043 06月15日

ジャガイモの思い出。 

 昨日諸君に紹介した友達の家には、高校時代から音楽でメシを食うことをあきらめる大学5年生の時まで、何度も行っていました。車で片道30分程度の距離です。当然のごとく彼の部屋は、音楽に関した機材、オーディオ、レコードで埋め尽くされています。その部屋では、皆で集まって飲み会をすることもありましたし、一人で行くこともありました。
 皆で集まって飲む時は、彼の母親が決まってジャガイモのフライを作ってくれました。小ぶりのジャガイモを皮付きで丸ごと揚げて、ツマミとしてぴったりの味付けをされて出てくるのです。ホクホクのそれをハクハクっとイクのです。皆の大好物となってしまった定番メニューです。
 皆がだんだんといい気持ちになってくると、必ずといって良いほど黒ひげ危機一髪というゲームが始まります。樽の穴に剣を刺して行き、黒ひげが樽から飛び出してしまったヒトが負けのゲームです。負けてしまった時のバツゲームがもの凄く恥ずかしいので、結構どきどきモノでした。諸君が現代文の時間にやっている、スピーチのくじ引きどころのレベルではありません。その恥ずかしいバツゲームの名前は、「ママの刑」 といいます。
 だってね、ズボンと下着をヒザまで下げてよちよちと歩きながら、右手で顔をフキフキと、泣いたフリをして、「ママー!」 と叫ぶのです。そして近くの路上で向こうから走ってきたタクシーを停めるのが、「ママの刑」 なんですもの・・・・・・。やる?
 一人で行く時は曲を作りに行くことが多かったです。「曲ができたからベースを考えて欲しい」 「曲を録音したからベースをかぶせて欲しい」 と電話を受けて行ったり、「かっこいいベースのフレーズを思いついたから聞いて欲しい」 と、私の方から連絡して行ったりすることもありました。
 皆で飲んで泊る時も、曲作ってから飲んで(やっぱ呑むのかよ)泊る時も、ほとんど2階の彼の部屋で過ごしますから、トイレに行く時だけ1階に降ります。1階に降りると、彼のご両親が過ごしている部屋の前を通過してトイレに行きます。その部屋では、だいたい父親が晩酌かなにかしているので、「おじゃましてまーす」 「はい、こんばんは・・・」 と挨拶を交わして用を済まし、再び2階に上がっていくのです。「呑みに行った時だけの顔見知り」 の彼の父親でした。
 昨夜、そんな彼の父親が亡くなったという訃報(ふほう)を聞きました。通夜は今夜(これを書いているのは10日、諸君がこれを目にする今日は15日)ということなのですが、横浜という、ここからはかなり離れた土地ということもあり、参列することはできませんでした。私にできることは、こうして彼や彼の父親の思い出を諸君に伝えることくらいです。
 私も彼も今年は39歳です。おかげさまで私の両親はまだまだ元気(母と離婚した父は、都内でアル中じーさんとして大活躍中)です。けれども、もっともっと大事にしていかないといけないな、と再認識をさせてもらった私がいました。御冥福をお祈りいたします。
 あー、ジャガイモのフライ喰いてーなぁ。諸君も親御さんを大事にするべし。
 ぢゃな。 


ひとつひとつの行動に意識を集中しよう。無意識に行動する限り、目標に到達することはない

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