明治6年1月1日の定時法施行により、公官庁では時計を輸入しはじめました。掛時計では八角や丸型のテンプ振りの時計(現在、船時計と称しているタイプ)がはじめ入り、次に振り子式のボンボン時計が輸入されたようです。ボンボンは、セス トーマス社のものが最初でした・左の時計はイングラハム社(アメリカ) のものですが、四つ丸時計としては比較的早く輸入されたもののようです。同社は1831年の設立で、セス トーマス社とともに日本に早くから輸出した時計メーカーです。
 左の時計は、金4つ丸掛時計、ケースの4つの丸い部分が、石膏地に金箔を施してあります。
輸入時は、さぞかし光り輝いていたことでしょう。全長55cm、10吋ダイアル、時打ち、1週間巻。

 さて、明治初期のこの時計ですが、当時いくらしていたのでしょうか?
ケースの裏側、時計の背中には、明治12年3月に
10円にて新調した旨、墨書されています。
 牛乳1本が4銭だったとの記録がありますが、このものを仮に100円としますと、約2万2千円となりますが、明治19年の小学校教員の初任給が月俸8円とありますから、実際はかなり高価なものであったと思われます。 

 振り子には、「PAT.DEC.77」と鋳物凸字があり、この時計の特許取得が1877年12月であることを、示しているのではないかと思います。

時計の背中

明治の世、時計の値段?