Z5011 03月28日

すぷりんぐはずかむ。 

 去年12月半ばに右腕を骨折し、ギプス生活を余儀なくされてから1ヶ月半が経ち、ギプスが外れてからも、定期通院が続いている。医師からは過激な運動や過激な腕の動き(どんな動きだよ!)はしないように、との忠告を受けている最中である。そんなワケでライブハウスのセッションで楽器を演奏したり、休日に自転車で出勤したりということが全くない3ヶ月だった。悔しいことに医師から仮骨(かこつ=骨折部分にもりもりと出来ていく新しい骨のこと)の出来具合が遅いといわれた。「年齢のせいでしょうね・・・」 という一撃は、かなり効いた。ミッキーロークの猫パンチ程度なら攻撃をかわせるのだが、かわせずにアーネストホーストのローキック位(←これらがわかるヒトはどれだけいるのかいな)効いてしまった。もちろん実際に受けたことは無い。
 10日程前、とうとうこらえることができなくなり、3ヶ月間物置に眠っていた我がロードレーサーを引っ張り出した。「久しぶりだね、元気だったかい」 と声をかけながら、空気圧が下がってしまったタイヤにシューシューと空気を入れているオヤジ斎藤がいた。そしていつも走っていた渡良瀬川沿いのサイクリングロードを、桐生目指して走り出した。
 たった3ヶ月間見ていなかっただけだが、懐かしい景色だ。見上げた空では鳥たちが、羽を羽ばたかせることなく、風に乗りながらフワフワと浮いている。そう、その日は思いもよらぬ向かい風だったのだ。しかも今まで経験したことが無いほどの強風。その向かい風を顔いっぱいに浴びながら、川沿いを上流目指して遡上(そじょう)していく私であった。産卵期の雌鮭の気持ちもこんなものだろうか。いや彼女達の顔面は流線型だが、私の顔面はそうではない。
 そういえば、ヨットや帆船(はんせん/ほぶね)は、向かい風でも帆をうまく利用して、ジグザグだけれども風上に向かって進んでいくことができる。自転車でも、なんとかこのテクニックを活用できないものだろうか。だとしたら、もっと顔が大きな方が有利なのではないか。顔を小さくする手術はあるようだが、大きくする手術もあるのだろうか・・・。てか、これ以上大きくなったら、モノのバランスや日常生活に関したあらゆる法則を無視せざるを得ない生活になってしまう。ヒトとして生きていけるのだろうか。フネとして生きていくしかないのではないか・・・。などというくだらないことを考えながら走っていた。
 ハナシを元に戻そう。
 やっぱり自転車は気持ちが良い。思いもよらぬ向かい風、またこの時期の冷え込みもあって、決して自転車に乗るのに適した天候ではなかった。けれども一度ペダルを漕ぎ出してしまうと、気持ちが良くなってくる。そこが自転車の魅力なんだな。去年のように、沿道に花が咲きまくるサイクリングロードを走る日も近い。春爛漫ももうすぐだ。
 あ、そういえば鮭塩を食べようと件の店に行った時、先日卒業していったN野さんとお母様がカウンター席に座っていた。挨拶を交わし横に座った。「ほら、あなた先生におつぎしてあげなさい。人生で初めてのお酌なんだから・・・」 おぼつかない手つきでお酌をしてもらい、なんだか不思議な嬉しさを感じたオヤジであった。
 だからなんだってんだ。せっかくうまくまとめたのに台無しか・・・。
 ではまた来年度。 


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