002 04月11日

読んでいきましょう。 

 はい、3年生2日目です。さっさと休みボケを吹き飛ばしましょう。
 さて、昨年度末の進路ガイダンス(4大コース)の時の講演の際、講師の方が 「新聞を読みましょう」 的なことをおっしゃっていました。私もそう思います。進学でも就職でも試験の際にはいろいろな意味で、どれだけ新聞を読んでいるかということが、合否を左右することにつながるからです。
 まず新聞で一番に読んでもらいたい所として、1面(1ページ目)下の方にあるコラムが挙げられます。ほんの数分で読み終わるコラムなのですが、諸君が毎日チェックしているのかというと、そうでもないことの方が多いと思うのです。そんなこともあり、今年度はそのコラムの紹介を多めにしていこうかと思います。
 社会で話題になっていることに触れ、簡潔な文章でしっかりとまとめられている文章なので、内容も参考になるし、何度も読むことによって、諸君にも良い 「文章」 の形が自然と身についていきます。
 ではどうぞ↓。

 野球を見に球場へ行く。少し暗い通路を歩いて観客席に出たとたん、目の前にまぶしくフィールドが広がる。この瞬間が好きだ。
 試合前なら、選手はゆったりと、遠投やランニングで体をほぐしている。間もなく始まるゲームに、心が浮きたってくる。ファンにとって、観客席への通路は、非日常への扉なのだ。大人も子どもも、夢を見たくてやって来る。
 その夢の舞台裏が、根腐れているらしい。西武球団の裏金問題は野火のように、他球団に広がる心配が生じてきた。アマチュア球界を巻き込んだ、大がかりな不祥事に発展するかもしれない。球春の空が、にわかにかき曇ってきた。
 調査の委員会を率いる慶大名誉教授の池井優さんは、大リーグ通で知られる。少年時代からヤンキースタジアムで試合を見るのが夢だったそうだ。その夢は20代の末にかなう。胸を高鳴らせて、球場のゲートをくぐったことだろう。
 大リーグにも不祥事はあった。なかでも1919年のワールド・シリーズでの八百長疑惑は悪名が高い。名選手だったシューレス・ジョーら8人が球界を追放された。裁判所で、無実を願う一少年が叫んだという「うそだと言ってよ、ジョー」の言葉は、いまも人々の記憶に刻まれている。
 祈りにも似た叫びに、ジョーが「坊や、本当のことなんだ」と答えたと伝わるのも、せつない。裏金問題は「談合のように日本社会の構造に深く根ざしている」と池井さんは言う。「うそだと言ってよ」と願うファンの叫びに、どんな答えが返ってくるのだろう。 (2007年04月06日朝日新聞「天声人語」)
 
 どうでしたか。
 ぢゃな。 


自分のやったことが、そんなに他人の人生に影響を与えられるなんて考えるのは思い上がりだ

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