某クラス会長にページジャックされてしまいました。とってもダービーなお方はどうぞ・・・とほほ。
第39回:へやドラマE
江村 「・・・・・・」
マンボー 「そんなに俺が来るのが以外かね?」
江村 「何しに来た?手助けしないんだろ?」
サングラスを付け、何を考えているかわからないマンボーに苛立ちながらも江村はマンボーに問い掛けた。
マンボー 「手助けはしない・・・と思ったが状況が変わった。」
江村 「状況?」
マンボー 「俺が予知した事が少しずれ始めているんだ。」
それを聞いた江村は少し驚いた。今までマンボーが予知をはずした事は一度もなく、的中率は○泉首相もが絶賛するくらいだ(ウソ)。そのマンボーの予知がずれ始めていると言うのは、少し信じがたい話だった。
マンボー 「誰かさんが明日なんの日か、思い出してくれないおかげでな。」
江村 「真一郎か?」
マンボー 「お前だよ。本当ならお前が昨日のうちに思い出していろいろと準備に取り掛かるはずだった。どうしてくれるんだ?」
江村 「んな事言われてもねぇ。」
マンボー 「人がせっかく写真まで飾ってあげたというのに。」
マンボーはテレビの上の写真に目をやった。
江村 「あれはお前の仕業か!?」
マンボー 「とにかく、嫌でも思い出してもらう。」
そう言うとマンボーは江村の目の前に自分の右手の5本指を出した。
江村 「何をする気だ?」
マンボー 「俺が得意にするのは予知能力だけじゃない。俺は過去を見せる事が出来る。ただし、その過去を見れるのはその過去の持ち主だけ。つまり、俺もその過去を見る事は出来ないからプライバシーになんの問題も無い。」
江村 「ふーん。面白そうだな。しかし、俺がその過去を見ている時、俺の肉体はどうなってんだ?」
マンボー 「他人から見れば寝ているか気絶してる様にしか見えない。」
江村 「随分違いがあるな。」
マンボー 「いいか。これからお前が見に行くものは全てが現実にあった事だ。嘘偽りは何一つないからな。それから、過去は変えられないものだ。間違っても変えようと思うな。」
江村 「とっとと始めろよ。時間がないんだ。」
江村がそう言い終えると、マンボーが目を閉じた。そうすると、江村の視界が真っ白になりはじめた。
江村 「な・・・なんだ?」
江村の視界が完全に真っ白になり、そして真っ黒になった。その時、マンボーの声がかすかに聞こえた。
マンボー 「過去とともに思い出す事だな。母親の愛情を・・・。」
江村 「・・・・・・ん、ここは、公園じゃないか。」
江村が目を開けると公園のベンチに座っていた。そこは紛れもなく、自分の住んでいるアパートの近くの公園だった。
江村 「アレ?まだアパートが真新しい。って事は、ここが過去?」
江村はあたりを観察し始めた。観察し始めると、やはりここが過去だという事が確信になってきた。つぶれたはずのラーメン屋があるのは大きな証拠となった。そして、ここが数年前の明日だと言うのが公園の時計に表示されているもので確認できた。そして、良く見れば砂場の近くで4人の子供が遊んでいる。その近くでその子供たちの母親らしき4人の主婦の姿が見えた。その中に死んだはずの江村の母親もいたし、小さい頃の自分もいた。
江村 「・・・・・・マジかよ。」
江村は少々驚きながらも過去の自分を観察した。
江村 「何が楽しいんだかな。あっ、こけた。あはは、泣いてるよ。泣き虫だったからなぁ、俺。」
苦笑しながらも江村は自分の子供時代の姿に見とれていた。それから、子供時代の真一郎・唯子・小鳥も観察し始めた。
江村 「小鳥の奴緊張してら。会ってまだ日がない頃か。真一郎もこの頃はまだかわいげがあるな。唯子はまったく変わってないな。そのまま大きくなったようなもんだからな。」
今度は子供時代の自分達の会話に耳をやった。
子供版・唯子 「はじめまして。わたし、たかしろゆいこ。よろしくね。」
子供版・真一郎 「ぼくはあいかわしんいちろう。」
子供版・江村 「えむらなおとっていいます。よろしく。」
子供版・小鳥 「の・・・ののむらことりです。」
江村 「自己紹介?今日初めて会ったって事か?」
江村は疑問を抱きながらもまた、耳を傾け始めた。
会話の内容を聞くと、やはり今日初対面だという事が分かった。4人はもともと母親同士の付き合いがあったから出会ったようなものだ。
江村 「しっかし分からんな。今日がなんの日なんだか。それらしい会話はしてないし。」
少年時代の自分達の会話に今の所それらい会話が出てこない。そして、江村はもう一つの疑問にあたっていた。今まで自分は母親の愛情などもらわず育ったと思っていたのだが
江村 「随分甘えてんな、俺。」
ここに来て今までの自分の記憶があいまいなのに気付いた。
江村 「そうか。俺は結構愛されてたんだな、母親に。」
しかしここで、ふと思い出した事があった。
江村 (なんで葬儀の時俺は泣いてなかったんだ・・・そうだ、俺はあの頃凄く泣き虫だったはずだ。そんな俺が泣かないはずが無い。なにかあったんだ。俺が泣かなくなるような理由が。)
そんな事を考えながらも少年時代の自分達の会話に耳を傾け直す。そのうち、自分の母親が4人にこう言った。
江村・母 「今日はみんなの記念日なのよ。」
子供版・小鳥 「きねんび?」
子供版・真一郎 「きねんびって、なんのきねんびなの?」
江村・母 「今日はみんなが初めて出会った日なのよ。」
子供版・唯子 「ふーん、そうなんだ!」
子供版・江村 「じゃあ、きょうはぼくたち4にんのきねんびだね!」
江村 「俺達・・・4人の記念日だって!?」
子供の頃、しかも自分が言い出して出来た記念日に少々江村は驚いた。他人が言ったのならまだ忘れようがある。だが、「言い出したのが自分」と分かった時、思い出せなかった自分が情けなくてしょうがなかったのだ。
江村 「・・・まっ、こんな所でブルーになっててもしょうがない。取りあえず、明日がなんの日か分かった!」
そう言いながら江村は空を見上げた。
この時代の今はもう太陽の日差しが秋を予感させるようなとても暖かいものだった。公園の木々達も紅葉の秋の準備をしているかのように見えるくらいだ。現代とは大違いな気候だ。
江村 (それはそうと、俺はどうやったらもとの時代に戻れるんだ?)
