51 06月20日

知ってるハナシかもしれないけれど。

 閑話休題ってことで、たまには私のちょっぴり淡くせつない、思わず涙がちょちょ切れそうな思いで話でもしようと思います。
 淡く切ないとくれば、当然話題は異性のことです。諸君と同じ高校三年生時分に至るまで、いったいナニをしていたか、ってーことを話しましょう。
 私も一応人間です。種族保存の本能もありますから、恋をしてヒトを好きにもなります。初恋は小学校6年の時、同じクラスで隣の席だったN村さんです。私について来なさいってー感じのアネゴ肌でした。諸君の周りにもいませんでしたか。やたらとドッヂボールの強い女の子です。
 そして中学に入学します。1年の時に同じクラスになったK田さんに恋をしたのですが、2年の時にはもうひとり、S沢さんにも恋をしました。これは結局卒業まで続き、何かあるたびに二人を天秤にかけて、どっちがいいかなーなんて考えていました。我々男子と彼女らを含む女子の合わせて10人位のグループで、校内校外問わずよく遊んでいる仲でした。グループ内で誰かと誰かがつきあうこともありません、『日本グループ交際連盟』なんてものが存在したら、まさに表彰ものの、健全な「グループ交際」でした。
 結局思いを告げることができずに高校へ入学します。そこで初めて女性とつきあうことになりました。別の高校に進学した、幼稚園時代からの友人であるK玉Mぶと、先に彼女を作った方がラーメンをおごってもらう、という賭けをしたのです。
 クラス内を見渡しても、彼女になってくれそうな(あったりめーだって、自分中心な考えだ)ヒトは見あたりませんでした。そんな中、The Policeの「孤独のメッセージ」を口ずさみながら、廊下を歩いてくる娘がいました。横にはその娘の友達も歩いてます・・・・・・『あ、軽音楽部の入部説明会にいた娘だ、ちょっとかわいいよな』・・・・・・ロックオンする間もなく彼女から声がかかります。
 「ねえねえ、この娘とつき合わない?彼氏欲しいんだってさ・・・」横の友達を指さす彼女、『ええっ、この娘はタイプじゃないよぅ・・・。ゴメンね』心の中でそう思いながら、戸惑いの表情をする私。そんな私の心境を察したのか、彼女は大胆な発言に出ます。「じゃあさ、私とつき合おうか」『え”え”え”ーっ!ほ、本当にー!うんうんうんうんうん、つきあうつきあうつきあうつきあうつきあうってばさーっ!』願ってもない彼女の予想外の言葉に、心の中でビンビンに反応する私がいました。ところが「なーんてね・・・じゃーね・・・」という言葉を残し、彼女達は立ち去っていきました・・・・・・。
 翌日、「ねえ、一緒にラーメンおごってもらおうぜ」の言葉を武器に、彼女に攻撃をかけ見事作戦に成功したことはいうまでもありません。高校生斎藤、初めて女性とつき合うの巻の始まりです。
 その翌日、彼女は2冊のノートを持ってきました。「ねえ、斎藤君。毎日交換日記しようよ。2冊あれば必ず毎日書けるよね。はい、じゃあ今日はこっちが斎藤君の、じゃーねーばいばーい」
 ノート片手に立ち尽くす私。ノートを開くとすでに彼女の言葉がいくつか書いてありました。電車の中でにやける私。人生って楽しいものなのね、さようならK田さんS沢さん・・・あ、N村さんも忘れずに・・・・・・。
 つきあうことが決まると早いもので、次の日曜日には初デートの約束をしました。そしてその日がやってきます。場所は電車で30分の渋谷という街でした・・・・・・。
 あ、今回はここまでです。なんだよ、淡くもせつなくもないじゃないか。野球中継が中止になった時の番組じゃないんだから、もう少し面白いこと書けっつーの。


言葉の間の沈黙に耳を傾けよう。本当のメッセージは、そこに潜んでいるものだ。

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