146 12月20日

究極充電。 

 かなり寒くなってきました。だからというワケではありませんが、鍋料理のひとつ、「湯豆腐」 の話です。
 実は私は、湯豆腐を食べるために独りで京都まで行ってしまう程の湯豆腐好きです。いや、湯豆腐マニアか、湯豆腐お宅でも構いません。
 鍋を使う、という料理の性格上、各地方や各家庭で様々な作り方があると思いますが、私なりにベストだ、と行き着いたモノを紹介します。
 豆腐は木綿です。この地に越してきてから、市内市外を含めてかなりの数、豆腐屋めぐりをしました。硬さ、コク、味、値段、おばちゃんの愛想・・・等など、いろいろと吟味した結果、行き着いた豆腐屋は、JR足○駅に程近い、レストランの裏手にありました。「本当に木綿豆腐なのか?」 と疑ってしまうくらい柔らかいその豆腐は、湯豆腐にすると更に柔らかさが増していきます。
 たれは市販の白だしを使います。かつお削り節からだしを取り、そこに葛(くず)でとろみをつけるという具合に、かなり手間ひまかけて作ったこともあるのですが、ちょいと手抜き。
 鍋は出来ればたれを温めることが出来る器(うつわ)の付いた、湯豆腐専用のものが好ましいです。無ければ普通の鍋に、たれを入れた湯呑みを入れるのでも良いです。
 鍋に北海道利尻産の昆布を一切れ敷き、水を張ります。一丁を18等分(3×6)に切った豆腐をそそぉーっと入れ、弱火にかけます。
 長くこんなことをやっていると、たれの入った器を触るだけで、豆腐自体の温まり具合がわかるようになります。「今だ!」 という瞬間にふたを開けると、ふわぁぁっっと湯気が立ちます。透き通った湯(粗悪な豆腐だとにごってしまう)の中で、「早くすくわないと熱くなっちゃうよぉ〜」 と、ゆらっと動いて自己主張している豆腐を、すかさずすくいあげます。
 取り皿にたれ、刻みネギ、一味唐辛子を入れ、すくいあげた豆腐をぷるんっと入れます。箸(はし)を刺しても崩れないその豆腐に箸をつつーっと刺して、つるんっと口に流し込むと、ふわっととろけ、はふっとのど元を通り過ぎていきます。ひと口ひと口に感動しながら、「ぷるんっ、つつーっ、つるんっ、ふわっ、はふっ」、を18回繰り返し、幸せを楽しみます。
 豆腐が終わったら次は昆布です。鍋から取り出し、両手ですすーっと割き、たれをつけて食べます。
 最後は豆腐と昆布ですっかりいい味の出た鍋の中の 「湯」 を、たれの残った器に注ぎます。極上の出し汁(?)をずずーっと飲んで締めくくります。ここまで約1時間。
 鍋の中は豆腐と昆布だけといったシンプルなモノなので、ごまかしがきかないまっすぐな味がします。それでいてなかなかに奥が深いのです。Simple is best なんて言葉もありますから、我々ニンゲンも見習わないといけないなぁ、なんて思いました。
 そういえばこの湯豆腐、最初は冬場だけだったのですが、気が付くと真夏の暑いさなかでも食べていました。しかも数年間・・・・・・。
 諸君にはまだわからないと思いますが、乙(オツ)なモノですよ。
 乙ってなんだ?調べてください。 


明日は今日よりいい日に決まってる!

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