ZP08 08月05日

それからそれからそれからってーの。(いつもの続きだね)

 同じ中学校から私の通っていた高校に進学したヒトは、ごく少数でした。もちろん私にとって「親友」といえるヒトも、そこにはいませんでした。中学校で一番楽器が上手だ、という私の評判もココでは伝わっていきません。高校の中で一大派閥をなしていた中学の連中が、バンド談義に花を咲かせているのを横目でチラチラ見ながら「ちっ、俺の方が上手いに決まってら、テメーたちゃまだ幼いんだよ!」なんてひねている時期がありました。ちなみにウチの中学校で私と同じベースギターをやっていたのは他に2人・・・私が一番上手いって!
 そんな彼らが、近くの市民会館を借り切ってライブをやるというハナシをしていました。「ムムッ、ナマイキだ・・・、どーせへたっぴぃーのくせに・・・・・・」本当はうらやましいのに、へそを曲げている私がいました。中学の文化祭でライブをやる喜び、そしてその後の打ち上げの酒(?)の美味さを知ってしまった私は、本当は混ぜてもらいたかったのです。まだ友達ではない彼らの話に、毎日耳がダンボ(あ、こりゃふるい言い回しだ、わかるかね?)になっていたのです。
 「おい、やべーよ、あいつどうする?」 「やっちまおうぜ」 「やるっていたって、つかまらないんじゃどうしようもないじゃん」 「それよりどーするんだよ」 「だれかいねーか?」 「いねーかなー」
 どうやらベースギター担当のAが直前にばっくれてしまった模様で、彼らはどたばたとしていました。「ふん、ココで俺にやってくれって言われたって、絶対やらないんもんねー」なんて、絶対ありえないことを考えながら更にハナシを聞いていると、「おい、Mの彼氏のサイトーがベースやってるらしいぞ」 「えー、Mの彼氏ぃ〜?」 実は付き合っていたMさんの中学校が、ウチの高校に一番卒業生を送り込んでいたのです。ですから彼らと「おな中」のMさんと、いきなり付き合い始めた私の存在は、多少なりとも彼らには知られていたようです。もしかしたらの期待をムネに・・・。
 「ねえ、サイトーってベースやってるの?」(きたきたきた!) 「あぁ、中2からね」 「へー、じゃうまいんだ?」(あったりめーじゃん) 「うーん、そうでもないけど」 「どんな音楽やってるの?」(おめーらのやってるようなやつはもう卒業さ、ちょろいちょろい!) 「まぁ、ひと通り・・・ブリティッシュ(英国のロック)が多いかな」 「今度ライブやるんだけど、バンド手伝ってくれるかなぁ?」(ほれきた!わーい、嬉しいなったら嬉しいな!やるやる!)「うーん、どうしようかなぁ」 「ね、頼むよぉ。だめ?」(よーっしゃ、俺様の実力みせつけてやるけんね。オドロクナヨー!)「んー、まぁ、やってあげてもいいけど・・・」 「じゃ、頼むよぉ。ね?」(ふっふっふ、コレで俺様が少し優位になった・・・)「うん、わかった。やらせてもらうよ。んで、いつなの?ライブは」 「あした!」(え”っ) 「・・・・・・・・・・・・」
 その日の放課後、皆でひと通り練習をしました。知っている曲がほとんどだったため、練習は結構スムースに進みました。
 「サイトーってうまいんじゃん」 「いい音出してるよね」 「もうこのバンドのベースはサイトーで決定だよ」 「ねぇ、Mともうやっちゃったの?」 「そりゃやっちゃったんじゃないの?」 「はやいよなー」
 皆好き勝手なことばかり言っていましたが、ここで出会った連中とは、以降ずーっと音楽をやっていくことになりました。ひねくれていた私が、やっと素直になれた瞬間だったかもしれません。
 彼女もできて、バンドも組めて、高校生活が楽しくなり始めた高校1年のオハナシでした。
 おい、諸君も楽しめよっつーの。あ、まだやってないよ!
 こんなこと書いたらまた怒られちゃうって。


心から笑おう。最低1日3回は。

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