某クラス会長にページジャックされてしまいました。とってもダービーなお方はどうぞ・・・とほほ。 

キングマンボーのへや

第53回:「へやドラマ+DB探偵団〜原作者・江村の手抜き!〜」〜As Ever〜

第2話:腐れ縁が知らなかった真実

数分後、警察が到着して現場検証と聴取が始まった。
警察が来た途端、江村の態度が急変した。江村は昔から警察嫌いなのだ。
それは母親がトラックで引かれた時、通りかかった警察に母親の安否よりトラックをおいて逃げた犯人を優先視されたからだ。
あれ以来・・・江村は警察にはぶっきらぼうな態度を取り続けていた。そして今日も・・・・・・
警察@     「君名前は?」
江村      「・・・・・・」
警察@の問いかけに答えるかわりに自分の生徒手帳を突きつける。喋りたくないと言った感じだ。
江村と唯子の聴取は簡単に終わった。問題は真一郎の方だった。殺されそうになった張本人なだけあって、警察官が3人ぐらいで一斉に聴取を始めた。対応に困る真一郎を心配そうに見つめる唯子。その3人の警察官を睨みながら江村。39分ほどで終わった。
ふにゃふにゃになった真一郎が戻ってきた。
真一郎 「ふい〜・・・やっと終わったよ。」
唯子      「真一郎・・・大丈夫?」
「やっと帰れる」と思った矢先・・・
警察A     「それでは署の方で本格的な事情聴取を行うので・・・3人ともご同行願いますか?」
これを聞いた真一郎&唯子は落胆の表情を浮かべた。
が、警察嫌いの江村が一気に反発をした。
江村      「い〜や〜だ〜〜〜ね!あんな所二度と行くものか!」
これを聞いた警察官3人が江村を囲い込んだ。
警察@     「それはどういう意味だね?」
江村      「日本語が分からないの?行きたくないって言ってんだろ?」
警察A     「なぜだね?」
江村      「さっきから言ってんだろ?行きたくないと。」
警察B     「君!我々を誰だと思ってるんだ!!」
江村      「あー、面倒だ!」
それを見ていた真一郎&唯子が江村を止めに入った。
真一郎    「おい江村!お前何やってるんだよ!」
唯子      「やめなよ!相手は警察官だよ!?」
江村      「うっせぇ!こいつらは俺より下っ端なんだぞ!なんでこんな奴等に『命令形』で話されなきゃならないんだよ!」
これを聞いた時・・・真一郎・唯子はおろか、警察官3人の頭の上に「?」マークが3個ずつ並んだ。
そして江村が制服の裏ポケットから「黒い手帳」を警察官3人に突きつけた。それは紛れもなく「警察手帳」だった。
これを見た警察官はお腹を抱えつつ笑い、江村に言った。
警察B     「きみねぇ・・・そんなニセモノで我々を騙せると思ってるのかい?本当に高校生かい?」
江村      「そのセリフ・・・これを見てもう一度言えるか?」
そう言い江村が1ページ目を捲り再び突きつけた。そこには身分証明の写真がはってあり、こう書かれていた。
『日本国警視庁総監・第一種特別代理者:警視庁任命秘密捜査課「DB」・江村直人』と・・・。
これを見ても真一郎・唯子にはサッパリ意味が分からないものの、警察官3人は顔を真っ青にした。
江村      「ほれっ!同じセリフを言ってみろ?」
警察A     「・・・・・・まさか、この人・・・」
??      「おお、江村君ではないか!」
警察官3人の後ろから現れたのは、いかにも「刑事」と言った感じのおじさんだった。江村とは面識があるようだが。
江村      「椎名警部じゃないか!久しぶりですね。」
「椎名」と呼ばれる警部は、江村と固い握手を交わした。
真一郎・唯子はそれを見てさらに混乱した。それをやっと気づいた江村が手招きをする。
江村      「紹介しよう。椎名慶治(しいなよしはる)警部だ。俺が警視庁を見学した時お世話になった、あそこの警察官とは比べ物にならないほど頼りになる人だ。」
真一郎     「あ・・・ええと、初めまして。江村の友人の」
椎名      「相川真一郎君・・・かな?」
先に自分の名前を呼ばれた真一郎は驚きを隠せない。その理由はすぐに分かった。
椎名      「で、お隣りが鷹城唯子さん・・・かな?」
唯子      「そうですけど・・・どうして?」
椎名      「いやいや。江村君から聞いているよ。」
「ああ、なるほど!」と言った表情を真一郎・唯子は浮かべ納得した。と、その時
警察@     「あのぉ〜・・・椎名警部。その子はもしかして」
椎名      「ああ。前に話しただろう?4・5年前、中学生にして日本はおろか世界中の難事件を解決した中学生探偵。彼らはその功績を称えられ『特別警察官』として今も警視庁に配属されている。彼、江村君はその一人だよ。」
江村      「自己紹介がまだでしたね。警視庁任命秘密捜査課の江村です。言っとくけど給料も権限もあなた方とは桁が違うので覚えておくように。」
自己紹介が終わると警察官3人はさらに顔を真っ青にし全て理解した。そして、やはり良く理解出来ない真一郎と唯子がいた。
真一郎     「つまり・・・どう言う事なの?」
その問いを自慢そうに答えたのは椎名だった
椎名      「君たちも『DB探偵団』ぐらいは知っているだろう?彼はその一人で、警視庁任命の警察官でもあるんだ。」
15秒後・・・ようやくすべてを理解し「ホッ」とするが、一気に驚きの表情へと変わる。
真&唯    「えーーーーーーーーーーーー!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
江村      「そんなに驚かなくても・・・。」
この言葉を聞いた興奮しきっている真一郎が江村の両方を持ち揺らしながら叫ぶ。
真一郎     「お前なぁー!一度もそんな事言わなかったじゃないか!大体なぁー!驚かない方がおかしいだろうがぁーーー!!!」
揺れは次第に大きくなっていく。それを見た唯子が慌てて止めに入った。
唯子      「ちょっと真一郎!江村君伸びちゃうよ?」
これを聞きようやく落ち着きを取り戻した真一郎は、江村の方から手を離した。
椎名      「しかし、江村君直々の出陣とはめずらしいな。」
江村      「まあ、犯人にケンカを売られてるようですし・・・それと、俺だけじゃないっすよ。」
一呼吸おき、江村は力のある声で言った。
江村      「俺達、『DB探偵団』直々の出陣です!」 