マンボーに特にこれといった戻り方も教えてもらわなかった江村は、「そのうち戻れるっしょ」と思い、ひさびさにあのラーメン屋に足を運んだのだった。
ラーメン亭主 「へいらっしゃい!」
江村 「餃子とチャーシューメン!」
ラーメン亭主 「はいよ!」
そう言うと亭主は調理場の方へと行ってしまった。オーダーを聞く時のしぐさや態度は、江村に懐かしさを与えていた。
江村はその待ち時間、窓から外の風景を楽しんでいた。こんな体験は2度と出来るものじゃないと思いながら。ふと、道路にボールが転がっていき、それを小鳥が取りに行くのが見えた。
江村 「あれは大方、俺がパシリに使ってんだろうな。あっ、こけてやんの。昔から面白い奴だな。」
転んだのに気付いたのだろうか。この時代の自分が小鳥のもとへ走っていくのが見えた。
ラーメン亭主 「はいっ!チャーシューメンに餃子、おまちどうさま!」
江村 「おっ、うまそー!」
ラーメン亭主 「そりゃそうさ!うちのラーメンは日本一だからな!」
江村 「うんうん。懐かしい味だ!」
ラーメン亭主 「???・・・つい先月開店したばっかりなのに懐かしいなんて・・・変なお客さんだな。」
そんな言葉は江村の耳に入ってはいなかった。亭主は伸びをしながら窓の外の風景を見て叫んだ。
ラーメン亭主 「あぶねぇ!!!」
いきなり叫ばれるたため、江村はむせた。
江村 「ゲホゲホッ!何だよいきなり?」
江村も外を見ると想像も出来ない光景を目にする。もう一人の自分と小鳥にトラックが衝突しようとしている光景が目に入ったのだ。どう見ても、トラックの運転手は居眠りをしている。それに2人はまったく気づいていない。
ラーメン亭主 「うわっ!もう駄目だ!」
亭主は目に手をかぶせた。江村は律義に勘定をおいて外へ走った。
江村 「今ならまだ間に合う!」
しかし、江村の体はだんだん硬くなり動かなくなった。自分にもよく分からないが、マンボーの言った言葉を思い出した。
マンボー 『過去は変えられないものだ。間違っても変えようと思うな。』
江村 「くっ・・・どうしようも出来ないという事か!?ただ、見届ける事しか!」
その時、またしても信じられない光景を江村は目にする。自分の母親が2人をかばい・・・
そして・・・・・・
江村 「!!!」
マンボー 「戻ってきたようだな。」
江村 「・・・・・・」
マンボー 「で、どうだった?」
江村 「知ってて聞いたんだったら殺すぞ。」
めずらしく江村は殺気ずいた目線をマンボーに贈った。マンボーには予知能力がある。いくら他人の過去を見れないとしても、他人がどういった過去を見るか。そのぐらいは予知できるのではないかと江村は思った。
マンボー 「分からないから聞いているんだ。分かっているのに聞くなんて、そんな無駄な事はしない。」
江村 「・・・そうだな。」
最後に見た光景で、江村は平常心をなくしていたのかもしれない。取りあえず江村は落ち着く事にした。長い時間過去に行っていたのだと思っていたが、実際の所あれから3分ほどしか立っていない事に気付いた。
江村 「4人の記念日なんだってよ。明日・・・」
マンボー 「そうか!分かって何よりだな。」
そう言うとマンボーは江村の部屋を出て行こうとした。
江村 「母親の命日でもあるんだがな。」
マンボー 「・・・そうか。で、やっぱりお前は母親の愛情はもらわず育ってたのか?」
江村 「・・・・・・どうだろうな。」
一見ぶっきらぼうな答えだが、素直じゃない江村の精一杯の答えだとマンボーは分かっていた。
江村 「サンキューな。あっ、そうだ。実はさあ・・・」
マンボー 「勝手にするがいい。」
江村 「???」
マンボー 「俺は他人が何を考えているか読み取る力もある。『読心術』って言うんだがな。俺達で飾り付けはしておくからお前は他の準備に取り掛かれ。」
江村 「・・・サーンキュー!」
それからまもなく真一郎と小鳥が到着。江村は事情を話し明日の準備に取り掛かった。あらかたの準備は徹夜をして終わった。そして、「キングマンボーのへや」の3人も、部屋の飾り付けを終えた。
TAKUMI 「いったい何のつもりだよ?」
帝王 「パーティー会場にでもなるのかここは?」
徹夜まで働かされたうえ、事情をまだ聞いていなかったTAKUMI・帝王は不満が隠せない。
マンボー 「明日になれば江村が事情を話すさ。」
・・・・・・記念日当日!・・・・・・
TAKUMI 「会長!いったいどういう事なんだよ!?」
・・・・・・事情説明中・・・・・・
江村 「とまあ、そういう訳なんだ。」
TAKUMI 「あっ、そうなんだ。そういう事なら。」
帝王 「フン!ヒマじゃないけどな。」
田村 「俺は別に構わないけどな。」
TAKU 「酒出るの酒!」
松島 「あんたねぇ・・・。」
S木 「まだ出番あんの?」
H野 「よーし!こうなったらサブキャラ最後の大仕事だ!」
TU−ZI− 「帰ってもやる事ないしな。」
S井 「そうですな。」
Y岸 「よっしゃ、燃えるぜ!」
A井 「楽しみだな!」
Y澤 「ビデオ・・・」
江村 「黙れ!」
ハリセン効果音 「パコーン!」
Y澤 「ぐはぁー!」
TAKUMI 「会長、Y澤と遊んでいるヒマはないぞ!」
江村 「無駄な時間を過ごした。」
シンディ 「帝王ー!」
皇帝 「どうやら間に合ったらしいな。」
帝王 「そのようだ。」
そんな事をやっていると、材料を買いに行っていた真一郎と小鳥が帰ってきた。
真一郎 「材料買ってきた・・・って、凄い人数だな!?」
小鳥 「ホント・・・」
江村 「よーしっ!物語もクライマックスだ!!」
皆さん 「おー!!!」
TAKUMI 「最後の準備に取り掛かるぞー!!」
皆さん 「おー!!!!!!」
次回はいよいよ最終回だ。えっ、なんの準備だって?もうお分かりでしょう皆さん。
答えは次回!お約束だね。
第38回:へやドラマD
某所アパート:江村宅
真一郎 「そうか、帰ってきてたのか。久しぶりだな小鳥。」
小鳥 「うん、そうだね。」
江村 「挨拶が終わった所で本題に入ろうか。」
あれから江村は自分のアパートに帰り、階の違う真一郎の所にいき事情を聞いた。やはりケンカの発端となったのは唯子の「明後日なんの日か覚えているよね?」だった。当然のごとく真一郎は覚えておらずケンカになり、そして
唯子 「真一郎のバカァ!」
と、なったそうだ。
ここまでの話を総合し、江村の出した結論は「俺達4人が必ず知っている事」だった。
真一郎 「まったく分らないんだよな。江村も小鳥も分からないのか?ま、江村じゃ覚えてなくても不思議じゃないけどな。」
江村 「うるせーよ。」
ハリセン効果音 「パコーン!」
真一郎 「いってぇ〜・・・」
本日3発目のハリセン攻撃!クリティカルヒット!
