119 11月13日

ま、また・・・。(寝てしまいました。後輩Kの文読みましょ)

 ここの所,下ネタばかりなので,今回は美しいお話をしようかと思います。
 これもまた古い話で,私が高校の二年生の時の話です。修学旅行で九州を一周したのですが,途中で宮崎県の青島に一泊しました。私の通っていた高校は,当時非常に規則が厳しく,かなり徹底して監理されていました。もっともそうでなかったら,おおらか過ぎてデタラメな学校になっていたかもしれません。修学旅行にしても,自由な時間というものは全く無く,予定表の通りに行動するだけです。どちらかというと,予定をきっちりこなすことに主眼が置かれている様に感じるほどで,それは軍隊を思い起こすに充分なものがあります。そんな感じで,私などはかなり辟易してもいたのですが,この青島の夜は,同行していた校長の鶴の一声で,数時間,勝手に行動してよろしい,ということになったのです。
 さあもう大変です。皆一斉にホテルから飛び出しました。この光景を漫画にしたら,皆の頭の上に「わーい!」と書く所です。ホテルの目の前は海ですから,それぞれ磯場や砂浜に散って行きました。私のクラスの男子数名は全裸になって泳いでいました。話は一寸それますが,何故,若い男女は水に濡れたがるのでしょうか。波打ち際をちゃぽちゃぽ歩くのは気持ちいいでしょうが,だんだんいけいけになって深い方に入っていって,突然の波をかぶってパンツまでぐしょぐしょにしてしまう人がよくいますが,あんなのは考えなくても予測出来ることでしょう。特に女の子に多いと思います。あれは何なのでしょう。ぎりぎりの線に自分を置きたいのでしょうか。そしてそのぎりぎりの線が崩壊する所に快感があるのでしょうか。それともただ,海に帰りたいという本能なのでしょうか。
 話を元に戻します。楽しい時間は早く過ぎるのが世の習いで,そろそろホテルに戻らねばなりません。私はこの時,学級委員なのでクラスメートに「おーい,そろそろ帰るぞー」などと言って回りました。役回りとしてこんな無粋な役はありません。私だってまだ十六歳なのですから,眉を開いてはしゃぎたい気持ちも無いことは無かったのです。ま,そういうキャラクターではありませんでしたけど。
 皆がだいたい帰り始めたのを見届けて,私もホテルに向かいました。砂浜からホテルにまっすぐ戻るには,目の高さほどの土手を登らなければなりません。男なら訳も無い高さで,容易に登れます。その土手の上を歩いていると,隣のクラスの女の子が砂浜を走って来て,一寸高い土手を目の前にしてどうしようか考えているのです。この時私は,今考えても不思議なほど,自然に,反射的に右手を差し出していたのです。
 そんなの当たり前じゃないかと言われるでしょうが,行為自体はすこぶる当たり前にしても,その行為に移るまでの自分の意識に,一点の邪心も無かったことに自分で驚いているのです。更につまらないことを言えば,私がいたクラスは特殊なクラスで,他のクラスと多少の軋轢もあったのです。普通だったらこんなことをする勇気は私にはありません。
 私が反射的に差し出した手を,彼女も何の躊躇も無く握り返して来ました。そして引っ張り上げて,言葉も交わさず,彼女はホテルに走って行きました。私はしばらくそこに佇んでいました。青島の夜の海辺。ロケーションは最高です。関係の無い男女というのもいいじゃないですか。淡い青春の思い出,ですかね。
 えっ?そんな話を読みに来たんじゃないって?困りましたね。それではこの続きは少し元の調子に戻しましょう。紙面を改めることに致します。因みにこの時私が引っ張り上げた女の子は,ぽちゃぽちゃとした大変かわいい女の子でした。前からかわいいコがいるなあ,とは思っていたのです。名前も知らないのですけど。彼女の様な美女でなかったら,今回の話は無かったかもしれません。あらら,言っちゃった。


そないなことでくよくよすんなや!男やろ!

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