105 10月13日

こいばな5。 

 昨日の大学見学会はお疲れ様でした。拳法には注意しましょう、そして前歯を大切に。週末で13日の金曜日ですけれども、そんなコトはお構いなしで、例のオハナシの続きです。

 同じ中学校から私の通っていた高校に進学したヒトは、ごく少数でした。もちろん私にとって 「親友」 といえるヒトも、そこにはいませんでした。中学校で一番楽器が上手だ、という私の評判もココでは伝わっていきません。ちなみにウチの中学校で私と同じベースギターをやっていたのは他に2人・・・そりゃー私が一番上手いって!
 高校の中で一大派閥(はばつ)を作っていた中学の連中が、バンド談義に花を咲かせているのを横目でチラチラ見て聞きながら、「ちっ、俺の方が上手いに決まってら、テメーたちゃまだ幼いんだよ!」 なんて思ってひねくれていた時期がありました。
 そんなある日、彼らが近くの市民会館を借り切ってライブをやる、というハナシをしていました。「ムムッ、ナマイキだ・・・、どーせへたっぴぃーのくせに・・・・・・」 本当はうらやましいのに、相変わらずへそを曲げている私がいました。中学の文化祭でライブをやる喜び、そしてその後の打ち上げ(?)の楽しさを知ってしまった私は、本当は混ぜてもらいたかったのです。まだ友達ではない彼らの話に、毎日耳がダンボ(あ、こりゃ古い言い回しだ)になっていました。
 「おい、やべーよ、あいつどうする?」 「やっちまおうぜ」 「やるっていたって、つかまらないんじゃどうしようもないじゃん」 「それよりどーするんだよ」 「だれかいねーか?」 「いねーかなー」
 どうやらベースギター担当のAが直前にばっくれてしまった模様で、彼らはドタバタとしていました。「ふん、ココで俺にやってくれって言われたって、絶対やらないんもんねー」 なんていう、ありえないことを考えながら更にハナシを聞いていると、「おい、Mの彼氏のサイトーってヤツがベースやってるらしいぞ」 「えー、Mの彼氏ぃ〜?」 実は付き合っていたMさんの中学校が、ウチの高校に一番卒業生を送り込んでいた、↑に書いた一大派閥の中学校だったのです。ですから彼らと 「おな中」 のMさんといきなり付き合い始めた私の存在は、多少なりとも彼らには知られていたようでした。もしかしたらの期待をムネに・・・。
 「ねえ、サイトーってベースやってるの?」(きたきたきた!) 「あぁ、中2からね」 「へー、じゃうまいんだ?」(あったりめーじゃん) 「うーん、そうでもないけど」 「どんな音楽やってるの?」(おめーらのやってるようなやつはもう卒業さ、ちょろいちょろい!) 「まぁ、ひと通り・・・ブリティッシュ(英国のロック)が多いかな」 「今度ライブやるんだけど、バンド手伝ってくれるかなぁ?」(ほれきた!わーい、嬉しいなったら嬉しいな!やるやる!)「うーん、どうしようかなぁ」 「ね、頼むよぉ。だめ?」(よーっしゃ、俺様の実力みせつけてやるけんね。オドロクナヨー!)「んー、まぁ、やってあげてもいいけど・・・」 「じゃ、頼むよぉ。ね?」(ふっふっふ、コレで俺様が少し優位になった・・・)「うん、わかった。やらせてもらうよ。んで、いつなの?ライブは」 「あした!」(え”っ) 「・・・・・・・・・・・・」
 その日の放課後、皆でひと通り練習をしました。知っている曲がほとんどだったため、練習は結構スムースに進みました。
 「サイトーってうまいんじゃん」 「いい音出してるよね」 「もうこのバンドのベースはサイトーで決定だよ」 「ねぇ、Mともうやっちゃったのかなぁ?」 「そりゃやっちゃったんじゃないの?」 「な、なにを?」
 私と離れたところで、皆好き勝手なことばかり言っていましたが、連中とは、以降ずーっと音楽をやっていくことになりました。ひねくれていた私が、やっと素直になれた瞬間だったかもしれません。
 彼女もできて、バンドも組めて、高校生活が楽しくなり始めた頃のオハナシ。諸君も楽しめよ。
 良い週末を。
 ぢゃな。 


しんぼうカネなり、しんぼうカネなり、残業カネなり

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