第54回:「へやドラマ+DB探偵団〜原作者・江村の手抜き!〜」〜As Ever〜

第3話:復活の産声を上げた6人の絆

それから江村は椎名さんと今回の事件の事について話し始めた。
聞く所によると、椎名さん自身はこの事件があった事を知らず帰宅途中だったのだと言う。
それを聞いた江村は気弱になった警察官3人に視線をやった。
江村      「今回の捜査において失敗点がある。」
物静かな口調で江村が3人を睨みながら言った。
警察@     「・・・それは一体?」
オドオドした態度を取りながらも警察@が江村に問う。江村は真剣な眼差しで答えた。
江村      「事故の報告があった時、この周辺を閉鎖しなかった事だ。」
これを聞くなり3人は「?」マークを再び浮かべた。良く意味が分からない為、警察Aが詳しく聞き直した。
江村の答えはこうだった。「高校生が1人突き飛ばされトラックに引かれそうになった。トラックの運転手の瞬時の判断により高校生は轢かれるれる事もなかったがトラックの運転手の安否は不明。」こう通報があった。この時点で「高校生を突き飛ばした相手」が現場付近から逃げ出すのは分かりきっている事。ならば通報があった時点で閉鎖しないのはおかしいのではないのかと。
警察B     「しかし・・・閉鎖をするような時間はまったくなく」
江村      「お前らの無駄な聴取39分間は何だったんだ?」
この一言を聞いた3人は、ばつが悪くなった。これを聞いていた真一郎・唯子は関心の眼差しを江村に送った。
真一郎     「お前凄いなぁ。そこまで俺じゃあ考えられないよ。」
唯子      「なんだかカッコイイ!」
江村      「・・・俺がバカみたいじゃないか?」
??      「バカなんじゃないのか?」
江村の後ろから声をかけてきた人物。○一高の制服ではない。ライバル校とも言われている「○○徳高校」の制服だ。
椎名      「一男君じゃないか。久しぶりだな。」
一男      「お久しぶりです椎名警部。」
「一男」と呼ばれる、真一郎達と同じくらいの年の男は丁寧に椎名に挨拶をする。不思議そうに眺める真一郎・唯子に江村がフォローを入れる。
江村      「あれは長浜一男(ながはまかずお)、中学時代の文集を見れば分かると思うけど。」
この一男は小学校〜中学校まで、真一郎達と同じ学年なのだ。つまり2人でも顔を見た事くらいはあると言う事だ。
一男      「相川君に鷹城さん、お久しぶり。中学の卒業式以来かな。」
一男は2人の事を覚えていたようだ。「そう言われれば」と、2人は古い記憶の断片を辿る。
到着した一男に早速江村が話し掛けた。
江村      「で、どうだった?」
一男      「一応、うち達でこの町の出口全て塞いではいたんだが・・・」
江村は一男の表情ですべてを読み取った。
その表情はあまり良い物ではない。つまり、犯人らしい人物がいなかったと言う事だ。
一男      「でも、常澤があやしい男3人組を見たって言ってた。今後を付けている頃だと思う。」
江村      「そうか。そいつらの足さえ掴めればこっちのもんだな。」
一男      「まあ、確証性に欠ける部分もあるけどな。」
2人がこんなやり取りをしていると新たなメンバーが姿を現した。
誠二      「ああいたいた。」
恭二      「江村さーん!一男さーん!」
進介      「まったく・・・あちこち探しちまったぜ。」
そういって現われた3人集団。
1人は一男同様「○○徳高校」の制服。
もう2人は「桐○工」の制服だ。○一高と制服の作りが少し似ているので真一郎にはすぐ分かった。
唯子      「あー、新井君だ。」
唯子が「桐○工」の制服の一人を指差し言った。指差された1人が唯子の方を見て同じような反応を起こした。
進介      「よお、鷹城。久しぶりだな。」
その挨拶を見ていた真一郎が江村を肘で突つき説明を求めた。
江村      「新井進介(あらいしんすけ)。確か唯子とは格闘技の大会で対決した事があったような気がするな。」
「そんなことがあったような」と、曖昧な表情を真一郎は浮かべた。と、良く見れば真一郎の知っている人物がいた。
真一郎     「もしかして・・・瀬川?」
そう言われた人物が真一郎の方をむき軽くお辞儀をする。
恭二      「お久しぶりですね相川さん。覚えていてくれたのですね。」
今度は唯子が、真一郎と同じ行動を江村に示してきた。
「お前ら昔の級友ぐらい覚えとけよな」と言った態度で江村が説明を始めた。
江村      「瀬川恭二(せがわきょうじ)。真一郎とは図書館仲間だった奴さ。」
それを聞き「へぇ〜」と言った感じの態度と取る唯子に江村がねんを入れてきた。
江村      「ちなみに唯子。お前と恭二は小学1年生〜中学3年生まで同じクラスだったはずだが?」
唯子      「えっ・・・・・・そうなの?じゃあ、目立たない子だったんだ瀬川君は。」
江村      「クラストップが目立たない訳ないだろうが・・・」
ため息を吐きながら江村は唯子に軽く突っ込みを入れた。
誠二      「俺を覚えている奴はいないのか?」
一人悲しくため息を吐く男に江村が気づいた。
江村      「おお!お前は『イビツセイジ』じゃなかった・・・陸上部の山口誠二(やまぐちせいじ)じゃないか!いやぁ〜久しぶりだな!」
大袈裟な態度を取る江村に誠二は
誠二      「お前とは昨日会ったじゃん。気を使ってそんな態度を取らなくてもいいよ・・・。」
余計に落ち込んでしまった。
まあ、それは置いといてだ。これで常澤と言う人物以外は「DB探偵団」が揃った事になった。
一応江村がここまでに至るまでの説明を真一郎・唯子に説明した。
江村は数日前から人の視線を感じていて、結構逃げ回っていたらしい「まさか真一郎と唯子の所にはいないだろう」と、思い込んでいたのだが、今日の唯子の事で「もしかして」と思いメンバーに連絡を取っていたのだと言う。つまり、真一郎の事故は大方予測がついていたのだと言う。それを聞いた真一郎は怒り始めた。
真一郎     「なんだよそれ!俺は実験材料か!!」
一男      「まあまあ相川君。仮にトラックの運転手が瞬時な判断が出来ていなかった場合の事はちゃんと考えてあったんだから。」
真一郎     「・・・どんな?」
少し戸惑いながら一男は答えた。
一男      「DB探偵団の名医・瀬川恭二のオペ体験ツアー〜なんと!骨折が1日で治る大マジックを披露!〜が用意されていた。」
真一郎     「・・・聞かない方が良かったかも。」
肩を落とし真一郎がため息を吐く。
進介      「こんな所で立ち話もなんだし・・・近くのラーメン屋にでも行くか。」
恭二      「どういう理屈ですか?」
進介の提案に疑問を抱く恭二。そして、一早く真一郎が追加提案を出した。
真一郎     「俺の命を弄んだ江村に奢らせよう!」
江村      「なっ!?」
それを聞いた江村は慌てて反論しようとしたが、部活帰りで空腹の唯子にそれは阻まれた。
唯子      「サンセーイ!それでは、『○広』にレッツゴー!」
誠二      「そう来なくっちゃ!」
そう言い、真一郎・唯子・進介・誠二はラーメン店『○広』を目指し歩き出した。勢いのついたこの4人を止められない事ぐらい江村は知っていた。だが、何となく不条理で悲しくなったのだ。
恭二      「江村さん、ご愁傷様。それと、ご馳走になりますね。」
江村      「フォローになってないよ、恭二。」
一男      「まあ、犯人を誘き出すネズミ代わりにはしたんだし・・・当然の報いだな。」
江村      「・・・お前、そんな厳しい事言うなよ。」
結局この日「○広」は注文記録と合計金額記録を大幅に更新した。
真一郎:やけ食いでラーメン3杯に餃子2皿。唯子:ラーメン5杯に餃子6皿。おまけにご飯を8杯。
進介:ご飯7杯以外は唯子と同じ。誠二:ラーメン2杯以外は真一郎と同じ。
そして、自分なりにフォローを入れたはずの恭二がラーメンを1人で9杯食べたのが、江村にとって理解出来ない事だった。
一男      「・・・うちは7杯で止めておくから安心しておけ」
江村      「はぁ〜・・・なんでどうしてこうなってしまったのだぁ〜!?」
  

