110 10月30日

ひとりでヤッて、ピー。 

 今日は出張で、諸君の前に私は居ません。ごめんね。
 諸君のウチにはどんな 「家電」(イエデン=家の電話の略。年配読者への注)がありますか。ウチには留守番機能がついた電話機がありますが、今ではほとんどその機能を使っていません。携帯電話というものがありますから・・・。
 留守番電話が流行っていた時代があります。私も留守番電話機能がついた、当時としては最新式に近いのものを買いました。機械的な、「ただいま留守にしております・・・」 が嫌だったので、自分でメッセージを吹き込みました。友人の中には、「いねーよ!残念だったな・・・」 とか 「はい、もしもーし。ちょっと遠いいのですけど・・・・・・なーんてね。留守だよーん!」 とか 「恋を探しに旅に出ています・・・」 など、おふざけメッセージを録音しているヒトも何人かいたのですが、私はそういったモノが苦手なので、ごく普通のメッセージを録音していました。BGMを入れて・・・。
 ツウ好みの曲だったり、季節にあった曲だったりと、選曲はさまざまでした。使う部分もイントロだったりサビだったりギターソロの部分だったり・・・。何か曲を聴いていて、「お、ここいいねぇ。今度留守電で使おう」 なんてコトを考えるのは、日常茶飯事のことでした。
 ステレオ(コンポ、オーディオ、なんて言わないのだ)の前に電話機を持ってきます。右手でカセットデッキ、左手で電話機を操作し、メッセージの録音を始めるのです。もちろん一回でうまく録音できるはずありません。誰かに見られてしまったら相当に恥ずかしいこの作業は、延々と続くのです。そして出来上がった留守番メッセージを聴いて、ニヤニヤするのです。本当に恥ずかしいったらありゃしません。
 今ではICの普及で少数派になってしまいましたが、電話をかけたヒトが残すメッセージをマイクロカセットテープに録音する電話機が、その多くを占めていました。携帯電話などほとんど普及していない、連絡をとる唯一の手段が、「家電」 だった時代の話です。
 友達のアパートで飲んでいる時、「おい、ミネオも呼ぶか、電話しようぜ」 ということになりました。電話をしても彼の声で留守番メッセージが返ってくるだけです。何度かかけ直したのですが、ミネオは一向に帰宅してきません。「なんだよ。せっかく呼ぼうとしたのに・・・」 だんだんとイライラしてきた我々は、「発信音の後にメッセージを残してください。ピー・・・」 と繰り返すだけの彼の留守番電話に、メッセージを残すことにしました。
 「ピー・・・こんばんは、森進一です」 「ピー・・・ヤングマン!西城秀樹です」 「ピー・・・郷ひろみで〜す。り〜」 「ピー・・・おいっす!いかりやだ」 「ピー・・・志村だよぉ〜だっふんだ」 「ピー・・・カトちゃんぺ。へっくしん!」 「ピー・・・おすぎです」 「ピー・・・ピーコもいるわよ」 「ピー・・・うほうほっ。ゴンタ君ですのっぽさーん!」 「ピー・・・・・・・・・(←のっぽさん)」 「ピー・・・ま、このぉ〜田中角栄だ」 「ピー・・・記憶に御座いません。児玉誉士夫です」 「ピー・・・西川ですぅ。ヘレンと一緒に頑張りましたぁ」 「ピー・・・ベルトクイズQ&Q、司会の押坂忍です」 「ピー・・・ニューヨークに行きたいかぁ〜!第一問、自由の女神像の・・・」 (後半は諸君にわからないか)
 何度も電話をし、マイクロカセットの録音時間の全てを、似てないモノマネシリーズで使い果たしてやりました。程よく酔っていた我々は、かなり抱腹絶倒な時間を過ごしました。深夜に帰宅したミネオ君も数十分間、ひとり電話の前で抱腹絶倒していたそうです。てか、真似しないように。
 明日は、漢字検定&日本語運用能力検定です。さ、自分を試してみましょーね。 


想ってても、言わなくちゃ伝わらないんだよ

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