118 11月11日

11月11日。 

 ひさしぶりです。こうして手紙を書くのは、丁度1年ぶりですね。
 私はオヤクソク通りか、また1年生を受け持つことになりました。入学して半年ちょっとの彼らは、大人の私達からは、不安半分、適当半分、本気も半分(これじゃはみ出てしまうか・・)に見えてしまいますが、彼らなりに毎日を一生懸命に過ごしているようです。女子の人数が男子よりずっと少ないのに、クラスの主導権を女子が握り始めているのは、3年前に貴方がいたクラスとなんだか似ています。彼らは、学校では他人の目を気にして、目いっぱい元気なフリをしているくせに、学校を離れるとイッパイイッパイ、大人にはわからないギリギリの毎日を過ごしているようです。貴方もそうでしたね。
 数え切れない程いた貴方の友達の中には、卒業がちょっと遅れたヒトや、事情があって学校をやめてしまったヒトもいましたが、そのほとんどが今年の3月に卒業していきました。
 「弁当が食いたくてほか弁まで来ちゃったー」 「飲み屋でバイトしてるから来てー」 「子供生まれたー」 「仕事やめちゃったー」 「専門学校やめちゃったー」 「専門学校の授業はおもしろいよー」 「またオトコにだまされたー」 「仕事始めたよー」 「妹をよろしくー」 「メシおごってよー」 「東京のラーメンはうまいよー」 「ウチの商品買ってー」 「ボサにいるから来てー」 「ゴハン食べに行こー」 「スエヒロ行こー」 「携帯変えたよー」 ・・・・・・
 偶然街で会ったり、携帯に連絡してくれたり、学校までオミヤゲ持って来てくれたりと、手段はいろいろです。就職した者、進学した者、夢に向って努力を続けている者、地元を離れた者、結婚した者、親になった者(ん?計算がオカシイ・・・)、など、それぞれのフィールドで頑張っていることを伝えてくれるヒトが絶えない半年ちょっとでした。そんな彼らと接するたびに、行動派な貴方なら何をしていたかなぁ・・・、なんて考えてしまう私がいます。
 そうそう、貴方がいなくなってからしばらく経ったある日、当時の1年生が泣きながら私のところに来ました。しばらく学校を休んでしまっていたので、貴方のことをその日まで知らなかったというのです。
 たまたま使う駅が同じなだけで、貴方から声をかけなければ接点さえなかったでしょう。けれどもそれがきっかけで、当時いろいろと悩みを抱えていたその子の良き相談相手になってあげ、夜中でもなんでも、メールや電話で元気を分けてあげていたそうですね。その子にとって、貴方はあこがれであり、目標であり、なくてはならない先輩だったそうです。いつも元気いっぱいだった貴方らしいですね。胸がいっぱいになりました。
 そんな後輩思いの貴方のことです。こうして貴方のことを思い出して、貴方の元気を分けてもらって、「生きていく」 ことの大切さを伝えることを許してくれますか。
 「イエーィ」 とピースしてくれている笑顔が浮かびます。
 そこでも元気なんだろうな。おい。
                                                      たー 


年をとるごとに大切な年になる

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