第55回:「へやドラマ+DB探偵団〜原作者・江村の手抜き!〜」〜As Ever〜

第4話:闇の集団〜ハリセン騒動〜

結局、江村の財布の中身はお会計によりすっからかんになってしまった。
真一郎     「いや〜、命を賭けた後のラーメンは旨かった。」
真一郎、御満悦。その言葉を聞いた唯子・進介・誠二も満足そうな顔で首を縦に2回振る。
恭二      「ご馳走様でした。また奢ってくださいね。」
笑顔の恭二に江村が殺気みちた視線を送った。
江村      「・・・もう2度とごめんだな。はぁ〜、明日銀行行ってこないと。」
怒っているのかガッカリするのか。曖昧な表情を顔に浮かべた江村の携帯が鳴響く。
誠二      「おっ、そのチャクメロ良いな。」
唯子      「『as ever』だよね。確か『SURFACE』の。」
SURFACEとは、江村の好きなロックバンドである。
デビューからテンポの早い曲でファン達の心を掴んできたが、最近はバラード系の曲が多い。
最近の歌を聞き文句を言う輩もいるが「それでもSURFACEの良さは引き出せている!」と、江村は言い張っている。
それはともかくとして。江村は携帯をズボンのポケットから出した。
江村      「もしもし。」
??      『俺の分のラーメン代ぐらいはあるんだろうな?』
拍子抜けな対応に江村は切ろうとしたが、この男の冗談だと言う事は分かっているのであえて切らなかった。
一男      「誰?」
江村      「常澤だよ。今何処?むしろなんでラーメンの事知ってんだよ?」
その問いに常澤は巧みに答えた。
常澤      『今お前の高校の屋上。双眼鏡でそっちの様子は見えてるよ。』
江村      「双眼鏡でここまで見えるか?」
常澤      『改造してあるから大丈夫。』
江村      「そういう問題か?」
この常澤義人(ときざわよしひと)は夜行性サバイバルのプロとも言える男である。本来集団行動を好まない常澤なのだが、江村とのある対決に負け現在にいたる。
「DB探偵団」のメンバーの中でも尾行と夜間行動ではこの男の右に出る者はいない。
常澤 「さてと。そろそろ追跡に戻るからこれにて報告終わる。」
江村      『えっ?おいちょっと!』
何か言っている途中にもかかわらず常澤は携帯を切った。そして立ち上がり後ろを振り向く。
常澤      「ザコが2人揃った所で俺には勝てんぞ?」
??B     「気づいていたか。流石はDB探偵団の常澤義人。」
??A     「だが貴様は我ら『闇の集団』を過小評価しすぎではないのか?」
姿も見えない、気配だけを話している常澤が問い掛けた。
常澤      「闇の集団・・・数十年前ヨーロッパを拠点とした盗賊団。つまりお前らはその一族なのか?」
??B     「いかにも。そして・・・ここが貴様の墓場だ!」
何処からともなく銃声が鳴響いた。自分の頬をかすり、血が流れている事に常澤が気づいた。
常澤は屋上から離れた。この学校の構造を良く知らない常澤はただ闇雲に走るだけだった。
「闇の集団」と名乗った2人は、常澤を見失ってしまった。
??A     「見失ったか・・・永谷。お前はパソコン室の方を探せ。俺は体育館の方を探す。」
永谷      「オッケー。じゃあ、ここで落ち合おう。大澤。」
そう名乗りあった2人は、ここで単独行動を取る事になった。

常澤      (・・・闇の集団か。これは多少本気を出さないといけないな。)
体育館の角で隠れている常澤が自分に言い聞かせた。その時、銃声と共に誰かが入ってきた。
孝次      「オラときざわー!出て来いやー!」
月明かりに照らされ、大澤の顔を見た常澤は驚いた。
それは中学時代、自分と同じ陸上部にいた大澤孝次(おおさわこうじ)だったのだ。
常澤     (・・・・・・戦えるのか?自分の友と・・・)
自問自答が、常澤の中で繰り返された。

