003 04月14日

まじめに考えよう。 

 家族の皆様、さきだつ僕をお許しください。僕はお父さんにおこられて家にこなくなったA・B・C・D・Eに、学校でいじめられていました。みんなたった一日で態度がかわり、皆、僕を無視しはじめました。そうじの時間はトイレで服をぬがされたり、水をかけられたりしました。いたずら電話もよくありました。僕がでると受話器をとったとたんきれてしまいました。またお金のふんしつはしょっちゅうありました。五百円玉を2枚持っていくと、帰りには1枚になっています。このようなことがつづき、今では五千円近くうばいとられました。まだまだありますが僕はもうがまんできなくなりました。
 学校へ行っても友達はいますが、その友達に僕を無視させたりしていそうで、とてもこわいのです。生きているのがこわいのです。あいつらは僕の人生そのものを奪っていきました。僕は生きていくのがいやになったので死なせてください。
 それからお父さん、自転車を買ってくれて本当にありがとうございました。まだ1週間ものっていないけど、本当に感謝しています。自転車はFちゃんにでもやってください。あいつらはGやいろんな人をいじめていました。まだその、いやそれがどれほど悪いことなのか分かっていないようなので僕がぎせいになります。僕のまだきれるコートや服はH・I・Jなどにあげてください。僕のものなんかとっていてもしかたないのでそうしてください。バスケットボードはK君にあげてください。家族のみなさん、長い間どうもありがとうございました。
 平成○年○月○日 K中一年 IH

 これはいじめを苦に、自ら命を絶ってしまった中学生の残した遺書の全文です。日付・学校名・本人氏名は伏せましたが、遺書そのものにはきちんと記入されていました。当時1年生だったIH君はこの遺書を残し、夜中の3時頃、自宅の庭にあるバスケットゴールにひもをかけ、自らの命を絶ってしまったのです。
 さて3年1組3日目です。今日も昨日に引き続き、諸君と個人面談をしていこうと思います。かといって諸君を放ったらかしにもできませんし、暇にさせることもできません。それなので、これを読んで感じたこと、考えたこと、自らの経験から語れること、また、どうすればこのような悲しい出来事が起きなくなるか等、何でも結構です。高校生活最後の年(になればいいよな)の始まりに、ちょこっと時間を割いて考えてみてください。
 と、いうワケで用紙を配ります。氏名欄は空欄でも構いません。
 こういった問題に真正面から取り組むことが、快適空間に近づく第一歩だと思いますから。
 そういえば明日から授業開始、朝読も始まります。本持って来いよー。


話を聞いてほしいなら、まずは話を聞くこと。あなたから

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