江村 「何のためにここに集まったと思ってやがる。まったく、お前ら2人の事はもう大丈夫だと思っていたのに、やっぱり俺がいなくちゃ駄目なんだな。」
真一郎 「自分だって分らないくせに・・・。」
江村 「そんなに殴られたいか?」
そう言うと江村は、ハリセンを床に叩き付けた。もちろん、真一郎は首をブンブン振って拒否した事は言うまでもない。
小鳥 「それはいいとして・・・どうやって調べるの?」
うまい具合に話題を変える小鳥。うまいものだ。
江村 「これよ。」
そう言うと江村は、本棚からアルバムを数十冊テーブルの上に置いた。
真一郎 「これでどうやって調べるって言うんだよ?」
江村 「あったまわるいね〜、真一郎は。写真は記録だぜ?当然日付も残る。」
小鳥 「そうか!この中から明後日の日付を調べてその時の状況を思い出せばいいのね!」
真一郎 「あっ、な〜る!しかし、これを調べるとなると・・・結構大変だな。」
江村 「だからお前らも呼んだんじゃないか。俺一人で調べるより効率いいからな。」
早速江村は1冊目を手に取った。それを見るかのように、真一郎・小鳥も1冊目を手に取った。
江村 「・・・・・・」
真一郎 「・・・・・・」
小鳥 「・・・・・・あ!!」
真一郎 「なに!?もう見つけたのか!?」
希望の光は見えた・・・と、江村・真一郎は思った。が、しかし
小鳥 「この頃の真ちゃんに直ちゃん、かわいい!」
江村・真一郎 「・・・・・・」
次の瞬間、小鳥の頭に江村の殺意のこもったハリセンが頭にヒットした。続いて真一郎の空手チョップがヒットした。江村同様、殺意がこ
められている事は言うまでもない。
小鳥 「いったーい!何するの2人とも!?」
江村 「死にたくなければそれ以上喋るな。次はないぞ。」
真一郎 「右に同じく。」
江村と真一郎の目は明らかに血走っていた。同時に顔が少し赤くなっていた。
真一郎 「なあ、そろそろ俺達を『ちゃん』付けして呼ぶのやめないか?」
小鳥 「なんで?」
真一郎 「恥ずかしいから!もう高校生だぜ?」
小鳥 「う〜ん・・・でも、私にとって真ちゃんは真ちゃんだし、直ちゃんは直ちゃんだ。これからも2人の事は真ちゃんに直ちゃんだよ。」
ハリセン効果音 「パッコーン!!!」
江村 「分ったから、その呼び方を連呼するな。真一郎、手休めず働け。」
小鳥 「う〜、なんかさっきより力がこもってなかった?」
真一郎 「左に同じく!しかもなんで俺まで殴られなきゃならん?」
江村 「死なない程度にしているから大丈夫だろ?」
真一郎・小鳥 「そういう問題じゃなーい!」
江村 「黙ってとっとと働け。この分じゃ朝までかかるぞ。」
まさにその通りだった。自分でもなんでこんなにアルバムがあるのか分らないのだが、小鳥が引っ越す前のだけでも数十冊を越えている。
結局、12時をまわってしまったのだった。
江村 「考えてみれば夕飯まだだったな。」
真一郎 「そう言えばそうだった。」
小鳥 「私なんか作ってこようか?へや隣りだし。」
江村 「材料なら俺んちの冷蔵庫のもの勝手に使って構わん。」
小鳥 「いいの?」
江村 「一人暮らしともなるとわざわざ買い物行くのも面倒だから、いつも多めに買ってきているから。何とかなるだろ?」
小鳥 「じゃあ、簡単なもの作からちょっと待っててね。」
真一郎 「ういーっす。」
小鳥は台所の方へ小走りをしていった。同じアパートだから部屋の構造はまったくいっしょ。迷わず台所にいける。
江村 「つぶれてなければ、近くのラーメン屋に行くんだけどな。」
真一郎 「あそこのラーメン屋なんでつぶれたんだ?」
江村 「さあ?」
数年前、安くてうまいラーメン屋がこと近くにあった。しかし最近、原因不明なまま店が壊されてしまった。うわさでは多額の借金があったらしいが。
真一郎 「しっかし、小鳥の料理なんて久しぶりだな。」
江村 「あいつはおふくろさん亡くしているから、いろいろと大変なんだろうな。」
真一郎 「・・・ああ。」
小鳥は小さい頃の母親を亡くしている。そのため小さい頃から台所の立ち、食事を作ったりしていた。江村の料理のレパートリーのほとんどは、その頃小鳥に教わっていたものだ。後はほとんど習ったものをアレンジしているだけだ。要するに小鳥は江村にとっては『料理の師匠』でもある。
真一郎 「でもさ、それを言うならお前だった苦労したんじゃないの?」
江村 「さーな。今となっちゃどうでも良い事のように感じるな。」
あまり両親の愛情を感じず貰わず育った江村にとっては両親の死はそれほど大した事はなかったようだ。現に葬儀の時、江村だけは泣いていなかった。
江村 「しっかし、俺も物好きだよな。気が付かないうちにこんなにアルバムがあるとは・・・。」
真一郎 「俺の所にはまったくないぞ。」
江村 「しかし、あれだな。さっき小鳥が言ってたけど『誰にでもかわいい次期』って、やっぱあるんだよな。」