その頃永谷はパソコン室前に辿り着いた。が、この男は臆病な為おどおど震えながら歩っていた。
永谷      「うぅ〜・・・こういう所って出るんだよなぁ。」
その時、永谷には「なにが?」と、問い掛けられたような気がしていた。余計に怯え出した。
永谷      (な・・・なんなんだよここは。あれ?パソコン室開いてる。)
取りあえず永谷はドアの開けっ放しになっているパソコン室の中を確認すべく入っていった。
永谷      「でんきでんき〜♪・・・って、あれ?電気がつかない。」
さっきから電気のスイッチをいじっているはずなのに、どちらに押しても電灯に光がともらない。
永谷の心拍数が高まった。これは何かの前兆かと永谷の顔が真っ青になった。そのとき!
??@&??A  「わっ!!!」
永谷      「う・・・うわぁーーーーーー!!!!!!」
誰かは分からないが永谷は誰かに後ろから大声を出され、パソコン室の中を暴走し始めた。
??@     「いったぞマンボー。」
永谷      「ま・・・まんぼー?」
この男、永谷喬夫(ながたにたかお)は「桐生○○○一高校」の生徒。しかも江村と同じクラスに在籍している。
だから「マンボー」と言う名前は聞いた事ぐらいがあった。そして、その刹那・・・・・・!
??B     「そーーーれっ!」
???     『パコーン!』
永谷      「ぐはぁっ!!」
顔面に何かが直撃し、永谷はその場で気絶してしまった。
そして、パソコン室に電気がついた。そこにいた「??」3人はもちろんこいつらだ。
マンボー    「何だ、もうダウンか?」
TAKUMI   「相当びびってたからな。」
「??@=TAKUMI」で「??B=キングマンボー」だった。そして、「??A=帝王」が永谷の顔を見てある事に気づいた。
帝王      「おいTAKUMI。こいつ我らと同じクラスの奴ではないか?」
「そう言われればと」TAKUMIが永谷の顔を覗き込んだ。当然、マンボーは知らないのだが。
マンボー 「そのクラスメイトとやらがなんで拳銃持ってるんだ?」
素朴な疑問を覚えたマンボーが2人に問う。それを見た2人は少々驚いた。
TAKUMI   「こいつ・・・もしかして『ガンマニア』?」
帝王      「フン!もっと違う所に焦点を置けないのか?」
TAKUMI   「こん平でーす!!」
???     『パコーン!』
ちなみのこの「???」は、封印されし「江村愛用ハリセン」。現在はマンボーが預かっている。
そのハリセンで引っ叩かれたTAKUMIは、なんだか懐かしい感じと共に激痛を覚えた。
マンボー    「帝王。」
真剣な顔になったマンボーを見て帝王はようやく事の真相に入って行けると思っていた。
マンボー    「・・・座布団を1枚持っていけ。」
帝王      「まだそのネタが生きているのか?」
マンボー    「冗談だ。拳銃を所持していると言う事は・・・この○一高の何処かで何かとんでもない事を企んでいる奴がいるって事か。」
帝王      「そう・・・その言葉を待っていた。明日会長にでも聞いてみるとしよう。」
マンボー    「まあ、あいつが関わっているとも限らないが・・・そうしてくれ。こいつはしばらく『へや』で監禁しておこう。」
そう言いマンボーが気絶した永谷を引きずりながら運び始めた。

 

第56回:「へやドラマ+DB探偵団〜原作者・江村の手抜き!〜」〜As Ever〜

第5話:闇を操る者

孝次      「何時まで逃げているつもりだ常澤?」
常澤      「くっ・・・」
あれからすぐに見つかってしまった常澤は体育館の中を逃げ回っていた。
そして、常澤はまだ自分の中で答えを出せていない。その答えが出るまでは行動を取れないのであった。
孝次の目を盗み小さな部屋に隠れる事に成功した。だが、孝次の足音がだんだんと近付いて来ると流石に心拍数が高まった。
そのまま通過したとき、バイブにしてあった自分の携帯電話が震えた。
常澤      「・・・もしもし。」
江村      『よぉ常澤。どうしたんだよ?』
電話の主は江村だった。少々安心した常澤が緊張感を解いた。
常澤      「なんだよ。」
江村      『なんだよじゃねーよ。お前が来るのをみんな待ってるんだぞ?』
それを聞いた常澤は少々驚いた。
あれからかなりの時間が経っている。今夜はかなり冷えるのに、自分を待ってくれているとは予想外の事だった。
常澤が江村に問う。
常澤      「なあ江村よ。もしお前の前に昔の友人が敵として現われたら・・・お前ならどうする。」
まさに今の自分だと言う事は付け足さなかった。
そしてその中には、「なぜあの対決の時自分を殺さなかったのか」と言う問いがかけられていた。
江村      「何言ってんだお前?」
常澤      『言いから答えろ。』
尋常でない常澤の態度に江村は気づいた。
そして、江村は答えた。
江村      「・・・俺は自分の思うがまま・・・だな。」
常澤      『意味が分からん。』
江村      「例えそれが自分の幼馴染みであろうがなんであろうが・・・俺の敵として現われたのならば俺は殺る。それが例え屍で出来た道だったとしても、俺は自分が信じた道を歩く。それが俺の正義だ。」
それを聞いた常澤は、なぜ自分が生かされたのが分かった気がした。
それは単純に言えば「気まぐれ」だったのかもしれない。だがその答えはなんとも江村らしく、こいつに付いて来てよかったと常澤は改めて思えた。
常澤      「それがお前・・・か。」
江村      『あ?聞こえねーよ。』
常澤      「いや、何でもない。10分で行く。」
そう言って常澤は携帯を切った。立ち上がった常澤は独り言を自分に言い聞かせるように言った。
常澤      「俺はこんな所で止まれない。奴と戦い、そして勝つ。それが・・・俺の正義だ。」

