087 09月20日

続ちゃまちゃまー。 

 新しい学生服、学生帽、真っ白い肩掛けカバンと運動靴・・・・・・。
 地元の中学校に通うことになった、ばかお坊ちゃま斎藤の誕生です。えりあしなんかキレイに刈りあがってジョリジョリです。1年生は全部で14クラス。あまりにも生徒数が多いので11組以降は教室が足りなくなり、13組になったばかお坊ちゃまは、グラウンドの片隅に建てたプレハブ校舎で一年間を過ごすことになりました。
 教室をずずずいーっと見渡すと、見覚えのある顔を発見しました。週三日通っていた進学塾で同じ教室だったYです。おお、仲間発見!と、塾の中でもマジメな勉強家で通っていた彼にさっそく声をかけました。
 「やぁ、久しぶり。なんでここにいるの」 「あ、斎藤君、僕おっこっちちゃたんだよ」 「あはは、俺も。本当は受かってたかもしれないんだけどさー、パパがちゃんと合格発表見なかったみたいでさー」 「へー、受かってたかもしれないんだ、すごいね」 「まぁね。で、どこ受けて駄目だったの?」 「うん、A布とK成、斎藤君は?」 「あ、ああ・・・。お、俺はG院・・・・・・」 「なんだ、そこなら受かってたかもしれないね。僕だって模擬試験の判定は90%だったもん」 「そ、そ、そう思うだろ・・・、はは・・・」 
 実はYの受けた学校と私の受けた学校とでは、難しさにかなりの開きがあるのです。しかも私の模擬試験の判定は20%にも達していませんでした。本当に勉強のできる彼の登場でタジタジになってしまったばかお坊ちゃまです。
 「へー、それじゃこんな公立中学校じゃ物足りないよね」 「そんなことないよ」 「いや、どーせ14クラスある中で、お前が成績一番で俺が二番に決まってるって。みんな小学校時代に勉強なんかしていない奴らだよ」 「そうかなぁ・・・」 「そうだよ、だからちょっと力を抜いてあげないとみんなと同じレベルにならないんだよ」 「うん、そうだったらいいね。でもそうかなぁ・・・僕はそうは思わないけど・・・」
 成績一番の座はあっさり彼にゆずりましたが、ばかお坊ちゃま度はますます上がるばかりでした。そして中学生としての授業が始まり、やがて中間試験が始まりました。
 「うーん、なかなか難しい問題を作るなぁ。俺様がわからないんじゃ、どーせみんなはもっとわからないはずだ。先生達ももっとしっかりと問題作らないと駄目だよ・・・・・・」
 試験が返却され始め、その出来具合を目の当たりにしたばかお坊ちゃまは、ようやく自分は頭が悪いのかもしれない・・・と思い始めるようになりました。全教科返却されても、平均点に達している教科がほとんどないのですから。
 うーん、書いていて恥ずかしくなってきた。コイツは真のお馬鹿ちゃんだ。 


自信?ないわよ、そんなもの

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