055 06月28日

青春。 

 木曜日です。先日、自転車で日本一週の旅を達成する直前に、交通事故に遭ってしまった方のニュース報道がありました。その方に関したコラムを紹介します。 


 出会った人の誰もが八十歳と思わなかったという。日焼けした肌、しまった足の筋肉。原野亀三郎さんは野宿もできる荷物を積んだスポーツタイプの自転車で、颯爽(さっそう)と風を切っていた。
 自転車での日本一周が人生の目標だった。「自給自足をしたい」 と東京から一人で移り住んだ長野県内の自宅を昨年四月に出発し、日本海側を北上。北海道を回って日本列島を南下した。鹿児島、沖縄などを経て、当初は今月三十日に帰宅する計画だった。それが五日早まり、悲劇が待っていた。自宅まで約四十キロの地点で大型ダンプカーにはねられて亡くなった。
 なぜ原野さんは日本一周を考えたのか。昨年七月、北上の途中で雨に降られて一泊した福島県内の旅館のおかみ村上美保子さんに、心の内を明かしている。
 戦争を体験した原野さんには青春がなかった。戦死した戦友には永久に青春がない。「残された自分が青春を楽しまなかったら、あの世に行ったときに彼らにあわせる顔がない。今、青春をしている」 のだという。自転車で走ると、戦友と旅を楽しんでいるように感じるとも話していた。
 日本一周中の原野さんに出会った人は、みんなファンになっている。穏やかな人柄に加え、学ぶところがあったのだろう。村上さんは 「原野さんを知って、年齢を理由にして何かをできないと思うことはやめようと思った」 と振り返っている。人生における人との出会いの大きさを感じる。
 無念の死になるのだろうが、思い切って旅に出た甲斐(かい)はあった。颯爽と戦友に再会していることを願う。
(2007年06月27日 東京新聞 「筆洗」)


 今、私が朝読の時間に読んでいる本は 「少年H」 という小説です。主人公の中学時代は丁度戦時中で、確かにそこには私が過ごしてきたような、そして諸君が過ごしているような青春は描かれていませんでした。戦争を経験していない私が言うのは、経験してきた方たちには大変失礼かもしれませんが、原野さんが八十歳で青春を楽しもう、という気持ちがなんとなくわかる気がしました。
 私も自転車に乗ります。大自然の中を走る爽快感は大好きですし、八十歳になっても乗っていたいと思っています。今回の報道を聞くまで、もちろん存在すら知らない方でしたが、原野さんの死は非常に残念だと感じます。運命ってわからないものですね。私もいつまでも青春していきたいと思いました。
 ぢゃな。 


悔しさって大切なんだよ。その悔しさを上手に使わないとね

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