169 03月01日

ラブレター。 

 いよいよ最後の時が来ました。私と諸君との“学級担任とその生徒の関係”の最後です。「何事に関しても中途半端な自分だけれど、今年の学級通信はなるべく多く、できれば毎日出そう」 今年度、諸君の担任が決まった時に、そう心に決めました。学級通信を出すことにどんな意味がありどれだけの価値があるのか、皆目見当のつかないまま、それでも何かしたくて、ただぼーっと担任をしているのも嫌で、今日まで書き続けて来ました。少しくらいは価値がありましたか?
 私からの一方的なこの押し付けを、「邪魔だ、いらない」 と思っているヒトもいたかと思いますが、私なりの諸君に対するラブレターを書いて来たつもりです。ラブレターは169通ではとうてい足りそうもありません。先日も言いましたが、今になってもっといろいろなことを書けば良かった・・・なんて考えてしまっています。もう最後だというのに。
 とりあえず169通目のラブレターを書き続けます。
 「楽天性」 というものがあります。『現実を最良の世界とみなし、人生は善であり、愉快であり、希望は実現されると考える。人生に明るい見通しを持っていること』 と、ものの本には書いてあります。もっと簡単に言い換えると、『Positive』 とも言えるでしょう。
 3年3組の42人には、42通りの苦しみや悲しみ、そして悩みがあったはずです。人間ですからこういったものがあるのは当然なのかもしれません。そして42人もヒトが集まれば、そのパワーも凄いものになっていたことでしょう。しかし、諸君はどんな時でも笑顔を失いませんでした。無責任に苦しみや悲しみから逃げ出すためにニヤニヤ笑うのではなく、明るく笑いあうことで、それらを乗り越えるだけのチカラを生み出して来たのです。
 そう、「楽天性」 とは人間の持つチカラの中で最大最強のものだと、私は確信しています。誰にでもつらい時はあります。そんな中で、つらければつらい程、笑いというものを忘れないでください。「楽天性」 を武器にすれば、何事にも立ち向かっていくことが出来るからです。
 諸君の担任をさせてもらっていたこの2年間、私は常にこの考え方に基づいて諸君に接してきました。日頃諸君の前で、「あーでもない、こーでもない」 「がががー!だだだー!」 「どりゃー!ちょりゃー!」 「だっはっは!がっはっは!」 なんてやっていても、ふたを開けるとフツーの弱い人間です。イメージではないかもしれませんが、これが本当の私です。
 諸君の1年生が終わる3月に、私の身辺で急激な変化が起きはじめました。つらく押しつぶされそうな毎日は、私の持つ 「楽天性」 だけではとうてい太刀打ち出来ませんでした。そんな私が今日の日までやってこられたのは、諸君の持つ 「楽天性」 があったからこそなのです。諸君ひとりひとりは意識していないかもしれませんが、この2年間、何度も諸君の 「楽天性」 に助けてもらいました。本当に心の底から助けてもらいました。感謝しきれないくらいです。だからこそ強く伝えたいのです。『人間は常に最大最強の武器を持っている、何がおきても大丈夫だ』 ということを。
 「楽天性」 は最大最強のチカラなのですから。
 これが私の169通目のラブレターです。
 ありがとう、そして卒業おめでとう。 


教え子はいつか友人になる

BACK