126 11月22日

みんなでフリオ。 

 昨日に続いて高校の頃のハナシ(ってーことはアレかい、ナニ映画観たのはそーいうコトかい・・・・・・などというクダラナイ詮索はしないように)でも。
 私が高校生になりたての頃、世界的な男性歌手のフリオ・イグレシアスというヒトが大活躍中でした。確か彼には 「哀愁のナタリー」 という大ヒット曲がありました。おばちゃま達を中心とした日本国内での人気ぶりはそりゃーすごいモノでした。自分の顔の左側からのカットがお気に入りの彼は、雑誌でもアルバムジャケットでも、必ずといってよいほど左側からのカットの写真を載せていたような記憶が残っています。それでその 「哀愁のナタリー」 という曲なのですが、「〜ん〜ぅなぁたりぃ〜〜ぃい・・・」 というフレーズが印象的な曲で、とっても耳に残ります。それでいてなんともいえない哀愁が漂っているのです・・・・・・って、曲名そのままじゃないか!
 幼稚園来のばか仲間数人と、本当にごくたまーに喫茶店に行き始めたのもその頃でしょうか。なんだかちょっと大人になった気分でオーダーなんかしてみたりして・・・・・・俺達ってカッコイイんじゃないか?なんてことも思っていましたっけ。そこでナニを頼むか・・・・・・タバコも吸わない(あたりめーだっつーの)、女の話もしない(ほぼいないんだっつーの)私達の喫茶店での楽しみは、何かを食べることしかありません。しかしそんなに小遣いを持っているわけではない我々は、飲み物とケーキがセットになったケーキセットなるモノを頼むのが精一杯です。ですからソレを頼むのでした。
 ムサクルシイ男数人が喫茶店の小さなテーブルによりそって、紅茶をすすりながらケーキをつっついています・・・・・・ああ、なんて素敵な眺めなのでしょう。ふと、ばか仲間の誰かがぼそっとつぶやきました・・・ 「なたりぃ〜・・・」 おそらくそいつのアタマの中では朝からずーっと 「哀愁のナタリー」 が、ぐるんぐるんと回っていたのでしょう。私のアタマの中もそうでしたから・・・・・・ヒット曲ってそんなものですよね。
 一気に緊張感のほぐれてしまった我々は、そこで大爆笑を起こします。そして、ぼそぼそっと 「なたりぃ〜・・・」 を繰り返し始めました。あっちで 「なたりぃ〜・・・」 こっちで 「なたりぃ〜・・・」 トイレに立って 「なたりぃ〜・・・」 ぼそぼそっと歌っていたモノが、いつしか店員が気付くほどの大声になっていきました。もう気分はフリオです。顔も左側を前面に押し出すように、ちょっと斜に構えています。
 この日をきっかけに 『ナタリー会』 が結成されました。「おい、今日どーする?」 「ん、ナタリー会しようよ」 「やっぱりそうか」 「なになに?ナタリー会って?」 「え、来ればわかるよ」・・・・・・ 
 男同士で入りにくい喫茶店を選びます。難しい顔をして、レモンティーとケーキのセットを注文します。ケーキをひとくちほおばるたびに 「〜ん〜ぅなぁたりぃ〜〜ぃい・・・」 です。そしてボールペンを取り出します。 「ナタリー会参上」 「○○ケーキはとってもナタリーだった」 「なたりぃ〜・・・」 「騒いですみません」・・・・・・紙のナプキンに皆思い思いのメッセージを残したり、テーブルの上に置いてあるメニュー等にちょこっとデコレーションをしたりして、その店を後にします。その活動が何軒の喫茶店に及んだか、もう覚えていません。
 ・・・・・・ってただの迷惑な客じゃーないか。
 明日から5連休になります。有意義に過ごしてください。ナタリー会する?


人は人やから真似せんでもええで、気にせんときやって!

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