ZP24 03月08日

卒業式。 

 3月1日、卒業式。
 イケナイコトなのだが、今年は毎日学級通信を配っている関係上、また、ホームルームでの時間があまり取れない関係上、口頭で話をしないようになっていた自分がいた。最後のホームルームくらいはしっかりと奴らに話をしていこうと思っていたのだが、こんな日に限って配布物の嵐々々・・・。気が付けば教室前の廊下には既にホームルームを終え、一緒に帰る友人を待つ他のクラスの生徒達がワラワラと集まってきていた。
 こうなってしまうと、前日、いや、当日の朝までホームルームで話すことをいろいろと考えていたくせに、「ええい、別にいいか・・・」モードになり、更に最後の学級通信もじっくりと読みあげたかったくせに、ぱぱぱーっと配って、「よーく読んでおいてね」 で済ましてしまおうという自分がいた(ここが私のいけない所だと自覚しているのだが・・・)。
 とある生徒が気を利かせてくれたのか、「先生、最後なんだからなにか話をしてよ」 と大きな声をかけてきた。配っている学級通信を読むことにした。読みあげる私の声が教室内に響きわたり、目的を達成することが出来た。内心ほっとした私は結構小心者である。
 「トイレ行ってきていいですか」 と申し出てきた生徒に、軽く 「あー、どーぞ」 と返答していると即座に戻ってきた様子だった。気にしていないでいると、「はい、先生、どうもありがとう!」 という言葉と共に、大きな鉢植えの花と寄せ書きの色紙を渡してくれた。トイレに隠しておいたらしい。拍手で沸く教室内。思わぬ攻撃に戸惑いながらも、お礼の言葉と大きな一礼を彼等に返した。「じゃ帰りましょう・・・」 という私の声をかき消すように、誰からとなく 「みんなで写真撮ろうよ」 の声が出てくる。再び拍手で沸く教室。
 たまたま廊下にいた他のクラスの生徒にシャッターを頼むと、彼の手元には20個近いカメラが集まってきてしまった。そのたくさんのカメラに思い思いのポーズで写真を撮られている彼等を見ていると、この2年間、こんなにまとまって盛り上がったことがあったか・・・などと考えてしまった。彼等と共に過ごしている時間が、ずーっと続けばよいのにな・・・と真剣に感じた瞬間だった。その後、学校長やら理事長やらに学年で挨拶に行かなければならなかったので、時間ぎりぎりまで教室で過ごしていた。
 そして放課後。昨年11月に亡くなってしまった、隣のクラスの女子生徒のところに報告に行く者がいたり、最後だからと皆でボーリングをしに行く者がいたり・・・皆思い思いの3月1日を過ごしていたようだ。
 ここ数日、ぼーっと日々を過ごしている。もう彼等と昼休みに教室で一緒に弁当食べることもないし、清掃時にどやどやすることもないし、放課後や休日にメシを食いに行くこともないし、頼まれていた数名にモーニングコールをすることもないし、夜中にへこんで電話をかけてくることもないだろう・・・・・こんなことばかり考えてしまう。
 思った以上に、いやもっともっとそれ以上に彼等は素敵な奴等だったのだな・・・・・・と思ったのはここ数日のこと。もっと彼等との時間を大切にするべきだった・・・。 

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