いきなりまじめな話を始めた江村に、真一郎は少し驚いていた。江村がまじめな話をする事はめったにない。ある意味これは『貴重な体験』なのだ。
江村 「だが、人はその『純粋な気持ち』を心の何処か奥底に閉まって育ってしまう。大人になるにつれ、素直じゃなくなってしまうんはそのせいなのかな。」
真一郎 「やめろ。なんだかお前らしくないぞ。それ。」
江村 「なーんとでもいえ!」
そう言うと江村はねっころがった。その時、テレビの上にある1枚の写真に気が付いた。普通の写真より大きめなサイズだ。
江村 「?・・・あんな所に写真飾ったっけ?」
その言葉につられるまま真一郎もその写真を見た。
真一郎 「なーんであんな写真飾っておくかねぇ。俺の部屋には1枚も飾ってねーよ。」
江村 「・・・・・・あんな写真飾った覚えはないんだけどな。」
小鳥 「じゃあ、誰が飾ったって言うの?」
料理を終えた小鳥が戻ってきた。調理をしながらも聞き耳だけは立てていたようだ。
江村 「ん?・・・・・・おい!あれ明日の日付だぞ!」
小鳥 「え!?」
真一郎 「本当だ・・・。」
その写真には左から真一郎・唯子・小鳥・江村の順番で移っていた。かなり小さい頃の写真だが、それが何を意味している写真までは分らなかった。
その日の別の写真もアルバムから探しては見たものの、1枚もなかった。そんな事をやっているうちに朝日が顔を出し始めた。
江村 「俺・・・今日・・・学校・・・休もう・・・かな。」(← 8時間寝ないと機嫌が悪くなる人です)
真一郎 「テスト近いぞ?」(← 「夜更かし上等!」な人です)
小鳥 「でも、さすがにちょっときついかな。」(← 夜更かしめったにしない人です)
真一郎 「江村、こいつ絞め殺していい?」
江村 「さっきまで気持ち良さそうな顔して寝てた奴が言うセリフかそれ。」
本来ならハリセンか真一郎の空手チョップが飛ぶのだろうが、2人ともそんな気力もやる気もなかった。
真一郎 「取りあえず、また今日の放課後江村の部屋に集まろう。」
小鳥 「そうしましょ。」
江村 「勝手にしてくれ。俺はカギ締めて寝る。」
小鳥 「それじゃあ入れないじゃないの!」
江村 「あー!?それじゃあお前にカギ預けとくから。それで勝手に入ってこい。」
そう言うと江村は小鳥にカギを渡してベットで寝始めた。「やれやれ」と、真一郎と小鳥はその寝顔を見ていた。
江村は結局学校をサボり朝寝に入った。そして、夢を見ていた。しかし、ぼやけているという事もあり良く分らない夢だった。
ぼんやりとだが、これだけは覚えている。
子どもの声・・・
近くには子どもの母親がたわいもない世間話をしている・・・
そして、その子どもの中で一番元気のありそうな奴がこう言った。
「きょうは・・・・・・だね!」
そこまでで夢は終わり、汗をかいた江村は目を覚ました。もうすぐ秋とはいえ、記録的な猛暑が続いている中、窓も閉めっきりで寝ていたのだから無理もない。
江村 「・・・・・・ここんとこ、ガキの頃の夢が多いな。たぶん、さっきのもそうなんだろうな。」
時計を見ると4時を回っていた。そろそろ2人のくる時間帯だ。
江村 「風呂にでも入るか。」
江村は引き出しから下着とタオルをだし、風呂場に直行しようとした。その時、テレビの上にあるあの写真に目がいった。あまり良くは見ていなかったため、多少の発見があった。
江村 「やけに小鳥緊張した顔してんな。あいつがこんな顔してるって事は、まだ馴染み切っていない頃の写真だな。」
昔から小鳥は発対面の人になかなか馴染もうとしない。緊張するという事もあるのだろうが。今は結構まともになった方だ。最初と惑っていたとはいえ、TAKUMIと帝王、田村や松島。クラスの女子とも結構はなしをしている。
江村 「唯子は昔から変わらないな。昔っからこんな感じだな。」
などど昔の事を思い出しているうち結構時間が経っていた。もう来るだろうと思い、風呂をあきらめ、クーラーをいれ、ドアのカギを解除してテレビを見ていた。それからすぐにチャイムが鳴った。
江村 「あいてるよ。勝手に入ってこい。」
江村がそう言うとドアが開いた。しかし、そこにいたのは真一郎でもなければ小鳥でもなかった。
マンボー 「遠慮なくお邪魔させていただくよ。」
第37回:へやドラマC
放課後、江村の足取りは確実にパソコン室へと向いていた。その途中、「キングマンボーのへや」の最初の方に書いてある『某簿記教師』M木先生に出会ってしまった。
M木 「よう、江村よぉ。どこにいくんだよぉ。」
江村 「えっ、パソコン室ですけど。」
M木 「ようよう、お前さぁ。もうすぐ期末テストがあるんだからよぉ。たまには家に帰って勉強しろよぉ。」
江村 「は・・・はぁ。」
M木 「俺の教科、中間赤点だったんだろ?勉強しろよ。」
江村 「そうっすね・・・。」
言いたいことを言い終えすっきりしたのだろうか?M木先生はその場を立ち去った。
江村 「会計・・・良く分んないんだよな。」(←作者本音!)