一男      「あいつなんて言ってた?」
常澤との電話を終えた江村に一男が問い掛けた。江村は曖昧な顔をし答えた。
江村      「何か訳の分からない事言ってた。でも、あと10分で来るって言ってた。」
その答えに真一郎が疑問を覚えた。
真一郎     「何ですぐ来れないんだ?」
恭二      「それは恐らく・・・敵と遭遇してしまったからでしょう。」
平然と言い放つ恭二。そして、それを聞いた真一郎・唯子が焦り始める。
唯子      「『遭遇した』って、こんな所でのんびりとしてて良いの!?」
真一郎     「そうだよ!助けに行かないと!」
誠二      「ああ、あいつは大丈夫だよ。なんせ夜間戦は俺達より得意だし。」
進介      「そうだな。俺達の出る幕はなさそうだ。」
真一郎     「だけどさぁ!!」
江村      「大丈夫なんだよ・・・あいつは。」
1人で焦る真一郎に江村が言う。その声の中に真一郎は不思議と安心感を覚えた。
江村     「だってあいつは・・・『闇を操る者』だから。」

体育館の中を何往復したのだろうか。孝次はいまだに常澤を見つけられずにいた。
孝次      「くそぅ・・・いったいどこに!」
常澤      「俺ならここだ。」
後ろから常澤の声がした。孝次が振り返ると、月明かりに照らされている常澤がいた。
常澤      「久しぶりだな孝次。まさかお前とこういった再会を果たす事になるとは思わなかった。」
孝次      「奇遇だな常澤、俺もそう思っていた所だ。悪いが死んでもらう。」
そう言い常澤に銃を向ける孝次。引き金の音が冷たく感じる。
常澤      「お前・・・何か勘違いしてないか?」
孝次      「なんだと!?」
月が雲に隠れてきて、月明かりが次第に薄れてきて闇が訪れようとしていた。
常澤      「死ぬのは・・・お前かもしれないな。」
そう言い残し、常澤の身体が月明かりとともにうっすらと消えてしまった。これには孝次も驚いてその場から動けない。
孝次      「やろー!一体どこに逃げやがった!」
孝次が周囲を見回しても隠れられそうな所はない。
「ならば外に」と思い近くにあった窓を調べるが、全てカギがかかっている。加えて窓から逃げたのならば窓を開けるときの音がする事に孝次は気づいた。次第に気味が悪くなり始めた。
孝次      「一体どこに・・・?」
常澤      『見えないのか?お前のすぐ近くにいると言うのに・・・』
どこからともなく常澤の声が聞こえた。慌てて孝次は周囲を見回すが、常澤はいない。
その代わりに、孝次の目の前にうりふたつの自分が現われた。
孝次      「これは一体・・・!?」
驚く孝次にうりふたつの自分が話しかけてくる。
孝次      「俺はお前さ。いや、お前が俺の偽者なのさ。」
孝次      「何言ってやがる!お前が俺の偽者なんじゃないか!」
両方の孝次が言い争う中、再び常澤の声が聞こえた。
常澤      『お気に召したかな?それは俺が作り出したお前の影だ。』
孝次      「か・・・影?」
常澤      『ああそうさ。早く影を殺さないと入れ替わってしまうかもよ?』
それを聞いた孝次は焦った。「常澤の作った影なんぞに入れ替わられてたまるか」と。
両方の孝次が銃を向けあう。そして・・・両者同時に弾を放った。孝次は自分が死んでいない事を確認した。
孝次      「ふん・・・どうだ生き延びだぞ。お前の影なんぞに俺は殺されない!」
常澤      『そういう事は良く周りを見て言うんだな。』
その言葉通り周りを見てみると、なんと、孝次が5人立っていた。
孝次      「くっ・・・こいつらも影か。」
5人の孝次が同じ事を同時に言う。これが本物の孝次に更なる混乱を呼んでしまった。
孝次      (どういう事なんだ・・・。俺は・・・俺は本当に大澤孝次なのか!?)
次第に自分が闇に飲み込まれていくのが分かった。それに恐怖を覚えた孝次は銃を乱射し始めた。
孝次      「うおおぉぉおぉあぁあああぁーーー!!!」
本物の孝次が打った弾は常澤の作った影に当たり、その影は砕け散る。そして、孝次の銃の弾は尽きた。
孝次      「い・・・一体何が。」
常澤      「お前は闇に飲み込まれたのさ。そして・・・2度と立ち直る事はない。」
そう言われた孝次は気を失ってしまった。
再び体育館の中を月明かりが照らす。照らされた常澤が月と自分の手を合わせ、指と指の間から照らされる月明かりで手のひらを見つめる。
常澤      「これが俺なりの・・・正義か。」
少し微笑みながら常澤は握りこぶしを作り体育館を後にした。
とぼとぼ歩っていると校門前で自分の事を待っている仲間に常澤は気づき、軽く右手を挙げて見せた。
ちなみに気を失った孝次は再びマンボーらによって発見され、監禁されたと言う事は言うまでもない。

 

第57回:「へやドラマ+DB探偵団〜原作者・江村の手抜き!〜」〜As Ever〜

第6話:闇の集団〜真意〜

夜は明けた。
早朝の○一高に黒い影が2つ。
部下@     「大澤と永谷が捕まりました。」
「お偉い」に昨晩の事を報告する「部下@」。それを聞いた「お偉い」は特に動じなかった。
お偉い     「そう・・・まあ、あの程度の者達でやられてしまってはつまりませんがね。」
部下@     「次はどのように?」
「部下@」に問われ、「お偉い」は次の司令を命じた。
お偉い     「とにかく潰しなさい。それだけです。」
部下@     「ハッ!全ては我らの正義の為に!」
「部下@」はお偉いに一礼し、その場を去っていった。

