006 04月17日

いのち。 

 はい火曜日。3年生となってから6日目です。最高学年という自覚は持ち始めたでしょうか。昨日の学級通信で諸君に読んでもらったのは、残念ながら自ら命を絶っていってしまった、ほぼ諸君と同世代の人達の遺書でした。悲しい出来事が二度と起きないように、そして命の大切さを確認しながらこの1年間をスタートさせたいと思い、諸君に読んでもらいました。
 少し前の朝日新聞のコラムに、その 「命」 に関した文章が載っていたので紹介したいと思います。


 こんなニュースを読むと、生命を「いのち」と平仮名で書いてみたくなる。体重わずか265グラムで生まれた女の赤ちゃんが、無事に育って東京の慶応大病院を退院した。日本ではこれまでで最も小さく、世界でも2番目という。
 予定より15週早く生まれた。体の機能が未熟だったため人工呼吸器をつけ、へその緒の血管から栄養の点滴を受けた。いまは自分でミルクを飲めるようになり、体重も3000グラムに増えた。
 生まれたとき、どれほど小さかったのか。試しに手元のバナナをはかりに載せると、ほぼ同じ260グラムである。たったこれだけの重さに人間の生命が宿り、消えることなく育っていった。小さな 「いのち」 のたくましさに、粛然(しゅくぜん=つつしんだ気持ち)となる。
 赤ちゃんには不思議な力があるらしい。作家の大庭みな子さんは育児体験をもとに、「放っておけば死んでしまうはかなさと哀れさで、親の中から信じられない力を引き出す」 と随筆に書いた。わけても265グラムのはかなさは、医師や看護師から、並々ならぬ力を引き出したことだろう。
 退院していった赤ちゃんに、高階杞一さんの詩の一節が重なる。〈……今から何十億年か前 そんな 遠い昔からの約束のように 今 ぼくが ぼくという形になって ここにいる ふしぎだ〉。高階さんは息子を3歳で亡くした悲しみを胸に、いのちの言葉を紡(つむ)いできた。
 新しい学年の始まる季節。自分も、まわりの友だちも、みんな遠い昔からの約束のように、学校に、クラスに集う。一人ひとり、一つずつ、いのちを持って。(2007年04月05日朝日新聞「天声人語」)


 すっごいですよね。バナナ一本ほどの重さの赤ちゃんの命が、3000グラムにまで育ったということです。確かに 「命」 と漢字で書くよりも 「いのち」 とひらがなで書きたくなります。いのちのたくましさが伝わってきます。
諸君も、そのたくましい 「いのち」 を持っているのです。毎日遅れずに持ってきてください。尊い 「いのち」 を大切にしていきましょう。
 ぢゃな。 


若いときにかっこ悪い経験を多く積んだ人ほど、かっこいい大人になる

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