Z5012 03月31日

再見。 

 地震が起きた。スマトラ沖で起きた海外の地震ももちろんだが、九州北部を襲った地震も他人事では済まない。我がクラスでは新潟中越地震が起きた時、義捐金に充てようと一週間ほどクラスを挙げて募金活動を行ったこともあるからだ。生徒本人だけではなく、御家族からも募金が集まった。結果、その額は2万円弱にも及ぶほどになった。なんとも温かい連中とその御家族だった。
 新潟中越地震の後、スマトラ沖の地震が起きた時は、家に散らばっていた小銭などはもう無いだろうということ、また、すでに国連を通じて世界各国から義捐金が集まっているということもあり、再びクラスを挙げての募金活動はやらなかった。その代わり、コンビニのレジの脇にある募金箱などを使って、皆のできる範囲で個別に義捐金を出していこう、ということにした。
 そして九州北部の地震である。「また皆で温かさを分けてあげませんか」、と声をかける我がクラスはもう存在しない。なんともやるせないものだ。いや、私が声をかけるまでもなく、奴らの中から申し出があったかもしれない。きっとそんな連中のことだから、どこかのコンビニで募金をしているに違いない。そんなことを考えて数日を過ごしていたら、再びインド洋で地震が起きた。マスコミでも地震に関した番組が増えてきた。いよいよ本格的な地震対策をしていかないといけないだろう。
 そういった中、彼らを送り出してからほぼひと月が経った。1、2年生の終業式も終わり、春休み期間となり、なんだかんだと仕事がたまっている私は、土曜や日曜の休日も含めて、自主的に出勤していた日々があった。
 今日は3月31日、平成16年度の最後の日である。今日まで彼らは高校生、書類上はまだ私のクラスに在籍している。けれども明日からの新年度は、彼らの後輩となる連中の面倒を見させてもらわなければならない。いつまでも彼らのことばかりを考えているわけにもいかないので、「16年度は今日までじゃーい!」 という思いのもと、教室を片付けに向かった(てか、こんな時期まで教室を放置しておくのは変)。
 日頃の座席順に並んでいた机の上に椅子を載せ、出席番号順に名前をつぶやき、「明日からはそれぞれの道で日々成長していくんだぞ。頑張れよ」 と、声をかけながら、教室の前方へひとつづつ運んでいった。出席番号50番、最後のひとつを運んでいると、壁際の床の上に、なにやら食べカスのようなモノが落ちていた。よーく見ると節分の日に教室中にばらまいた落花生の殻とその中身だった・・・。
 節分の日から掃除をしていなかったわけではない。しかも卒業式が終わってからは、暇を見つけてコツコツと教室の掃除をしていた私がいる。落花生が床の上にあるなんてありえないのだ。机の中や窓のサッシにあったものが何かの拍子で出てきたのかもしれないが、なにも最後の日に出てこなくたっていーじゃないか・・・。
 つくづく縁の深いクラスだ。2年後に温泉で会いたい連中だな。
 今号こそおしまい。 


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