137 12月10日

明日だぜ。 

 さて、血のシーズンになりました。
 だからといって、センヌキで攻撃された額(ひたい)から流血しているブッチャー(プロレスラー)を想像する必要はありません。というか、諸君の世代では想像しないか。
 医療現場で治療などに使われる血液の量というものは、年間を通してほぼ一定だといわれています。ところが冬場は、風邪をひいたり体調を崩したりするヒトが多いせいか、献血をするヒトがぐぐっと落ち込むのだそうです。要するに新鮮な血液が極端に少なくなるのです。もちろん医療現場では新鮮なシボりたてのモノが最も適しているので、この時期に献血のお願いが来るのです。というわけで、今は血のシーズンってことになります。
 私が生まれて初めて献血をしたのは、諸君と同じ高校生の頃でした。学校帰りに駅の改札を出ると、いかにもなタイプ(どういうモノが 「いかにもなタイプ」 かはそのうちにね)の女子高校生が、「献血お願いしまぁ〜すぅ」 と道行くヒトに声をかけていました。私はいかにもなタイプだったその娘に、ワザとこちらから目線を合わせました。「あ、おにぃさぁ〜ん、献血お願いしまぁ〜すぅ。け・ん・け・つ・・・・・・。うふっ」 いかにもなタイプの娘から、こんな攻撃を仕掛けられたらたまったもんじゃありません。初めてだろうがなんだろうが献血バスへGO!してしまいました。献血を終えた後、再びいかにもなタイプの娘に手を振って、ニヤニヤしている高校生斎藤でした。きっかけなんてクダラナイモノですね。それ以来、現在に至るまで、割と頻繁(ひんぱん)に献血をしてる私です。
 「はい、腕見せてくださぁい」 「ど、どっちですか」 「じゃ、両方見せてください」 「は、はい」 「うわぁ、どちらも立派な血管ですねぇ」 「は、はい。自慢の血管です。大事に育てました」 「針刺しますよぉ、ちっくーん!」 「うっ・・・・・・。ほわぁぁぁぁ」 「はい、手を握ったり開いたりしてください」 「にぎにぎ、ひらひら」 「あ、すっごい勢いで出ますね。にぎにぎしなくてもよいですよ。立派です」 「じ、自慢の血管ですから・・・・・・」
 どうやら私の血管は献血に適しているようです。針が刺しやすいのです。
 まぁ、冗談めいた話はさておき、このような世の中ですから、いつ、いかなる時に輸血をされる側になるかわかりません。万が一そんな時があったら、きっと名前も顔も知らない献血の協力者に感謝することになるのでしょう。そんなことを考えると、私は献血せずにはいられなくなるのです。
 諸君も、特に体調が悪いわけではなく、「献血をしても大丈夫なカラダ」 であれば、ドバドババシバシと献血に協力しようじゃありませんか。献血をする、という行為はどう考えてもイイコトです。何かイイコトをした後って気持ちが爽(さわ)やかになりますものね。
 献血したいのに条件がそろわなかったヒトはまたの機会に、そうではなければ一緒ににぎにぎしましょう。
 献血は明日だ。 


遠回りした分、きっと得るものも多いと思います

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