TAKUMI   「つー訳でさぁ。久々にハリセンで引っ叩かれたよ。」
登校早々、江村の元にやってきたTAKUMIが昨晩のパソコン室の話しを始めた。
が、状況説明が曖昧な為、江村には理解出来なかった。
江村      「なんだよそれ?パソコン室にこん平がやってきた?そんな話し誰が信用するんだよ?」
TAKUMI   「本当なんだって!こんな感じ『こん平でーす!!』てな!」
これを言い終えたその時、TAKUMIの身体から鈍い音がした。聞こえたかと思うとTAKUMIはその場に気絶をしてしまった。
帝王      「フン!峰打ちだ。」
江村      「帝王・・・ハリセンでどうやってするんだ『峰打ち』?しかもそれ俺のじゃん・・・。」
かくして江村は帝王より正確な情報を入手した。
そして交換条件として、この○一高で一体何が起きているのかを説明した。
江村      「そうか・・・永谷がなぁ。」
帝王      「会長の言っている組織の一員であると思うぞ。あと、もう1人体育館で伸びていた男を拉致してある。」
江村      「何気に危ない事言うなよ。じゃ、今日見に行くよ。」
これで話しは終わるはずだった。
TAKUMI   「フギュッ・・・」
だが、事態は急変を遂げた。3年普通科3組の教室に真一郎がやってきた。倒れているTAKUMIが踏む潰されたのは言うまでもない。
真一郎     「おい大変だぞ!」
帝王      「フン!挨拶も無しに何言ってるんだ。」
真一郎     「それどころじゃないって!『100周年』の垂れ幕が!」
落ち着きのない真一郎の言われるがまま、その「垂れ幕」を見た2人は真一郎ほどではないが驚きの色を隠せなかった。
予告状:明日、鷹城唯子の身柄を頂戴に参上する。 「闇の集団」
帝王      「フン!私より目立った事を!」
真一郎     「焦点が違うだろう。」
江村      「・・・妙だな。なんで『身柄』なんだ?」
真一郎     「どういう事だ?」
江村      「だってこの集団、昨日までは『命』を狙うような行為をしてきてたんだぜ?ここに来てなんで『身柄を頂戴する』なんだよ?」
「ああなるほど」と言った感じに真一郎。「それがどうした!」と言った感じに帝王。
反応は違うものの、3人の行き着く終着ポイントは一緒だった。
真一郎     「つまり・・・人質って事?」
帝王      「妥当な所だな。早速捕まえておいた奴等が役に立つときがきたようだな。」
江村      「その通り!」

そして・・・あっという間に放課後。TAKUMI、現在も気絶続行中・・・。
江村      「へぇ〜。こいつらが・・・って、孝次!?」
マンボー    「知り合いか?」
「キングマンボーのへや」に監禁していた「闇の集団」2名のうちの1人を見て、江村は半ば叫んだ。
江村と孝次は「速さ」と言う分野で競ったライバルで、そのライバルが敵だったと言う真実を江村は鵜呑み出来ないでいた。
真一郎     「でもこいつ・・・なんで白目で気を失ってるの?」
マンボー    「さぁな。体育館で見たときはすでにこの状態。命に別状はないようだ。」
江村      (常澤・・・・・・じゃあ、昨日遭遇した敵は孝次だったのか)
マンボー・真一郎の会話で江村は全てを理解した。
江村は常澤の能力の全てを知っている。また常澤も、江村の隠された能力を知っている。一度戦ったときは江村の方が勝ったのだが。
帝王      「まあ、不幸中の幸いって訳でもないのだが・・・1名無事な奴がいてな。」
この一言で周囲の視線は永谷に集まった。永谷の表情が焦りの色でいっぱいになる。
永谷      「お・・・俺は何も知らないよ。あの時は道に迷って」
江村      「それはどうでもいい。俺が聞きたいのは、どこで『拳銃』を手に入れたかだ。」
永谷      「そ・・・それは」
「拳銃」の事を触られると焦りの表情に不安の表情が交じり合う。
周囲は、「バレたら命はないのだろうな」と、察する。
真一郎     「いい加減言っちまえよ。一応警察も関わってるんだしさ。」
永谷      「なに!?じゃあ俺の事も!?」
「警察」と言う言葉に敏感なほどの反応を起こす永谷。恐怖心いっぱいな顔である。
そしてここで江村が例の警察手帳を見せ、3分間「へや」を混乱に導いた事は言うまでもない。そして、その混乱しているマンボーらを見て真一郎が大笑いしていた事も言う事も無い事だ。
江村      「さて・・・知っている事をいい加減全て話してもらおうか?」
永谷      「・・・ふっ。さすがに国家権力が敵なんじゃ悪あがきも無駄か。」
諦めきった口調と表情で永谷は全てを話し始めた。それは江村の考えをはるかに越えたプロジェクトだった。
真一郎と唯子を狙ったのは、なんと江村達「DB探偵団」を動かす為の前座なのだと言う。つまり永谷に司令をだしていた上の者は、真一郎と唯子を危険な目に合わせる事で江村がメンバーに連絡を取る所まで予測済みだったと言う。だが、そんな上でも予想外な事が1つだけあったのだと言う。
永谷      「会長、あんたの大切な人が日本に居なかった事さ。」
江村      「・・・・・・」
言うまでもなく、それは野々村小鳥の事。
上は最初、真一郎・唯子ではなく小鳥を危険な目に合わせ、江村の動揺を招こうとしていたのだと言う。
マンボー    「なるほどな。敵ながらあっぱれと言った所だな。」
真一郎     「俺と唯子は最初から捨て駒だったって訳か。」
江村      「で、黒幕の正体は?」
本題に入る江村。だが、ここに来て素直だった永谷が口を閉ざした。追求する事2分、喋りはしたがやはり意外な真実だった。
永谷と孝次は、悪い言い方をすれば「下僕」。つまり上に関してはまったく知らないのだと言う。
ただ上に言われた事を遂行する。それが、永谷と孝次の仕事なのだと言う。
帝王      「おかしくないか?お前も『闇の集団』ならそれなりのプライドとかないのか?」
永谷      「闇の集団と一言で言うが、俺の一族はその闇の集団の下位に属する。そして・・・上の事を俺達下位に属する者はこう言う。『闇の一族』とな。闇の集団ってのは上と下の総称みたいな物だな。」
真一郎     「闇の・・・一族。つまりそいつらが『闇の集団』の『長』って訳だ。」
永谷      「まあ、そんな所だ。さあ、俺の知っている事はこれですべてだ。」
この一言を最後に長い沈黙が続いた。各自で今までの事を自分なりにまとめているのだ。それでも謎は多い。
なぜ「DB探偵団」を引っ張り出したのか?なぜ下位の者に情報を漏らしたのか?夜の一族とは一体?
考えれば考えるほど謎を呼ぶ。そして、この自問自答に終止符を打ったのは永谷だった。永谷の一言により事態は急変したのだ。
永谷      「どうでもいいが相川。お前、自分の彼女の心配はしないでいいのか?」
これを聞いた真一郎は、永谷の襟を掴み殺気満ちた目で睨む。
真一郎     「どういう意味だ。」
永谷      「俺はどのみち『闇の集団』から追放される。だがな、俺がまだ一員だとしたら・・・今手薄の奴から襲うと思うのだがな?」
江村      「狙いは俺達なんだろ?唯子が襲われる理由・・・なんて・・・・・・!!」
言いながら何かを考えていた江村の脳裏に、あの「予告状」が過る。つまり、まだ上は真一郎と唯子を捨て駒として活用しようとしていると言う事だ。
江村      「くそ、そう言う事か!!真一郎、今日唯子は!?」
真一郎     「部活だ!そろそろ終わる頃だと思う!」
後は目線だけで会話を終わらせ、2人は慌てて「へや」を後にする。
今はとにかく祈るしかない。「無事でいてくれ!」と・・・・・・。 

