050 06月24日

6月22日の私。 

  昨日親父に会ってきました。私が病院に着いた時には、更なる治療が施されていた所で、すぐには会えませんでした。久しぶりに会う親戚一同とロビーで待つこと数時間、処置が終わってようやく会うことができました。
 子供の頃、叱られる時には必ず正座をさせられて、思いっきり頬をはたく強い父親でした。両手で腕相撲をしても勝つことのできない強い父親でした。肩車をしてくれたり、両手を持ってぐるぐると回してくれたり、何をやるにも強い父親でした。そんな父親の面影がまったく感じられないような、弱弱しい姿に変わり果てた親父がいました。親父には意識がありません。鼻と口にはチューブが差し込まれています。
 親父の妻、兄、妹、私の兄、叔母、をさしおいて真っ先に親父のもとにかけ寄りました。「親父、タクだよ、来たよ、死ぬんじゃねーぞ!」 と言いながら、優しく親父の髪の毛をなでました。何度も何度もなでました。なでているうちに涙がぼろぼろ出てきました。何か言いたそうな口元に耳を近づけ、そのまま親父に頬(ほお)ずりしました。暖かい頬でした。「まだ生きてるよ。死なねーぞ」 という気持ちが、親父の頬を通して伝わってきました。なんだか安心し、さらに涙が出てきてしまいました。親父の髪をなでるのも、親父に頬ずりするのも初めてです。
 我々が何か呼びかけると、わずかに口元が動いて反応しています。聞こえているようです。私達からみると、ただ寝ているだけに見える親父も、自分の中で戦っているのです。頑張れ!死ぬんじゃない!まだ70歳過ぎたところじゃねーか!人生まだまだこれからでしょ!ここで死んだら俺の親父じゃねーよ!・・・。様々な思いが頭の中に湧いてきて、それをそのまま言葉にして呼びかけていたような気がします。
 処置が適切にできたので、このまま落ち着くでしょうという話を、医師がしてくれました。とりあえず一安心した我々は、病院の最上階にあるレストラン(食堂ではないんだな。夜景が一望できる高級レストランがあるんだな)で食事を摂(と)りながら、久しぶりの再会で話に花が咲きました。
 ・・・という原稿を書いている今、兄から、「親父今日明日でたぶん駄目だろうとのこと」 とメールが入りました。この原稿を書いている今は6月22日19時です。諸君がコレを目にするのは、24日のハズです。今日6時間目の授業の時、諸君には、朝には意識も戻って落ち着いていると伝えましたが、再び容態は悪化してきたということでしょう。
 昨日親父に会う前(昨日のPosiの原稿を書いていた東武線車内だな)と、会った時(今日の原稿の内容だな)で、さんざん涙を流しました。もちろん助かって欲しいし、まだまだくそ酔っ払いとして生き続けて欲しいと思いますが、今、こうして兄からの連絡を受けて、「ああ、やっぱり駄目なのかな」 と覚悟が出来ている私がいます。
 てかまた涙が出てきた。ホント泣き虫で悪かったな。
 じゃな。 


賢くなる必要などない。正直に生きさえすれば

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