニオ猪木をやっつけてしまったでありませんか。友人共々狂喜乱舞してしまった思い出があります。そのおかげで、今でも忘れられない思い出になっているのです。
 が、その満足空間は長くは続きませんでした。父親がいなくなった斎藤家に大変なことが起こったのです。
 いったい、どうなってしまうのか・・・(ガチンコ風に) 


苦労の多いことと、不幸だということは違う

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