078 09月05日

とーふー。 

 さ、今週も始まっちゃいました。今日は先週土曜日のハナシを紹介したかったのですが、まだ仕上がっていないので、昔に書いたモノを紹介させてもらいます。ごめんね。もう寝るのだ。
 我が家に客人が来た時に、必ず食してもらうものがある。またこれか、と、常連さんにはワンパターン化してしまっているかもしれないが、誰よりも多く食べている私はいまだに飽きない。だって本当に美味いんだもん、ウチの湯豆腐・・・。ここ最近は、ひじょーに客人が多かったこともあり、ちょいと紹介しちゃう。
 実は私は、湯豆腐を食べるために独りで京都まで行ってしまう程の湯豆腐好きだ。いや、湯豆腐マニアか湯豆腐オタクと言われても構わない。鍋を使う、という料理の性格上、各地方や各家庭で様々な作り方があると思うが、私なりにベストだ、と行き着いたモノが我が家の湯豆腐だ。
 豆腐は木綿。この地に越してきてから、市内市外を含めてかなりの数の豆腐屋めぐりをした。硬さ、柔らかさ、コク、味、値段、おばちゃんの愛想・・・等など、いろいろと吟味した結果、行き着いた豆腐屋は、JR足利駅に程近い、レストランの裏手にあった。「本当に木綿豆腐なのか?」 と疑ってしまうくらい柔らかいその豆腐は、湯豆腐にすると更に柔らかさが増していく。
 たれは白だしを使う。かつお削り節からだしを取り、そこに葛(くず)でとろみをつけるなんていう手間ひまをかけて作っていたこともあるのだが、毎日のことだったのでここは手抜きで勘弁。鍋はもちろんそのたれを温めることが出来る器(うつわ)の付いた、湯豆腐専用のものを使っている。人数が多い時は大き目の土鍋を使い、その中にたれを入れた湯呑みを入れる。
 さて鍋の中身。北海道は利尻産の昆布を一切れ敷き、水を張る。一丁を18等分(3×6)に切った豆腐をそそぉーっと入れる。たったそれだけ。タラやらネギやら白菜やらといったものは一切入れない。そして弱火にかける。
 長くこんなことをやっていたので、たれの入った器を触るだけで、豆腐自体の温まり具合がわかるようになってしまった。「今だ!」 という瞬間にふたを開ける。ふわぁぁっっと湯気が立つ。透き通った湯(粗悪な豆腐だとにごってしまう)の中で、「早くすくわないと熱くなっちゃうよぉ〜」 と、ゆらっと動いて自己主張している豆腐を、すかさずすくいあげる。豆腐すくいの網の跡がくっきりと残るほど柔らかい豆腐だ。ぷるるんである。
 取り皿にたれ、刻みネギ、一味唐辛子を入れ、すくいあげた豆腐を入れる。箸をつつーっと刺して、つるんっと口に流し込むと、ふわっととろけ、はふっとのど元を通り過ぎていく。ひと口ひと口に感動しながら、「ぷるんっ、つつーっ、つるんっ、ふわっ、はふっ」、を繰り返し、幸せを楽しむ。
 豆腐が終わったら次は昆布だ。鍋から取り出し、両手ですすーっと割き、たれにつけて食べる。そして最後は、豆腐と昆布ですっかりいい味の出た鍋の中の 「湯」 を、たれの残った器に注ぐ。極上の出し汁(?)をずずーっと飲んで締めくくる。
 今では客が来た時だけしか食べなくなってしまったが、昔は冬場だけはなく、夏場の暑いさなかでも食べていたんだね。しかも数年間・・・・・・。
 また毎日食べちゃうかな。 


かつていた場所に捕らわれる必要はない。ビジョンを持ち新鮮な気持ちで挑戦し続けることができれば、美しく年を重ねることができるだろう

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