第58回:「へやドラマ+DB探偵団〜原作者・江村の手抜き!〜」〜As Ever〜

第7話:闇の集団〜罠〜

美夏      「ごめ〜ん。今日ちょっとはずせない用事が出来ちゃって。」
放課後一緒に帰る約束をしていた恵美と美夏だったが、美夏が急用を思い出した。
少し残念だが、用事じゃ仕方が無いと恵美は自分に言い聞かせた。
恵美      「そっか。それじゃあ私先に帰るね。」
美夏      「本当にごめんね。」

江村      「・・・すまない。」
廊下を走る江村と真一郎。その江村がポツリと言った。
真一郎     「なにが?」
いきなり言われた真一郎も、なぜ謝罪の言葉をかけられたか分からない。
江村      「さっきの永谷の証言からの推測だが・・・『DB探偵団』を動かした事も恐らく俺の動揺を招くうちの一つだった気がする。」
真一郎     「・・・どういう事だ?」
江村      「つまり敵の狙いは俺一人なんだ。それ以外は全て捨て駒って訳さ。」
だが、真一郎はここで疑問を覚えた。
なぜそこまで断言できるのだろうか?敵の本性もまだ見えていないと言うのにどうして自分をそこまで責められるのか。
その事は取りあえず置いておく事にした。
真一郎     「そんな事はどうでも良い。今は唯子の安否が先だ!」
江村      「・・・そうだな。お前の言う通りだ。」
2人は走る速度を上げる。
速度を上げる・・・速度を・・・・・・止まらなくなった。
江村      「今の階段下りるんじゃなかったっけ?」
真一郎     「今日は体育館で部活のはずだから其の一つ先の階段でも大丈夫だ!」
江村      「その先の階段・・・って、ここ4階だぞ!階段がこの先ある訳無いだろうが!」
真一郎     「江村!そんな事より前々!!」
真一郎の忠告はむなしく廊下に響き渡った。同時に、何かが崩れ落ちる音もした。
江村はそのまんま壁に衝突してしまったのだ。一歩間違えれば屋上出入り口の窓ガラスに顔が衝突している位置だ。
真一郎     「江村・・・大丈夫か?」
江村      「だいじょうぶ・・・・・・な訳ねーだろうがー!!もっと早く忠告せんかい!」
真一郎     「な・・・テメーが前見てれば良い事だろうが!」
江村      「階を一つ間違えた貴様にそんな事言われたかないわ!」
ノリ口喧嘩が始まった。
ノリ口喧嘩とはその場のノリだけで口喧嘩を始める、言葉通りの喧嘩の事である。
全てを忘れ去ったこの2人を止められる人物はいるのだろうか?いや、いない。結局冷静さを取り戻すのに10分のときが過ぎてしまった。
江村      「・・・何やってるんだ俺達は!」
真一郎     「こんな事やっているヒマないってのに!」
やっと本来の目的を思い出した2人は歩いて階段を下りる。3階に着いたとき、江村は奇妙な事に気づく。
江村      「・・・静かだ。まだこの時間は生徒が残っているはず。今日に限ってなんでこんなに静かなんだ?」
真一郎     「言われてみれば・・・まさかこれもヤツらの!?」
それが疑問から確信にかわるのに時間は要らなかった。外が暗くなっている。
2人して携帯電話に刻まれる時刻を確認するが、まだ暗くなるような時間帯ではない。これも「闇の一族」の力なのであろう。
他の生徒の生死の安否が気になり始めたその時、2人の前にひとりの女子生徒があらわれた。
恵美      「あれ、江村先輩?」
それは昨日江村と衝突してしまった後輩、新堂恵美だった。
江村      「新堂さん・・・無事だったのか。」
恵美      「何のことですか?」
江村      「いや・・・話せば長くなるんだ。それより他の生徒達は見なかった?」
恵美      「いえ・・・。私忘れ物を取りに行く途中なんですけどさっきから誰ともすれ違っていないんです。」
これではっきりした。
「闇の一族」は、邪魔になる生徒達を何らかの方法で消し去ったのだ。だとしたら、尚更唯子の安否が心配になってきた。
真一郎     「急ごう、手後れになる前に!」
江村      「そうだな。新堂さん、この先何があるか分からないけど・・・何があっても離れちゃ駄目だよ。」
恵美      「あ・・・はい。」
何がなんだか分からない恵美だが、言われた通り江村達に付いて行く。
体育館までそう距離もなくあっという間に着いた。勢い良く、ドアを蹴っ飛ばす。
真一郎     「唯子!・・・・・て、あれ?」
勢い良く登場したのはいいのだが、中に誰も居ないのに真一郎は拍子抜けをする。
真一郎     「どういう事だ?」
疑問を覚える真一郎。その刹那、ドアが勢い良く閉まり出られなくなってしまった。
それを見て、江村が冷静に言う。
江村      「つまり俺達はまんまと騙されたって事だな。ものの見事に。新堂さん、危険な目に合わせてしまって悪いけどもうちょっと我慢してくださいね。」
恵美      「・・・はい。」
状況が良く分からない恵美でも、江村の態度を見て尋常でない事を悟る。それから間もなく、黒タイツを被ったような集団が現われた。
この時点で・・・江村と真一郎は覚悟を決めた。
真一郎     「あれも『闇の集団』か?」
江村      「だろうな。だが、下位に属する者達だろうな。」
真一郎     「だったら俺でも相手になるって事か?」
江村      「ふっ・・・。2人で暴れるのも久しぶりだな。そんじゃ行くか!『右の相川・左の江村』数年ぶりの登場!」
真一郎     「懐かしいフレーズだな。この人数ならざっと10分って所だな!ノルマ!1人頭350人!」
江村      「上等だ!」
会話を交わしつつ2人は黒タイツ集団に襲い掛かった。自身有の2人の表情に「負け」の2文字は似合わない・・・。
  

