163 02月04日

留年注意だ福を呼べ。 

 昨日は節分でした。諸君はそんなこと放っておいて試験です。マメマキのハナシでもしようと用意はしてあるのですが、昨日の続きです。
 ま、その卒業論文のテーマを近世あたりに絞ってきたのですが、それでもまだまだイメージがわきません。近世のナニを研究したらいいのか、ナニをもとにしてそのナニを見つけたらいいのか・・・・・・。
 その頃よく受けていた講義で、江戸時代のことを学んでいました。「江戸っ子は宵越(よいご)しの銭を持ち歩かない」 「高い金使って女遊びに行く」 「見栄っ張りできっぷがいい」 ・・・・・・等などです。「江戸っ子」 といわれるヒト達に興味がわいてきました。なんだかファンキーなヤツらです。いったいどうしてそんなファンキーになっちゃったのでしょう。「江戸っ子」 ってどーやって出来ちゃうのでしょうと考え始めました。
 「江戸っ子気質(かたぎ)の成立」 といったテーマに決めました。後はどの文献(ぶんけん=本)を使ってそれをひも解いていくか、ということを決めなくてはなりません。近世文学に興味は持ち始めていましたが、やはり文学というものは苦手です。本だってあまり読みたくありません。てかもう4年生になってしまってましたし・・・。残された時間は限られてきました。ある日、講義を受けていると、卒論担当の教授がこんなことを言いました。
 「川柳(せんりゅう=俳句のような五七五の文学)なんかを卒論の題材にすると良いですよ。ホラ、原稿用紙に川柳書くとね、その両脇に一行づつ空白をつくらないと読みつらくなりますよね。行かせぎが出来るんです。規定の枚数なんてすぐですよ。あっはっは・・・」
 確かにそうです。卒業論文には、原稿用紙60枚以上という規定がありました。24000文字です。もちろんそれまでそんな作業をしたことない私は、その60枚クリアに関しても、なにか秘策はないか、と考えていた最中だったのです。「冗談だぞ、真に受けるなよ」 という意味もあったのでしょうが、私は教授が放った言葉の通りにすることにしました。
 「先生、私は本当に川柳を使って、江戸っ子気質について調べようと思うのですが・・・」 「あ、本当にやるの?あれ」 「はい、や、やらせていたいでも・・・」 「内容がよければ良いでしょう」 「は、はい。頑張ります」
 うっひっひっひ。やりましたやりました。内容さえしっかりとしていれば、卒論として認めてくれるというのです。そうと決まってからは、図書館に通いづめでした。そうやって数ヶ月かけて調べた内容を、ようやく書き始めたのは、卒論提出締め切りの数日前でした。もっと余裕持って書きゃいーのに、「まだいいや、まだいいや」 でそれが出来ないのが私でした。
 論文提出締め切り時間が一秒過ぎても、大学は受け取ってくれないとのこと。電車の時刻を考えながら、必死で書き続けました。二晩徹夜が続きました。ペンを持つ指は、痛いのだか感覚がないのだかわかりません。書きあがったあと、鏡を覗いて大笑い、目の下にクマを作ったのは初めてでしたから。締切日当日に提出でセーフ。なんと評価はB◎でした。
 でもね、フツーに他教科の単位落として、結局留年することになっちゃったんだな・・・、意味ナーシ。
 試験二日目。戦え。 


あなたは人の見ていないところで努力しているね。でも知っている人は知っているよ

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