134 12月05日

ば〜そまいう〜。

 諸君の年代に、好きな麺類はナニ?と問うと、「ラーメン」 と答えるヒトが大半だと思います。先週話をしたように、私もインスタント、カップ、店屋モノ問わずに、ラーメンは好きでした。どういうわけか年を取ってくると、身の回りに 「蕎麦好き」 という人種が目立ち始めます。そういう人種が増えてきても、私は蕎麦を食べるために自ら進んで蕎麦屋に入るという行為はしていませんでした。まぁ、好きでも嫌いでもありません、フツーって感じでした。
 この学校に勤務するようになってから、足利の地に越してきました。蕎麦好きな後輩Kに、「拓さんの住んでいる街に 『一○庵』 (全国にある同名の蕎麦屋の総本山、オオモトだな)があり、大変ウマイらしいので、今度行きましょう」 と誘われるまで、その存在すら知らない、蕎麦に無関心な私がいました。
 後輩Kを含む友人達が遊びに来た時、モノは試しと思い連れ立って行ってみたのですが、元来蕎麦好きでもなんでもない私にはピーンと来ませんでした。「フーン・・・、こういうのがウマイ蕎麦なのか・・・」 といった印象でした。
 ある日、遊びに来た生徒達と山の方にプチっとドライブに行きました。通りがかりの釣堀で遊び、ついでに食事も済ませて帰りました。鱒の塩焼き定食。
 次にそこに行った時、あまり空腹ではなかったので、ご飯モノは入らないと思い、蕎麦を注文しました。待つこと数分、出てきた蕎麦はごくフツーのモノに見えました。「あぁ、ありきたりのモノだ・・・」 と、ずるずる〜っと口に流し込み、ぐゎしっ、と噛んだ瞬間、今まで体験したことがない感覚と味覚につつまれました。「蕎麦を食っている!」 そんな印象がビンビンでした。
 件(くだん)の後輩Kが遊びに来た時、「ちょっと気になる蕎麦があるから食べてみてくれ」 と、なかば無理やりに連れて行きました。先にも書きましたが、食事こそ出来ますが、そこは普通の釣堀です。座敷の壁にはたった一枚 「そば」 と書いた和紙が貼ってあるだけです。ここで蕎麦も食べられるぞぉ!という自己主張が全く無いその店で、「こんな所で蕎麦なんか食えるんですか?」 と突っ込まれながらも、注文した蕎麦を待ちました。
 蕎麦到着。ずるずるずるぅ〜・・・・・・、ぐゎしぐゎしぐゎし・・・・・・。ずるずるずるぅ〜・・・・・・、ぐゎしぐゎしぐゎし・・・・・・。ずるずるずるぅ〜、ぐゎしぐゎしぐゎし・・・・・・。
 都内を中心に、各地でウマイ蕎麦だといわれている店の味をよく知っている後輩Kは、「今まで食った中でも一、二を争う程に美味い蕎麦だ」、と絶賛に近い感想をもらしていました。どうやら私の味覚はまんざらでもなかったようです。
 その後、あちらこちらで蕎麦を食べる度に、そこの蕎麦のウマサを確認している私がいました。今では、他では蕎麦を食べたくないほど、そこの蕎麦が大好きな私がいます。
 鰍(かじか)の骨(こつ)酒なんていう粋狂(すいきょう=モノ好き)な一品もあるその場所、数年後に諸君が蕎麦好きになったら紹介します。
 しまった、また酒ネタがからんでしまった。すみません。
 試験4日目。あと少し。
 よい週末を。 


未来にはまだ失敗はない

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