放課後のパソコン室。最近活動を始めた「男子パソコン部」(?)の面々が集まっていた。
S木 「よう会長。」
H野 「また『へや』にいくのか?」
TU−ZI− 「何がそんなに面白いんだか。」
S井 「まっ、僕らのようなサブキャラクターには分からないけどね」
Y岸 「いやまったくですな。」
A井 「まったく、これだから馬は困る。」
Y澤 「会長、『で○こ』のビデオ貸せよ。」
江村 「ええい、サブキャラならサブキャラらしくしていろ!」
ハリセン効果音 「パコーン!」
本日2発目のハリセンが7人の男の頭にヒットした。江村がここに来た目的はただ一つ、キングマンボーに会うことだった。何を隠そう、『キングマンボーのへや』はこのパソコン室の某所にあるのだ。
S井 「掃除用具入れが入り口です。」
江村 「バラしてんじゃねーよ!」
ハリセン効果音 「パコーン!」
S井 「これが俺の最後の花道・・・だ。」
サブキャラのど根性を見た瞬間だった。
・・・・・・キングマンボーのへや・・・・・・
TAKUMI 「どうした会長?」
帝王 「なんでそんなに疲れてんだ?」
江村 「いや・・・サブキャラの執念を体験してきまして。」
TAKUMI・帝王 「???」
江村 「そんな事はどうでもいい。マンボーはどこだ。」
TAKUMI 「ああ、マンボーなら奥の部屋に」
『いるんじゃないの?』と、TAKUMIが言い終える前に江村はあわただしく奥の部屋へと入っていった。
江村 「マンボー!」
マンボー 「江村か。入る時ぐらいノックをしたらどうなんだ。」
マンボーは江村が中学時代に書いたと言う『DB探偵団〜探偵団危機一髪!〜』を読んでいた。フランス編の続編だ。
江村 「お前、なんでそれ持ってんだ?俺でさえなくしちゃった作品なのに。」
マンボー 「俺は異空間世界でも5本の指に入る能力者だよ?不可能なんてほとんど無いね。」
江村は自分が昔書いた作品を読んでもらっているのを見て一瞬嬉しさを覚えた。しかし、今はそんな事どうでも良い事であった。
江村 「なんで予知したことを俺に教えなかった?」
江村は本題に入った。マンボーに聞きたいことはこれだけだ。
マンボー 「ふーん、何かと思えばそんな事?」
江村 「『そんな事?』だと?」
マンボー 「今回の件に関しては俺よりお前の方が詳しいはずだ。言う必要はないと思っていたんだ。」
江村 「俺の方が・・・詳しい?」
マンボー 「いや、正確にはお前ら4人の方が詳しいはずなんだがな。」
TAKUMI 「4人?」
何やら面白い空気を感じ取ったのだろうか?TAKUMIと帝王が入ってきた。
帝王 「それってつまり、会長に真一郎、唯子に小鳥って事か?」
マンボー 「帝王、最近感が鋭くなってきたんじゃないのか?」
江村 「話をそらすな。」
マンボー 「別にそらす気はないけどな。今回は俺は何もやらないからな。」
それを聞いた3人は頭の上に「!!」が浮かんだ。
TAKUMI 「珍しいな。ヒマつぶしに助言の一つくらいすると思ったのに。」
江村 「ヒマじゃないって事か?」
帝王 「それはないと思うな。いつも読書にふけっている訳だし。」
マンボー 「面倒なだけだ。」
マンボーは『面倒な事が嫌い』な性格なのだ。どっちかと言うと『家でゴロゴロしていたいぞー!』なタイプなのだ。
TAKUMI 「どうするんだ、会長?」
江村 「取りあえず真一郎の家に行って来る。どうせ家でふてくされてるだろうしな。」
帝王 「健闘を祈る!」
TAKUMI 「がんばってなぁ。」
江村は部屋を後にした。
TAKUMI 「手貸す必要はない・・・か。」
マンボー 「ん?」
帝王 「お前の目がそう訴えてんだよ。」
マンボー 「まっ、今回は『絆のドラマ』が本当に存在するか見届けようじゃないか。」
TAKUMI 「それよりさぁ、俺達には教えたらどうだ?」
マンボー 「何が?」
帝王 「明後日、なんの日なんだ?」
マンボー 「・・・・・・さぁね。」
お決まりの答えが返ってきた。
マンボー (時間はないぞ、会長・・・)(← 本編のセリフ)
A田 「そうですよ!原稿の締め切り近いんだから!」(← へやドラマ特典Bが始まったらしい)
マンボー 「またですかA田さん。なにげに登場しないでくださいよ。」
A田 「だってぇ、私登場してないんですもん。」
マンボー 「当たり前でしょうが!」
TAKU 「ホントホント。俺なんてただでさえ登場数少ないのに・・・。」
マンボー 「TAKU先生、あんたまで何登場してるんですか!まだカメラ回ってるんですよ!」
田村 「もらった!」
マンボー 「何が『もらった!』だ!カメラ回ってるっちゅうに!」
山 「今時『っちゅうに』は古いと思いますけど・・・。」(← 飛び入り)
マンボー 「な!?・・・なんで登場人物でもない山まで出てきてるんだ?」
山 「やっぱこの『キングマンボーのへや』にまじめな話は似合いません。」
マンボー 「だからってカメラが回っている所で出てこなくてもいいじゃないか!」
TAKU 「芸術は爆発だぁ!!」
マンボー 「わー!この人酔っ払ってる!」
A田 「もう飲めないっす・・・」
マンボー 「あんたもか!」
山 「僕もれーす。」
マンボー 「だれだ、酒飲み始めたのは!?」
江村 「マンボーも飲む?」
TAKUMI 「そんな所で熱弁ぶってないで。お前も一杯やれよ。」
帝王 「フン、日本酒が駄目なら私のワインを特別に飲ませてやる。ありがたくおもえよ。」
皇帝 「そうそう。我々のように高貴な名前には日本酒が似合わない。」
シンディ 「そうよねぇ。」
マンボー 「おまえらかい!」
TAKUMI 「もういいじゃん、撮影なんて。だって撮影スタッフの皆さんも晩酌を楽しんでるじゃん?」
マンボー 「な!?・・・よくよく見ればお前達、撮影スタッフの分際で何やってやがる!」
撮影スタッフ1 「えぇ〜、なんだって?」
