日常の当たり前の景色の中に、思い掛けなく見られることや
 出会えることが有ると、妙に嬉しいものだ。

 ある日の夕方。
 まだ小雨が残っていたものの、西には綺麗な夕焼け空が待っていた。
 その向かいの東の空にそれを見つけた。

 虹。

 虹を見たのは何年振りのことだろうか?
 水撒きの時の水しぶきに光が反射して、小さいものなら見られるが
 自然現象が掛ける虹の橋はなかなか見たくても見られないもの。
 それもすぐに消えてしまう儚いもの。

 竹竿の先に止まった赤とんぼの後ろに大きく掛かった虹。
 絵本になりそうな風景だ。

 束の間のネイチャーショウのようだった。

 さらに別の日のこと。

 日本の国鳥になっている雉(きじ)の小さな群れを見た。
 成鳥のオスが2羽にまだ若鳥の羽が抜け変わらないうちのオスが1羽。
 それにメスが3〜4羽という編成だった。

 野生の雉を見ることは今の住まいに引っ越してきて、実家に居るときよりも
 圧倒的に多くなったが、それでも緑色に光る艶やかな羽根を見ると、
 本当に綺麗で顔の赤とのコントラストも目を引くその姿に嬉しくなる。

 高速道路が開通になる数年後には、彼らののんびりとした姿を見ることが
 減るのだろうなと思うと、寂しい気がしてしまう。

 便利さと引き換えに何かが失われていく。
 これもそんな一つかもしれない。
         


                 

 (9月23日更新)

 
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