104 10月21日

石井園芸。 

 最近冷え込む日が多くなりました。こういった日が続くと、必ず思い出すことがあります。丁度この時期にその仕事に就いていたからでしょうか・・・、今日はそんな話を。
 若い頃(お決まりだが今でも若いってば)、植木屋で仕事をしていました。植木屋といってもバカボンのパパのように、脚立(きゃたつ)に乗って植木バサミで庭木をチョッキンチョッキンという植木屋ではありません。職場は都内の成城学園(これは地名だぞ)ってところにありました。都内のオフィスや店舗等を中心に、観葉植物を月単位でリースして、その交換や手入れをするのがメインの植木屋です。
 朝8時半に出勤します。作業ズボンとドカジャンに着替えていると、その日一日、3台あるトラックに誰と誰が乗って仕事をするかといった、配車スケジュールを社長が伝えてきます。温室の前にトラックを横付けして、高さ2m程のものから、教室にあるような小さなものまで、その日のコースに従って観葉植物を荷台に、オカミさんが淹(い)れてくれたポットのお茶と仕出し弁当はシートの後に、それぞれ積み込んで、時計の針が9時を回る頃に事務所を出発します。
 植物に関する知識と、地図を見なくても都内の道路を走れる知識がついたので、それらは今でもかなり役にたっていますが、仕事そのものは単調でした。仕事中の楽しみといえば12時から1時までの昼休みにする昼寝と、移動中のトラックで聞くラジオ、それと同世代のヒトと同じトラックになった時の、他愛のない会話くらいなものでした。
 そんな中、走行中の車内から目が向いてしまうのは、街を歩く女の子であったり、美味そうな飲み屋さんであったりしたのですが、ナニブン寒い冬場のこと、カラダは、「あったか〜い飲物」 を欲求してきます。
 缶コーヒーがあまり好きではない私のお気に入り飲料は、コーンスープでした。どこどこのメーカーはコーンが浮かんでいないとか、塩気が足りないとか、粉っぽいとか・・・、くだらないかもしれませんが、それなりにこだわりを持って飲んでいました。
 ですから、お気に入りのメーカーの自動販売機があると、無理にでもトラックを停めて買いに走ったものです。そのうちに、女の子や飲み屋さんを探すよりも、街中に点在する自動販売機を探すことが、移動中の楽しみになっていきました。コーンスープ以外の、スープ系飲料にも心惹かれる私でした。
 お気に入りメーカーでなくても、興味を惹く自動販売機があれば、帰社時間が遅れてしまおうが、チェックをいれました。そして珍しい、あったか〜い系缶飲料があれば即ゲット。会社に戻ってから他のトラックのヒト達にお土産であげたり、報告したり、自慢したり・・・。
 どうでも良いことに一生懸命だったんだなぁ、なんて、こういう肌寒い時期になると、思い出してしまうのでした。
 このハナシ、もう少し続けます。 


おまえならできる!

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