撮影スタッフ2 「ヒック!ヒック!」
マンボー 「だ・・・駄目だ。酔いつぶれてやがる。江村さん、ネタとしてはどうやって締めくくるんですか?この回。」
江村 「良くある事ですよ。あの人の原稿には。」
TAKUMI 「そうそう。」
帝王 「たまにはこの『へやドラマ』もこうでなくては。」
マンボー 「次回につながらない終わり方はやめろよ!!!」
皇帝 「じゃあ、その手に持っているビールビンは何ですか?」
帝王 「あ、あれは『サミクラウス』、世界最強のビール!」
シンディ 「結構なビール党とみたわ。」
皇帝 「14度もある。」
TAKUMI 「なんだかんだ言って、一番飲みたかったの自分じゃん。」
マンボー 「どうでもいいじゃん。『とにかくこの世は無責任・・・・・・こつこつやる奴ァご苦労さん・・・』ってな!」
TAKU 「いつの歌だよ。」
「キングマンボーのへや」知ってて得するお酒知識A
サミクラウス:世界最強のビールとしてギネスブックにも掲載されている「サミクラウス」はスイスのハーリマン社の製品。
「サミクラウス」とはスイス・ドイツ語でサンタクロースの事である。一年かけて醸造されるこのビールは、年に一度だけ、サンタクロースの誕生日である12月6日に出荷される。
なんとそのアルコール度数は14〜14,93%。ビールと思ってガブ飲みすると、えらい目に会うことになる。
このビールはビンの中で熟成し、味がまろやかになっていくという驚くべき特徴を持っている。その為、毎年のラベルにその年のビンテージが記載されている。いわば麦のワインとでも呼びたいような秀れモノである。
小鳥 「ほう・・・」
唯子 「これが」
真一郎 「ウン」
マンボー 「って、何勝手に飲んでんだよ。次回はまじめな締めですからね!」
原作者・江村 「そうなの?そのビール俺にもくれよ。」
マンボー 「脚本作ってるあんたがそんな曖昧な返事すんな!!」
※ 次回は本編の続きから始まります。
第36回:へやドラマB
真一郎 「暦の上ではもう『秋』なのに・・・蒸し暑いなぁ。」
クラス替えから1日が経った。真一郎(←忘れちゃいけない、彼は主人公!)は、3年間何も変わっていない道を学校目指し歩っていた。
唯子 「おっはよー、真一郎!」
真一郎を見つけ、唯子が走ってきた。このパターンはもうお決まりである。
真一郎 「おはよう。」
唯子 「今日も蒸し暑いね。」
真一郎 「ああ。しかし、何が悲しゅうてうちの高校にはプールが無いんだか・・・。」
唯子 「ホント。あっ、江村君だ。」
真一郎 「本当だ。誰だ?隣り歩ってるのは?」
江村 「何が悲しゅうてお前といっしょに登校せにゃならんのだ?」
小鳥 「いいじゃない。隣りに住んでるんだし。それにまだ道順になれてないし。」
江村 「真一郎がいるだろ?唯子だっているだろうし。」
小鳥 「あ!」
江村 「わっ!?・・・何だ、どうした?」
いきなりの反応に驚いた江村。柄にもなく髪の毛が逆立つような驚きかたを披露。
小鳥 「まだ2人には帰ってきた事言ってなかった。」
江村 「この・・・馬鹿者が!」
ハリセン効果音 「パコーン!」
小鳥の後頭部を『江村愛用ハリセン』がこだました。
小鳥 「いった〜・・・」
江村 「そんな事ぐらいで『あ!』なんて言うな!まったく、何かと思ったじゃないか。」
小鳥 「だって・・・」
小鳥が下を向いてしまった。
小鳥 「私にとっては・・・忘れちゃいけない事だと思わない?」
江村 (敬語使わなくなった以外はまったく変わってないな。)
昔から小鳥は少しの事を気にし、後へ後へと引きずってしまう性格だ。それを思い出した江村は『なんだか悪い事したな』と思っていた。
江村 「分かった。」
小鳥 「えっ?」
江村 「真一郎と唯子は同じクラスのはずだ。今日の昼休みにでも報告しに行こうぜ。それでいいだろう?」
小鳥 「うん・・・そうだね。私ちょっと用事があるから先に行くね。」
江村 「一人で大丈夫か?」
小鳥 「うん。ここまでくればもう大丈夫。」
そう言うと小鳥は走っていった。
それと入れ替わるかのように真一郎と唯子が江村に追いついた。
真一郎 「おはよう、江村。」
唯子 「おっはよー、江村君!」
江村 「おはようさん。」
唯子 「ところでさあ。さっきまで隣りいっしょに歩いてた人、誰?」
真一郎 「お前が一人で登校しないのも珍しいよな。」
江村はいつも一人で登校している。と言うか、本人はその方が落ち着いていいらしいのだ。
江村 「まっ、そんな日もあるだろ。」
唯子 「で、誰なの?」
江村 「うーん・・・。」
江村は少し考えた。今言ってしまうのは簡単かもしれない。でも、小鳥も2人と会うのを楽しみにしているはずだ。だったら、直接本人の口から言わせた方が良いような気がしたのだ。
江村 「そのうち分かるだろ。」
と、適当な答えを返しておいた。
田村 「よう会長。」
TAKUMI 「随分とゆっくりの登校だな?」
江村 「まっ、いろいろあって。」
帝王 「朝から2人で登校とは・・・随分と見せ付けてくれるな。」
それを聞いたとたん、江村は帝王を教室から連れ出した。
江村 「なんで知ってるんだよ!?」(← かなり焦っております)
帝王 「図星なのか?言ってみただけなのに。」
江村 「俺にカマかけたのか?」
帝王 「言い方が悪いな。まっ、マンボーの予知能力だけどな。」
江村はすかさずハリセンで引っ叩こうとした。しかし、帝王の目が「引っ叩いたらみんなにばらす!」と訴えていた為、引っ叩くことは出来なかった。最も、今日はもう小鳥を引っ叩いているから苛つきはそうなかったのだが。
帝王 「そう言えば、マンボーがまた何かを予知した。」
江村 「またか!?」
これまでマンボーの予知能力には助けられてはいるものの、その大半が面倒事と言うこともあり、江村は露骨に嫌そうなかをした。
帝王 「パズルのピースがそろったとか何とか言ってたけど。」
