51 02月02日

良い話に触れておくのも良い・・・

 毎日新聞社主催、「第十回「夢の旅」作文コンクール、小学校・中学校・高校の各
部門の入賞者が決定しました。中学生の部最優秀賞、宮崎県都城市立沖水中学
校三年の野崎成一さんの作文を紹介したいと思います。

    「外は快晴。空飛ぶアヒル君はピラミッドを見あげております」「アヒルさん
   がニューヨークから、無事ロンドンに帰還されました」
    僕の姉、野崎暁子のアヒルのぬいぐるみが今、世界中を旅してます。エジ
   プトの旅を皮切りに、トルコ、ハワイ、カナダ、ニュージーランド・・・姉の思いを
   乗せ、たくさんの人々の手から手へと、その思いをリレーしながら夢の旅を続
   けているのです。
    三人姉弟の長女、暁子姉は昨年十月、突然の死を迎えました。三重県で独
   り暮らしをしながら大学生活を送っていた姉は、あと二か月で二十歳になろうと
   し成人式を心待ちにしていた矢先の出来事でした。
    事故は遮断機の降りた踏切で起きました。バイクに乗って停止中に誤ってア
   クセルをふかし、前進してしまったのです。特急電車に接触し、姉はコンクリー
   ト柵に頭を強く打ちつけてしまいました。運ばれた病院で心臓停止。姉の短い
   生涯は終わりました。
    姉の死は、翌日の新聞に小さな記事となって伝えられましたが、姉の人生は
   そんな数行で語れるものでは決してありませんでした。
    その夜、帰ってきた姉。棺の中に収められた顔には白い布がかけてあり、胸
   に組んだ手には、霜がついていて真っ白でした。明るく、はつらつとし、希望に
   あふれていた姿はもうどこにもなく、冷たくなった姉。泣くまいと思っていたのに、
   涙があふれました。
    通夜があり、葬式となり、いろんなことが当然のように過ぎていきました。葬
   儀の参列者が帰った頃、姉の中学一年かtらの大親友。原村君からある計画
   を相談されました。それは幼い頃からの姉の夢だった「世界一周旅行」を、大
   切にしていたぬいぐるみのアヒルに実現してもらおうというものでした。
    この思いもよらないすばらしい計画は、悲しみの底に沈んでいた僕たち家族
   に光を与えてくれました。原村君は「野崎暁子に世界一周を」という専用のホー
   ムページをつくり、インターネットでぬいぐるみを旅に連れていってくれる人を募
   集しました。たくさんの方々のあたたかい心がよせられました。
    ネットを通じて送られてくる旅先からの写真には、外国の風景の中に溶け込
   んだアヒルのぬいぐるみと姉の写真が写っています。弟として、いつかは自分
   の手でもどこかへ連れて行くつもりです。
    これからもアヒルは旅を続けます。いつか我が家に帰ってくるまで。その時は
   きっとたくさんの思い出を持って帰るでしょう。僕たち家族はその日を楽しみに待
   っています。

 なんだか色々な出来事が起こっている、この世知辛い世の中で、久し振りにいい話に
出会えた気がします。
    野崎さんのお姉さんが亡くなってしまったことは、いい話ではありませんが、果た
せることができなかった姉の夢を、見ず知らずの他人同士が協力し合って実現させてい
く。
    インターネットに関した悪い事件や被害の話が多い中、こういった使い方がもっと
広がっていけば、更に無限の可能性につながっていくのではないかとも思います。

2月の予定

   2日(金)   3年卒業試験〜7日
   4日(日)   英語検定
   5日(月)   授業料振替日
   8日(木)   3年家庭学習〜21日
  16日(金)   短縮6限
  27日(火)   予餞会
  28日(水)   卒業式予行・表彰式

告知

 さて私事ではありますが、ささやかながらHPを開設してみました。末永く御愛玩を。
 http://www.watv.ne.jp/~zaimoku

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