126 11月14日

冬が来ぅ〜れば思い出すぅ〜。 

 ちょっと南の方からこちらに移り住んで、はや十数年が経ちました。真夏の暑い時には、早く冬にならないかなぁ、と思うのですが、冬になると夏が恋しくなります。自分勝手ですね。それはさておき、昨日の朝のように寒くなると、こちらで一人暮らしを始めた時のことを思い出します。
 採用された頃、埼玉県の浦和市(現さいたま市)から通っていた時は、下りが来れば小山回り、上りが来れば高崎回りといった具合に、先に駅に来た方面の電車に乗って帰っていました。「そういえば、この辺のアパートの家賃相場はいくらぐらいなのだろう。今日の帰りにでも調べてみよう」 と思いついたその日は、小山回りの電車に乗りました。適当に近くのにぎやかそうな駅として、なんとなく選んだのが足利駅でした。ちなみに、学校のある駅には住むつもりはありません。悪いことできませんしね・・・。あは。
 足利駅に降り立ち、駅前で不動産屋を探したのですが、見当たらないので適当に歩き始めました。十数分歩いたところで、やっと一軒の不動産屋を見つけました。
 「すみません、部屋を探しているのですが」 「はい、お一人ですね。これなんかどうですか、ロフトやエアコン付きですよ」 「い、いや、そんな立派じゃなくていいです。古くてもくみ取りでもなんでもよいので、安いところを・・・」 「あ、そういうところですね。ありますよ。今から見にいきますか」 「い、行きます行きます」 
 案内されたのは一軒家でした。同じ敷地内に、大家さんになるおばあちゃんがひとりで住んでいます。どこの部屋も床はPタイル(教室の床と同じ)で、冷たい感じがするのですが、六畳、四畳半、台所、水洗トイレ、風呂といった間取りはナニ気に魅力的です。
 一歩、二歩と家の中を歩き回ると、所々床がきしんでへこみます。窓は大きくあるのですが、大家さんの家に邪魔されて、ほとんど日当たりはありません。建てられてから数十年は経っているであろう、その物件を、さてどうするものかと迷いましたが、家賃とお風呂を見た瞬間に借りることに決めました。
 もともとお風呂の無い家に、後から付け加えたようなそのお風呂は、台所の勝手口からアプローチをします。勝手口を開けると、そこは外ではなく、物置兼脱衣所になっていて、もう一枚のドアを開けるとお風呂に行き着きます。トタン板に囲まれたような壁に、床はほぼコンクリートむき出しです。どういうわけか風呂の入り口の反対側に、もう一枚ドアがついていて、開けると大家さんの家の裏庭がありました。そんな中にちょこんと湯船、風呂釜、水道があるだけという、非常にシンプルなお風呂のどこが気に入ったか・・・・・。
 木製(ひのき?)の楕円形(だえんけい)湯船に一目ぼれをしました。木製なのでお湯はやわらかくなるし、香りはつくし、ドアと窓を全開にすれば、気分はもうプチ露天風呂です。案の定、住み始めた後は、朝だろうが夜だろうが、夏だろうが冬だろうがドアも窓も全開で、「はぁぁ〜〜っ」 とため息つきながら湯船につかっている私がいました。
 家賃は二万五千円也!
 あ、なぜ寒くなると一人暮らしを始めた時のことを思い出すか、ということまで行き着けませんでした。また今度ね。
 シャワーなんか無くても、快適な空間だったぞ。
 ぢゃな。 


こわがったらアカン、ぶつかっていくねん。なんかあったらゆうてよ。私が助けたる

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