江村 「なに?ヒントそれだけか今回?」
帝王 「でもさ、どうせまたあの2人のことなんだろうな。」
江村 「・・・・・・真一郎と唯子か。」
そう言うと江村は窓越しに手をかけ、帝王は壁におっかかった。
帝王 「予防線はらないのか?」
江村 「大丈夫だろ。もう、俺がいなくても大丈夫なはずだ。それに俺が手を貸すのはここまでと決めたんだ。」
帝王 「?」
江村 「小鳥との約束でな。『真一郎と唯子のことよろしくね』って。」
帝王 「それじゃ、今まで助けていたのは・・・」
帝王は江村に視線を合わせた。しかし、次の言葉が浮かばない。結局、そこで話は終わってしまった。
A田 「↑、絶対文章に詰まっただけですよね。」
江村 「うるさい、こんな所でネタばらしするな!」
ハリセン効果音 『パコーン』
A田 「いてっ!」
失礼しました。引き続き『へやドラマ』をどうぞ。
・・・・・・昼休み・・・・・・
小鳥 「昨日、聞き忘れたんだけど。」
真一郎と唯子の教室に行く途中、黙っていた小鳥が急に江村に尋ねた。
小鳥 「真ちゃんと唯子、あの後どうなったの?」
『あの後』とは自分が引っ越した後をさしているのであろう。江村は少し間を取り答えた。
江村 「おかげで面倒ごとにいっぱい!・・・巻き込まれた。」
小鳥 「・・・・・・」
江村 「でもまぁ、今や学校も認めるカップルだ。遠回りはしただろうけど、これでよかったんだよな?」
小鳥 「そっか。『ベストカップル』だね!」
江村 「そんなカッコのいいものか?おっ、うわさをすれば唯子だ。」
昔から『うわさをすれば影』と良く言ったものだ。唯子がこっちに向かってきていた。小鳥には気づいていないようだが、取りあえず声をかけることにした。
江村 「よぉ唯子。実は昨日さ」
『小鳥が転校してきてさ』と言おうとした江村に唯子が何かを訴えるような目で問い掛けた。
唯子 「ねえ江村君。明後日がなんの日か覚えているよね!」
江村 「は?明後日?えーと、明後日というと・・・」
急な問いかけとはいえ、江村は結局答えることが出来なかった。
唯子 「やっぱり・・・」
そう言い残すと唯子は下を向きながら階段を降りていってしまった。
江村 「な・・・なんなんだ?」
小鳥 「さあ?」
江村 「あっ、お前の事言い忘れちゃったな。ごめんな。」
小鳥 「それは良いけど、明後日ってなんかの記念日だっけ?」
江村 「さあな。まあ、あの様子じゃまたケンカをしたようだな。真一郎と唯子は。」
そこまで言い終えると江村は朝、帝王の言われたことを思い出した。
『パズルのピースはそろった』
江村 (パズルのピースがそろった。俺達4人の事なのかな?)
小鳥をよそに江村の試行錯誤は続く。そして、導き出した答えは
江村 「また、一荒れ来るのか。」
小鳥 「?」
だった。当然、小鳥には江村の言っている意味は分からなかった。
マンボー (ついに動き出したか。高みの見物といくか。)(← 本編のセリフです)
TAKU 「いやぁ、屋上から見る景色は良いねぇ。」(← へやドラマ特典Aが始まったらしい)
マンボー 「えっ?」(← いきなり始まったため対応しきれてない)
TAKU 「こう晴れ渡ると授業なんてどうでもよくなるよな!」(←
壊れ始めている)
マンボー 「そんなセリフあったっけ?」(← 慌てて台本を見直す)
TAKU 「それっ、ジャンプ!!」(← 壊れた。もう、誰にも止められません)
マンボー 「ないよなぁそんなセリフ・・・?何だこのゴムヒモ?」
TAKU 「!!バンジーのゴムヒモ付け忘れた!うわぁーーー!!!」
マンボー 「アレTAKU先生?どこ行っちゃったんだあの人?」
TAKU 「さいならぁーーー!!!」
・・・・・・ぐちゃっ・・・・・・
マンボー 「?なんか変な音がしたような。まっ、いっか。」
そう言うとマンボーは屋上を後にした。TAKUがどうなったかは、言うまでもない。
第35回:へやドラマA
江村 「いつ帰ってきだんだ?」
小鳥 「おととい。連絡しようとしただけど、まだ電話線つなげてなくて。」
江村 「携帯があるだろうが。」
小鳥 「番号知らないもん。」
TAKUMI 「なに、知り合い?」
2人の会話に割り込むかのようにTAKUMIが江村に問う。
江村 「そうか、話した事なかったっけな。俺と真一郎、唯子に小鳥は引っ越すまでは家が近所同士でな。」
TAKUMI 「ああ、真一郎と会長が今住んでいるマンションか。」
江村 「そうそう。俺達の腐れ縁は親同士が知り合いで近所同士だった事もあるんだ。もっとも、俺と真一郎はまたあのマンションに逆戻りする結果となった訳だがな。」
真一郎は両親の転勤、江村は母系の祖父母の家から独立したいがために現在一人暮らしをしている。だからテストの時などはいっしょに勉強をしている。江村の両親はもうこの世を去っている。そのため、江村は母系の祖父母の家に「養子」と言う形で住んでいた。祖父母には可愛がってもらっていたが、あまりいい気ではなかったらしい。高校進学を機に独立を理由に一人暮らしをしている。
帝王 「ふ〜ん、つまり『幼なじみ』か。」
江村 「まっ、そんな所だ。」
田村 「じゃあ寝言でなんか言ってたけど。約束がどうとか。」
江村 「寝言なんて言ってたか?」
田村 「ああ。まっ、寝言のおかげで野々村さんはお前の事を確認できたんだがな。」
小鳥 「あっ、口にゆだれの跡が付いてるよ。」
江村 「えっ、マジ?」
小鳥 「ウソだよ〜ん!」
江村 「・・・・・・」
小鳥 「あはは、引っ掛った!」
ハリセン効果音 「パコーン!」
小鳥 「いたーい!」
江村 「帰ってきて早々やられやがって。ガキの頃と変わらんな。」
少し顔を赤くしながらも、つい最近確認された『江村愛用ハリセン』が小鳥の後頭部を直撃した。その痛みを身をもって体験した事のあるTAKUMIと帝王は『うわっ、痛そう・・・。』と思った。