第59回:「へやドラマ+DB探偵団〜原作者・江村の手抜き!〜」〜As Ever〜

第8話:闇の集団・元帥〜鴉〜

DB探偵団のメンバー3人の足取りは桐生○○○一高校に向いていた。
一男      「しかし・・・変装とは言えうちらバレないで侵入できるのだろうか?」
常澤      「大丈夫だろう。俺が昨日実証した。」
恭二      「それは夜に侵入したからでしょう?バレる訳が無い。」
なぜ5人ではないかと言うと、昨日の夜、あれから進介と誠二は○一高の制服を作る作業に追われた。もちろん徹夜で・・・
その為今日はダウンしているから3人。
○一高の途中まで来て、常澤が只ならぬ気配を感じ取った。
常澤      「・・・闇の気配がする。」
一男      「マジ?」
この一言で、足取りは速くなる。急いだ事にこした事はないから。

真一郎      「おらーーーーーー!」
回し蹴りが4・5人の顔に当たる。
江村      「おーおー。元不良は気持ち良さそうに人を蹴る・・・ね!」
そう言いながらも江村は攻撃の手を休めない。
何を隠そうこの2人は元不良。その勢力は桐生市内はおろか県内のほとんどの学校に知れ渡ったほどの物だ。
「右の相川・左の江村」とは、その時呼ばれていたフレーズである。
その意味は、「右方向から相川が回り込んで攻撃を仕掛けたかと思うと左方向に江村が回り込んでいる」と、言うもの。
そんな2人が喧嘩を止めたのは簡単な理由だった。唯子を本気で泣かせてしまったから。
唯子の事を大切にしていた真一郎からして見れば心が締め付けられるほどの痛みを覚え、小鳥に「2人の事よろしくね」と言われていた江村にして見れば後味の悪い結果となってしまった。
どちらにせよ、あの時の唯子との制約は「2度と人を殴らない事」だった。それをこの日まで守ってきた。
だが、今はそうも言っていられる状況でもない。殺らなければ殺られる、それが今の状況だ。
江村      「これでラスト!」
江村の右拳が最後の一人に放たれた。
ざっと700は居た黒タイツ集団も、空手3段の真一郎と合気道2段の江村の足元にも及ばなかった。
もっとも、江村の場合はまだ肩書きがあるのだが・・・。
真一郎 「で、これから一体何が起きるんだ?」
額の汗をぬぐいながらどことなく満足げな真一郎が江村に問い掛けた。その真一郎と同じ動作をしながら江村が答える。
江村      「そりゃぁ・・・ボスの登場なんじゃないの?」
部下@     「その通り。そして我こそが『闇の一族』最強の戦士。」
体育館全体に謎の声が響き渡る。かと思えば何者かが上から降りてきた。
先ほどの黒タイツ集団とは明らかに違う気配を放っていた。
真一郎     「誰だお前?」
鴉        「私は『闇の集団』元帥・鴉(からす)。昨晩は私の部下がお世話になった。その代わりと言っては何だが、君たちの連れを2人預かった。」
鴉の指差す方に唯子と恵美が縄で縛られていた。攻撃に夢中だった江村・真一郎は恵美の事をすっかり忘れていた。
江村      「あちゃー・・・。」
自分らしくない失態に江村は片手でひたいを押さえる。これで敵が有利になってしまったのだ。
真一郎     「どうするんだよ?」
小声で真一郎が問い掛けてきた。が、江村の表情から真一郎は答えを察した。
打つ手無し・・・・・・と。その時、変装した一男達が到着した。
一男      「これは一体・・・!?」
恭二      「ああ!鷹城さんともう1人誰か捕まってますよ!」
事の事態を人目で理解する3人。
鴉        「おや、お仲間の御到着ですか?分かってると思いますけど動いたら人質の命はありませんよ。」
念を押される男5人。特に一男と恭二はスキあらば救出を目論んでいた。
その時、体育館の中全体が黒い霧がかかった。
鴉        「こ・・・これはまさか!?」
常澤      「そういう事だ。」
闇の中でも目の利く常澤の拳が鴉の懐に入る。これに驚いたのは他でもない鴉だった。
鴉        「ぐっ・・・・・・私と同じくらいに・・・暗闇の目利きが良いだと!?」
常澤      「そういう訳だ。江村、これでいつかの借りは清算したぜ。」
いつかの借りとはあの決闘の事を常澤は言っているのだと江村にはすぐ分かった。
そして、今のうちに人質を解放しろと言う意味も込められていた。
江村      「行くぞ真一郎。」
真一郎     「行くったって・・・この暗闇の中どうやって?」
素朴な疑問をそのまま江村に言う。答えるかわりに江村は紐を握らせた。
江村      「何があってもそれを握ってろよ。ある意味命綱だ。」
意味深な江村の答えから圧力を感じた真一郎は自然と紐を握っている手に力が入った。
そのまま歩き出す江村・真一郎。それを確認するかのように常澤は横目で見送った。
常澤      「さてと。こっちもとっとと済ませるか。」
鴉        「・・・驚きましたよ。私に対抗出来る『闇の一族』が居たとはね。」
殴られた腹部を押さえながら鴉が半ば喜びの笑みを浮かべた。自分と対抗できる「闇の一族」と会うのは久々の事なのであろう。
常澤は「闇の一族」である事を今まで隠していた。そして、それを知っているのは江村1人。
常澤      「対抗?お前、何か勘違いしてないか?」
その一言と同時に常澤の姿が消えた。
鴉に感ずかれず常澤は後ろに回り込んだ。
鴉        「勘違いしているのは貴方じゃないですか?」
回り込んだはずだった。だが、逆に鴉が常澤の後ろに回り込んでいた。
常澤      「な・・・ない!?」
常澤は慌てて鴉との距離を置く。
鴉        「まだまだですね義人。そんな事ではこの私は倒せない。」
常澤      「・・・なぜ俺の名を?」
その問いの答えは常澤の今後の運命を変えてしまう答えだった。
鴉        「私は・・・貴方の兄です。」

 

 

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