「とにかくコレは旨いから食ってみろ!」
親戚の叔父がそう言って、夏休みに遊びに行った当時小学生の私に
強力に勧めたものは・・・
一見、茄子のぬか漬けと思えるが、全然違ったモノだった。
コワゴワお箸で「謎のもの」を摘まんで、しばしながめたあと・・・
恐る恐る口へ運ぶ。
パクリ・・・モグ・モグ・・モ・・・・??・・ウエッ!!
(食事中に行儀が悪いゾ!)
衝撃的な未知の味。未知の形。未知の食感。
強烈な動物らしき脂の味。ちょっとしょっぱかったかな?
黒い皮に白い身。ゴムを食べているような感じ。
正体は「海豚(イルカ)のヒレ」
ショックでした。
だって、あの可愛いイルカを食べちゃうなんて!!ひどい!!
小学5年生の女の子には充分に重たい味でした。
以来、口にしてはいけない、したくない味となりました。
「嗜好の違い」はどうしようもないですよね。
自分が大好きな味で良かれと思って勧めても、
勧められた側には「苦手な味」ということは多々あり、
さらにその好意に本音を言うのをためらって我慢されていたとすれば、
次の機会に再び「その味」を「好物」と勘違いして勧めてしまうという
スパイラルが展開してしまう。
それは食べ物に限らず、モノの考え方にしても同じ面があるのだと気付いた。
「思考」も人それぞれ。
「右へならえ」で動いてしまいがちな日常の中に居ると、
「思考の違い」があって当たり前だということにさえ、疎くなってしまう。
いちばん鈍ってはいけない感覚が、疲れの中で壊れかけている。
ヒオウギ
(8月5日更新)
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