118 11月12日

みなさーん、サイテェーですか。 

 一昨日の原稿を書いていたら思い出してしまったので、書いておきます。
 サイトォーはサイコォーの時もあるのですが、今日はサイテェーなハナシです。
 高校時代、彼女がいるのにも関わらず、他の娘とデートをしたことがあります。反対側のホームから私を見ていた、という手紙をもらい、手紙や電話だけの友達ならいいかな、と思って友達付き合いをしていたのですが、今度一緒に出かけよう、という話になってしまいました。いや、そう仕向けたのは私だったかもしれません。本当に男ってサイテェーです。
 男たるもの、デートするのだったらリードしなくてはいけません。中学生の頃から楽器屋めぐりだなんだで、よく遊びに行っていた渋谷に行くことにしました。渋谷でデートといっても、西部デパートA館B館、パルコ、イシバシ楽器、ヤマハ楽器、カワイ楽器や、数店舗ある輸入レコード屋に行って、センター街をふらついて食事して帰る程度のモノです。
 ひと通り、私にとってのお決まりコースを回ったあと、食事をしようということになりました。付き合っていた彼女ともよく渋谷に出かけていたので、ある程度安くておいしい店は知っていましたが、サイテェーの私でも、彼女と行く店にその娘と行くなんてことはできませんでした。その娘とは適当な店でいいや、と思い、センター街の適当な喫茶店に入りました。これもある意味サイテェーな行動ですが。
 「ふぅ〜、お腹空いたね。何食べよっか」 「何にしようか」 「はい、メニュー」 「うーん、どうしようっかなぁ〜」 「あ、俺サンドイッチにしよっと」 「じゃ、私はスパゲッティ」 「すみませ〜ん、ミックスサンドイッチとぉ・・・」 「スパゲティナポリタンくださぁ〜い」
 しばらくたってからテーブルに運ばれてきました。
 「いただきまーす」 「いただきまーす」 「モグモグモグ・・・ん?どうしたの」 「なんだかムシが入ってるみたい・・・」 「え“?どれどれ」 「ほら、ここ」 「う”わ“っ!本当だ」 「まだ生きてるみたい」 「動いてるよぉ」
 運ばれてきたスパゲティナポリタンの、具とパスタの隙間で小さなムシが動いていました。明らかにチャバネゴキブリです。炒められて気持ち弱ってしまったようですが、まだ触覚がウヨウヨと動いています。ゴキブリだ、とは言わず、「ムシが入ってるので作り直してくれ」 と店員を呼びました。
 再びスパゲティナポリタンが運ばれてきました。
 「平気かなぁ・・・」 「平気だと思うけど・・・」 「でもコレなんだか作り直してないような気が・・・」 「ムシだけ取り除いたのかも・・・」 「あ“っ!」 「あ”っ!」 「またいた!」 「動いてる!」 
 さっきとは少し大きさの違うチャバネゴキブリが、タマネギの下でケチャップ色に染まっていました。やはり触覚がウヨウヨと動いています。ああ・・・。再び作り直してもらうことはせず、サンドイッチに変えてもらいました。食べる前に中身を点検したのはいうまでもありません。サイテェーのオトコのサイテェーのデートになってしまいました。それにしてもサイテェーな店です。もちろん今はなくなってしまいました。あたりめーだ。
 彼女に内緒でデートなんかしたからバチが当たったのだろう、と素直に思った私です。
 ごめんね。 


誰でも365日、ずっと好きってことはないだろ

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