084 09月17日

24時間。 

 夏の思い出バナシはもうやめようと思っていたのですが、昨日のハナシを引きずっちゃっての、ちょいと違う夏の思い出バナシをします。
 今でこそテレビ各局がこぞって同じような長時間番組を制作・放映をしていますが、そのハシりは昨日話題にした、民放某局の24時間テレビだと記憶しています。今のように深夜に番組放映などしていない時代の話です。こんな夜中に本当に放送しているんだな、日本全国で昼夜を問わず会場を設置して募金活動をおこなっているなんて不思議だな・・・そんなことを考えながら眠い目をこすり、画面を見つめていた中坊の私でした。
 その番組をきっかけに、ジュースの大型ボトル(当時は今のようにペットボトルなんてものは無い。「ホームサイズ」 なんて呼ばれていた1リットルのガラス瓶。重い・・・)に小銭を蓄え始めました。もちろん目標は翌年の24時間テレビに持っていくことです。そして翌年、再び24時間テレビの季節がやってきました。
 夕刻、友達数人と小銭のつまったボトルを手に、会場の日本武道館に向かうべく駅に集まりました。なんだかいつもより電車が混んでいるような気がします。周りのヒト達皆が日本武道館に行くように思えてなりません。
 「早く行かなくっちゃ。これ渡す時に河合奈保子(わっかるかなぁ)ちゃんと握手するんだもーん」
 我々の目標は募金そのものではなかったような気がします。てゆーか、目標は奈保子ちゃんです。「日本武道館のステージで、募金を手渡しながら握手をする」 これが目標でした。
 電車に揺られること約一時間、日本武道館近くの駅に到着した我々が見たものは、小脇に小銭の入ったボトルやら貯金箱やらを抱えたヒトヒトヒトの波でした。
 「あ゛〜〜〜っ。早く行かないと奈保子ちゃんが欽ちゃんに変わっちゃう」 「欽ちゃんでもいーじゃないか」 「欽ちゃんじゃ駄目だ」 「そうだよ、奈保子ちゃんだよ」 「早くしないと欽ちゃんすらいないかもしれないぞ」 「徳光さんだけとか?」  「福留さんかもしれないぞ」 「どっちもいかーん!」 「いぞげー!」
 ヒトの波の間を縫うように我々は武道館へと突き進み、ようやく入場しました。案の定、ステージに程近い席は満席で、私達が座れたのは三階席でした。欽ちゃんや徳光さんの小さいこと小さいこと、豆粒ほどの人間って本当にいるのですね・・・・・・。
 三階席から見下ろしていると、ステージ上に、豆粒ほどの大きさの奈保子ちゃんが登場しました。
 「出たー!」 「よーし、いくぞー!」 
 ステージに通じる通路を突進したのですが、結局、長蛇の列の一部と化してしまいました。それでも、数分間に数歩ずつ、着実にステージが近づいているのがわかります。ようやく一階アリーナフロアへたどり着きました。ステージ上に立っている、タマゴほどの大きさになった奈保子ちゃんが見えます。
 黄色いTシャツを着た奈保子ちゃんがジワジワと近づいてきます。我々の鼓動は高まり始めました。ようやく、フロアからステージへと続く階段にさしかかったその時です。
 「ありがとうございましたぁ〜。奈保子ちゃんはお帰りでぇ〜す!」 
 アナウンスとともに消える奈保子ちゃん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 数分後、ステージに出てきた番組スタッフへ募金を手渡す我々がいました。
 あなわびし。悲しき中坊軍団のハナシはつづく・・・・・・。  


幸せを感じた瞬間を思い起こそう。まわりの人にも聞いてみよう。「これまででいちばんの一日って、どんな日だった?」話すにつれて、相手が力強くなっていくことに気づくだろう。いつでも、もっと生き生きとしたあなたになれる

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