2025年7月19日(土)~10月13日(祝・月)
《喫水線 2024-15》 2024年
足利市を拠点に活動する菊地武彦(1960-)は1990年代より絵の始まりである「線を引くこと」をテーマに制作を行ってきました。初期の《線の気韻》シリーズでは、垂直線の重なりが凜とした緊張感を生み出した大自然を彷彿とさせる画面をつくり、《土の記憶》では、偶然できたかたちに寄り添うことを作品の意図としました。さらに2010年代の《線の形象》では、線を引くことで現れる形態やイメージを肯定的に捉える試みをし、近作の《喫水線》では、余白と線の関係を問いながら、伸びやかな身体性に立ち返った制作を展開しています。 また菊地は、独自に研究した岩絵具やメディウムによる、日本画で使われる材料をベースにした独特な質感の画面をつくり上げ、そうして表される、様々な輝きを放つ物質感のある画面も、作品の魅力の一つに挙げられます。 本展では、菊地武彦の作品を初期から現在までたどる、美術館での初の大規模個展であるとともに、今度の展開を予見させる最新作品を合わせて展示することで、表現の全貌に迫ります。
作家経歴
菊地武彦(きくちたけひこ) 1960年、足利市生まれ。1984年、多摩美術大学大学院修了。1990年頃より線をテーマとした作品を発表し始め、ひたすら垂直線を引くことで重層的で豊かな抽象絵画を生み出す。画材においては、紙に岩絵具のほか、鉄粉や土などを使用することで、日本的な伝統と革新、さらには文明と自然の関係をも示唆している。また、岩絵具や膠に替わる革新的なメディウムの研究にも取り組むなど、日本における新たな画材を研究にも取り組んでいる。現在、多摩美術大学絵画学科教授として後進の指導にあたる。2012年、栃木県文化奨励賞受賞。
《線の気韻 1993-14》 1993年
《土の記憶2004-23》 2004年
《線の形象 2017-2》 2017年
《喫水線 2024-7》 2024年
関連プログラム
講演・ワークショップ
《国語、数学、理科、社会・美術の中で考える》
日時:7月27日(日)10:30~12:00
講師:菊地武彦
会場:足利市立美術館多目的ホール
定員:40名
*小学5年生以上~一般の方がご参加いただけます
《トークセッション リアリティをめぐるいくつかの試み》
日時:8月24日(日)14:00~16:00
出演:菊地武彦×水野 暁(美術家)×川島健二(民俗学研究)
会場:足利市立美術館多目的ホール
定員:40名
《絵の具ってなに? ―古代の色材から―》
日時:9月20日(土)10:30~12:00
講師:菊地武彦
会場:足利市立美術館多目的ホール
定員:15名
上記の講演・ワークショップはお申し込みが必要です。事前に電話(0284-43-3131)でお申し込みください。定員になり次第締め切らせていただきます。
参加費は無料です。なお、ご参加の方が展覧会をご覧いただく際には当日有効の観覧券が必要です(高校生以上)。
トークイベント
《菊地武彦オープニングトーク》
日時:7月19日(土)14:00~15:00
予約不要。参加無料。お時間になりましたら、2階の受付前ロビーにお集まりください。
《学芸員によるギャラリートーク》
日時:8月2日(土)、9月6日(土)各日14:00~15:00
《学芸員による鑑賞ワークショップ》
9月21日(日)14:00~15:00
上記のトークイベントでは参加費、お申し込みが不要です。開始時刻に美術館受付前にお集まりください。なお、高校生以上は当日観覧券が必要です。
〒326-0814
栃木県足利市通2-14-7
TEL 0284-43-3131