オランダゆかりの物事典

オランダ東インド会社

オランダ船

意味・解説

オランダ東インド会社とは、アジア地域での貿易を支配する目的で1602年に設立された商業会社。

世界初の株式会社といわれており、現代の会社法や株式会社の原型にもなった。

オランダとのつながり

オランダ東インド会社は、オランダのアムステルダムを中心に設立された貿易会社。

オランダ政府から広範囲な特権を与えられ、オランダが世界的な海洋大国となる基盤を築いた。

正式名は、オランダ共和国東インド会社(Vereenigde Oostindische Compagnie)で、VOCとも略されます。VOCはオランダ黄金時代の象徴的存在です。当時世界最大の私企業で、周辺諸国の注目の的でした。

16世紀のアジア貿易はポルトガルなどが中心に行っていて、アジアは香辛料の主要な産地でした。ヨーロッパでは香辛料(特に胡椒、ナツメグ、クローブなど)が食品の味付けや保存、医薬品などに使われ、需要が高まっていました。

1580年にポルトガルがスペインに併合され、スペインと戦争していたオランダは香辛料の取引が難しくなります。そこでオランダは、自らアジアに向かい香辛料を持ち帰ることにしました。オランダの大航海時代の幕開けです。

航海と取引は成功し、次々に会社が生まれ競争が始まりました。やがて香辛料の価格が急落する恐れが出てくると、それ防ぐために全ての会社を1つにまとめることになりました。

こうして1602年にVOCが成立します。アムステルダム、ロッテルダムなど6つの支社があり、アムステルダムが最大の支社でした。

さまざまな特権が認められていて、1619年にジャワ島西部にバタヴィア城を建てアジアの拠点にしたほか、出島、台湾、セイロン島(スリランカ)など、多くの拠点を確立し、広範囲にわたって進出と取引を行いました。

日本との貿易は、1609年に平戸に商館を設置して始まりました。出島に移されるまでの間にイギリスやスペイン、ポルトガルが去り、鎖国の中ヨーロッパで唯一通商を認められ、1641年から出島を日本貿易の拠点にしました。

17世紀のオランダは、VOCのアジア貿易によって得た大きな利益などで、オランダ黄金時代を迎えました。多くの探検家を送り、未知の地域を探索し、地図の作成や地理的な知識の向上も行われました。

しかし、18世紀になると、他のヨーロッパ諸国もアジアでの貿易に参入し、オランダの地位は揺らぎ始めます。

競合他社の台頭や経営上の問題などに直面し、1799年にVOCはオランダ政府によって解散させられました。植民地事業は国家が受け継ぎました。

オランダ東インド会社(VOC)の活動は、新大陸の発見や世界地図の拡大、地域経済の発展や文化交流の促進など、世界の歴史や貿易に大きな影響を与えました。

オランダの歴史の概要とは