110 10月20日

こいばな6。 

 はい金曜日、週末です。恒例(となったかな?)の高校生時代の思い出バナシです。最近はおねーちゃんが飼っているネコ(アビシニアン)にメロメロな私です。昔からネコは好きでした。それなので今日はネコネタ絡みでGO!です。

 いつもの帰り道、いつも通り胸のポケットラジオからはご機嫌な音楽が流れる中、歩いていました。
 「みゃー、みゃー」
 「あ、ネコ」 「ホントだ」 「かわいぃ」 「ホントだ」 「まだ赤ちゃんだ」 「ホントだ」 「ふさふさだよ」 「ホントだ」 「きゃー、なめてくるよぉ」 「ホントだ」 「いや〜んっ」 「・・・・・・!?」 「あふぅ〜んっ」 「!!!!!!」
 帰り道で見つけてしまったその子猫と別れることが出来ず、結局連れて帰ることになりました。ウチにはインコのぴーちゃんが既に家族の一員としての地位を確立していたため、彼女のウチで飼おうということになりました。
 茶色と白のうすら縞模様のその子猫は 「ちゃー坊」 と名付けられました。ちょっと大き目のダンボールをもらってきて、ちゃー坊の家を作りました。たっぷりと入れてあげたミルクを一生懸命に飲んでいます。これからこのちゃー坊と一緒の生活が始まるんだ、と彼女は大喜びでした。その日はちょっと遅い時間まで、ちゃー坊の世話をしてから帰りました。
 その日の晩、彼女から電話がありました。電話の向こうで彼女の声がきゅーきゅーいっています。猫の毛で喘息の発作が起きてしまったようです。しゃべるのも大変そうです。親の猛反対もあり、今からすぐにちゃー坊を捨ててこないといけない、と泣きながら話をしていました。
 もともと動物が好きな彼女です。毛が飛ぶと発作が起きてしまうことも知っていました。ある程度予想はしていた結果なのですが、こんなにも早いとは予想外でした。
 結局その晩遅く、やっと見つけた引き取り手にちゃー坊を預けにいきました。たった一人でダンボール箱抱えて、夜道を歩いていった彼女に対して、何も出来ない自分が情けなかったです。箱の中で何も知らずに鳴いているちゃー坊を抱えて、さぞつらかったことでしょう。
 再びいつもの帰り道が始まります。
 どこかで 「みゃー」 と野良猫が鳴けば 「ちゃー坊?」 「ふぎーっ」 と鳴いても 「ちゃー坊?」 「わんっ」 と犬が鳴いても 「ちゃー坊?」 とにかく私たちの頭からちゃー坊は離れていきません。
 「元気かな・・・」 「いつかまた飼いたいね・・・」
 なんだかんだと日々が経ち12月のある日、ところは東京の玉川高島屋というオサレな百貨店の中で、女性客ばかりのぬいぐるみ専門店に突入する、むさくるしい男子高校生がいました。
 「あ”っ!」 見つけました。ウリふたつのちゃー坊2号です。いや、精巧に作られているその姿はちゃー坊そのものです。ちょっと値が張りましたが、大枚はたいてその男子高校生はぬいぐるみを買って帰りました。帰りの電車内でひとりニヤニヤして、周りに悪影響を与えていたのはいうまでもありません。
 クリスマスの日、包みを開けた瞬間、彼女は 「ちゃー坊が帰ってきた!」 とポロポロ泣き出しました。よかったよかった。ホントによかった。
 でも本当は俺が欲しかったんだよな。そのぬいぐるみ。
 良い週末を。
 ぢゃな。 


おまえ、うぬぼれたいんか?

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