田村 「そのハリセンはどこから出てきてるんだ?」
江村 「さあな。」
田村の素朴な疑問をお約束な答えで返す江村。しかし、それを一日一回はそのハリセンで引っ叩かれているTAKUMIと帝王はかなり気になっていた事だった。
TAKUMI 「四次元ポケットでも付いてんか?」
帝王 「意外にパンツの中に隠してたりして。」
江村 「んなわけないだろ。」
そんなやり取りを見ていた小鳥は『昔からちっとも変わらないな』と思っていた。
田村 「いつまでやってるんだよ。そろそろ下校時刻だぞ。」
いいかげん、このやり取りにも飽きていた田村が述べる。これを聞いて一番焦ったのは、江村・TAKUMI・帝王だった。
江村 「なにぃ、テレビの再放送が!」
TAKUMI 「しまった!すっかり忘れてたぜ。」
帝王 「憤激レポートが!」
田村 「あれ面白いか?」
帝王 「あれほど面白いものはない!」
江村 「そんな事はどうでもいい!俺は帰るぜ。テレビが俺を待っている!」
そう言うと江村はそそくさと教室を後にした。
小鳥 「あっ、ちょっと待ってよ!」
慌てて小鳥も江村の後を追った。
帝王 「さて・・・と。私もとっととへやに帰って『憤激レポート』を見るか。TAKUMI、お前はどうする?」
TAKUMI 「俺バイト。先に帰っていてくれ。」
田村 「俺もバイトだ。それじゃな。」
帝王 「ああ。」
そう言うと3人も教室を後にした。
※ 後から判明した話だが、小鳥の引っ越し先は偶然にも江村が住んでいるマンションの隣りの部屋だそうだ。
帝王 「たっだいまー。」
マンボー 「・・・・・・」
帝王を待っていた(?)のは、『キングマンボーのへや』総責任者ともいえるキングマンボーだった。マンボーは江村が中学時代に書いたという『DB探偵団
〜探偵団フランスへ行く〜』を読んでいた。
帝王 「相変わらず無愛想な奴だな。『おかえり』の一言ぐらい言ったらどうだ?」
マンボー 「・・・・・・」
マンボーは読書に集中していた。もっとも、マンボーが帝王の話に耳を傾けるのは興味を持った話だけなのだが。
帝王 「まったく・・・。ああ、そういえば今日転校生が来てな。」
マンボー 「転校生?」
マンボーがようやく帝王の話に耳を傾けた。
帝王 「ああ。野々村小鳥って名前で、会長の幼なじみだそうだ。」
帝王は今日の出来事をマンボーに説明し始めた。マンボーはこの学校の状況をTAKUMIと帝王の話をもとに理解しているのだ。
マンボー 「ふーん、そうか・・・。」
マンボーは読んでいた本にしおりを閉じ本棚に閉まった。
マンボー 「パズルのピースはそろった訳・・・か。」
帝王 「?・・・またなんか予知したのか?」
マンボーは『異空間世界』でも『5本の指』に入る能力と権力を持っている。そもそもマンボーがこの『桐生○○一高校』に居座る事になった理由は、この世界の調査が表向きである。もっとも、『異空間世界』の生活に退屈していたマンボーにとっては『これ幸い』だった訳だ。
そんなマンボーが得意とする能力が『予知能力』だ。
帝王 「で、今回は何を予知したんだ?」
前回、真一郎と唯子の事を予知し、見事に的中したマンボーの『予知能力』。確立はもう実証済みだった。帝王はこれから何が起こるか一早く知りたかった。
マンボー 「そのうち分かる事さ。」
帝王 「結局お決まりの答えか。」
マンボー 「でもまあ・・・前回より大変な事になるのは確かだな。」
それを聞いた帝王は「また面倒事に巻き込まれるんじゃないだろうな?」と思っていた。
マンボー (さあ、どうする。江村?)
そして、事件は無情にも起こってしまう・・・
・・・・・・へやドラマ特典@・・・・・・
山 「このへやにこの雰囲気はに似合わないです!」
A田 「ホントホント。なぜか空きスペースに僕ら登場してるしね。」
山 「どうです、一杯?」
A田 「いいですねえ。」
江村 「やめぃ!」
ハリセン効果音 『パコーン!』
山 「いたっ!」
A田 「なにするんすか!」
江村 「せっかく『編集長』に格上げしてあげたのに・・・取り消したろか?」
A田 「いやだー!せっかく給料よくなったって言うのに・・・って、江村さん。その右手に持っているものは?」
江村 「ん、これ?これは『ラッテ・リ・ソッチラ』だよ。」
山 「酒じゃん!」
江村 「いやぁ、これは『リキュール』ですよ。」
A田 「酒には変わりがない。しかもそんなに貴重な酒を。」
江村 「まあ、お祝いだな。」
山 「結局飲みたいだけなんじゃ?」
江村 「なに、飲まないのか?」
山 「いえっ、飲みますよ。」
そして・・・
A田 「おー!」
山 「おー!」
江村 「おー!」
「キングマンボーのへや」知ってて得するお酒知識@
ラッテ・リ・ソッチラ:イタリア、セリアナ社のリキュールで700ml、75度。
ラベルによると、原材料はアルコール、水、砂糖、天然の薬草、野菜のエキスであり「百種薬草酒」とある所からも、多種多様な薬草やハーブを使っているようだ。
通常、キューブ・アイスと一緒にグラスに入れて、氷が溶けてから飲む。
他にアッラ・フィアンマー(アイスクリームにかけて火を付ける)という食べ方を紹介している。
スピリッツ類はともかくリキュールとしては恐ろしく強い酒で「世界一強いリキュール」だろう。
TAKUMI 「だから『おー!』としか言ってないのか。」
小鳥 「私達には無理そうですね。」
真一郎 「俺飲めそうだから一杯・・・」
唯子 「よしなよ、真一郎。」
松島 「よっしゃ、俺も!・・・」
真一郎 「おー!」
松島 「おー!」
帝王 「フン!馬鹿どもめ。次回はへやドラマをお休みし、『帝王の薔薇世界』をお送りする。やってもらいたい事を皆さん、BBSに書き込むがいい。それでは」
ハリセン効果音 『パコーン!』
帝王 「ぐはっ!・・・・・・」
マンボー 「おー!このハリセン威力あるな。次回もちゃんとへやドラマやりますから。」