116 11月07日

たすけて。 

  「はぁ、はぁ・・・」 この廊下をもう何周回っただろうか。階段を使い、あらゆるフロアに行ったことも含めると、かなりの距離を走ったことになる。客室らしきドアが両側に並んでいることや、俺以外の人間の様子を見ると、俺はホテルの中にいるらしい。さっきのフェイントが効いたのか、どうやら俺を追いかけて来た奴らをうまく巻いたようだ。
 一息つこうと階段を昇ろうとしたその瞬間、階段を降りてきた奴らと目が合った。しまった!またか・・・。奴らは 「グァッ」 と奇声を発して、再び俺を追いかけて始めた。俺は全速力で逃げ出した。
 何で奴らの足はこんなに速いんだ!廊下を歩いている人間の脇を走り抜けながら俺は考えた。が、考えている余裕はない。前方からも奴らがやってきた。このままだと完全にはさみうちになる。後ろから追ってきている奴らは、奇声を発しながら俺の足元にまとわりつき始めた。それにしてもこれだけ人間がいるのに、どうして俺がねらわれるんだ?
 通路を曲がるフリをして、すかさず180度回転した俺は、まとわりついている奴らの頭上を飛び越えた。ざまぁみろ!これで追手はひとつになった。前方から来ていた奴らと合流し、一回り大きな群れになった奴らは、更にと大きな奇声を発しながら追いかけてくる。俺は再び全速力で走り続けた。
 廊下を歩いている人間達は、誰一人として俺を助けようとしないし、俺を気にしているようにも見えない。俺の存在、いや、俺を追いかけている奴らの存在すらも視界に入っていないようだ。何故だ。いや、そんなことは後回し、とにかく逃げることに集中しよう。俺がいったい何をしたというんだ!
 ワケのわからないまま、さっき何度も走った場所を逃げ回る。足元が急に重くなった。見るとズボンの生地に数匹、奴らが喰いついてぶらんぶらんしている。くそっ!振り払おうとして足を大きく振ると、奴らの身体は大きくゆれた。しかし目だけはしっかりと俺の方を見ている。また目が合った・・・・・・、コワイ。
 目をあげるとその後ろから、何十倍もの目が俺を見ながら追いかけて来る。だめだ、もう逃げられない!奴らは俺を追いかけていったい何をしようとしているのだろう。言葉が通じるのならはっきりと聞くことができるのだが、アヒルには言葉が通じない。しかもヒナの時の黄色い羽根が残っている子供だ。いや、大人になっていたとしても言葉は通じない。
 まだ追いかけて来る。・・・・・・、助けてってば。
 「グァッグァッ・・・・・・」

 先日こんな夢を見ました。夢診断によると 「いっぱいいっぱいで何かから逃げ出したい」 のだそうです。
 んー、なんでしょ。誰か教えてください 


いくら手にいれたってきりがないということを知らないと、いつまでたっても同じだよ

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