将棋の用具
将棋に必須な将棋盤と駒、あると便利な駒台と対局時計、雰囲気の出る扇子などについての解説です。
対局に必須の将棋用具
将棋の対局には、将棋盤と将棋駒が欠かせません。盤の製作者は「盤師」、駒の製作者は「駒師」と呼ばれます。
将棋盤
将棋盤には、9×9=81のマス目が書かれています。材質は「榧(かや)」が最高とされていて、ほかに桂、銀杏、檜なども使われます。
現在の将棋盤は「本寸盤」といって、縦1尺2寸(約36cm)、横1尺1寸(約33cm)、脚高3寸(約9cm)と大きさが定められています。厚さに規定はありませんが、プロ棋士のタイトル戦では6寸盤が多く使われます。
大衆向きの将棋盤には、木製の折りたたみの盤(折盤)、持ち運びに便利なゴム盤、磁石盤などがあります。
将棋駒
将棋駒は、全部で8種類、40枚あります。材質は「黄楊(つげ)」が最上とされていて、ほかに椿、槇、楓などが使われます。
将棋駒は「書き駒」「彫り駒」「彫り埋め駒」「盛り上げ駒」の4種類に分けられ、盛り上げ駒が最高級品とされています。
- 書き駒:墨や漆などで駒に字を書いたもの
- 彫り駒:駒に刻んだ文字に漆を流し込んだもの
- 彫り埋め駒:彫り駒の漆を駒面と平らになるまで埋めたもの
- 盛り上げ駒:彫り埋め駒にさらに漆を重ねて文字を盛り上げたもの
もっとも安価で木製のものは、文字を書く代わりに印を押すスタンプ駒です。プラスチック製の駒も広く使われています。
駒箱(こまばこ)・駒袋(こまぶくろ)
「駒箱」とは、駒をしまっておく木箱のことで、「駒袋」とは、駒を入れる布袋のことです。駒が傷つかないように、駒袋に収めてから駒箱に入れて保存します。駒箱の材質は桑材が高級品とされます。
あると便利な将棋用具
対局に必須ではありませんが、あると便利な将棋用具です。
駒台(こまだい)
「駒台」とは、対局中に持ち駒を置く台のことです。材質は駒箱とともに桑材が最高とされていて、ほかに紫檀、榧などが使われます。
駒台は、将棋盤より少し低めがよいとされています。駒台の脚は1本脚と4本脚のものがあり、タイトル戦では4本脚のものが使われます。薄い立方体をした卓上用の駒台もあります。
対局時計(たいきょくどけい)
「対局時計」とは、お互いの持ち時間を計るために使う特殊な時計のことで、チェスクロックとも呼ばれます。自分側のボタンを押すと自分側の時計が止まり、相手側の時計が動き出すようになっています。
対局時計は、持ち時間を設けたいときに便利な道具です。最近ではアプリを使ったり、スマホの機能で代用したりすることもできます。
その他の将棋用具
対局の雰囲気を出したり、彩りを与えたりする将棋用具です。
扇子
扇子は、駒台が発案されて不用なものになりましたが、暑いときにあおぐという本来の扇子として使われるようになりました。
現在では、あおいだり、口元を隠したり、開閉して思考のリズムを取ったりする小道具として、対局の様子を彩っています。
脇息
脇息は、脇に置いて肘をかけるための道具です。
公式棋戦では、対局室に将棋盤と駒、脇息と座布団、飲み物、記録に必要な机、用紙、時計などが用意されます。これらが和室に揃えば立派な対局場です。
- 青野照市『「観る将」もわかる将棋用語ガイド』創元社, 2018
- 安次嶺隆幸『羽生善治監修 子ども将棋入門』新星出版社, 2017
- 窪寺紘一『日本将棋集成』人物往来社, 1995